ネルソン・フレイレ、間もなく来日を控えた巨匠

2018年7月11日 / 18:00

 ブラジル出身の名匠と呼ぶに相応しいピアニスト、ネルソン・フレイレが8月1日にすみだトリフォニーホールで1年ぶりの来日公演を行う。

 2017年のリサイタルは、王子ホールと紀尾井ホールで行われた2回のリサイタルからなんと12年ぶり、ゆえに待ち望まれた来日公演だった。それからわずか1年での再来日は喜ぶべきことである。

 彼は10代のころからマルタ・アルゲリッチの盟友として人生を共に歩んでいる、いわば「戦友」であり、共演も数多くこなしている。しかしそのために、日本では彼女の添え物であるかのような印象を持たれているのではないか、筆者はそんな疑念を抱いている。ただアルゲリッチは、生涯で出会った2人の天才として、ポリーニと並び、フレイレを名指ししていることも、是非知っておいてほしい。

 フレイレには不遇をかこった空白の期間があった。それは1980年代半ばから2000年代初頭まで続いた。CBSソニーの次世代エースの期待を背負って華々しくデビューしたが、しかしメジャーを離れて以降、ライブ録音も数少なく、来日も数えるほどとなった。無理もない。日本ではコンクール覇者とメジャーレーベル在籍者ばかりがクローズアップされるのだから。しかしフレイレは、そんな「沈黙」の期間にも持ち前の超絶技巧と暖色のトーン、深みある詩的な解釈を研ぎ澄ましていたのだ。

 フレイレがメジャーレーベルの一角であるDeccaと契約したのは、ラ・フォル・ジュルネのプロデューサーでもあるルネ・マルタンの推挙による。それからというもの、円熟期に差し掛かったフレイレの欧州での人気は爆発、チケットはすぐさまソールドアウトになるほどの人気ピアニストとなった。

 今回のプログラムでは、ベートーヴェンのソナタから『月光』と第31番、ブラームス晩年の傑作、作品119、ドビュッシーの『映像』から2曲、アルベニスの『イベリア』から『エボカシオン』を披露する。特に、ベートーヴェン最晩年の祈りのような第31ソナタ、そして昨年はプログラム変更によって聴くことが叶わなかった、今年生誕100年を迎えたドビュッシーに期待したい。Text:川田朔也

◎公演情報【ネルソン・フレイレ・ピアノリサイタル】
2018年8月1日(水)
すみだトリフォニーホール
OPEN18:30 START19:00
曲目
ベートーヴェン:
「ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2《月光》」
「ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110」
ブラームス:
「4つのピアノ小品 作品119」
ドビュッシー:
《映像》第1集より「水の反映」《映像》第2集より「金色の魚」
アルベニス:
組曲《イベリア》第1集より「エボカシオン」
「ナバーラ」


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