クソアニメよ永遠に、『ポプテピピック』ニコ生一挙放送前に予習する5曲

2018年4月23日 / 18:00

ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲 (okmusic UP's)

「十日も逢わねば死ぬかも知れぬ こんなに痩せてもまだ三日」なんて都々逸がありますけれども、アニメ『ポプテピピック』放送終了から早1カ月、ぽっかり空いた胸の穴を『ゴールデンカムイ』で埋める我々の涙腺をベーコンの油で固めるかのように、今週末27日にニコニコ生放送で全12話一挙放送が実施されます。『ゲバゲバ90分』やモンティ・パイソンを想起させるスキャットの乱れ打ち、主人公ふたりの声優を各12人ずつ計24人が務めるという驚異のキャスティング、あらゆるクリエイターが総力を挙げてクソ漫画を調理したあのひと時を、あの曲やこの曲を通して改めて振り返ります。こういうコラム書いておかないと、9月に幕張で開催されるイベントのことうっかり忘れてしまいかねないので……。
「POP TEAM EPIC」(’18) /上坂すみれ

どんなにトリッキーでマイナーな音楽性を内包しても許容される三大ジャンルはアニソン、ビジュアル系、アイドルソングだよなぁと、その懐の深さに羨望の眼差しを向けざるを得なかったオープニングテーマから。万華鏡の中でカラカラ回るビーズのごとく散りばめられた伏線を匂わせる詞とドラマチックなAメロBメロサビ、ドーリーなすみぺさんの歌声から蛍光色のバキバキな間奏になだれ込むドラマチックなEDM。退廃的でアンニュイな映像美とスカミズムあふれる極彩色のサンプリングが神経を細切れにさせるMVの情報量の多さは、アニメを追いかけながら元ネタを脳内辞書で検索しつつコメントをリアルタイムで打ち込むデジテルネイティブ世代の脳みそをぶちまけたかのようです。
「Let’s Groove」(’74) /Earth, Wind & Fire

羊毛フェルトを使用したコマ撮りアニメーションによる不定期オリジナル曲コーナーなんてのもあったのですが、まさかよりによってディスコチューンのクラシックをそのまんまぶっこぬいたパロディーをやってしまうとは思いませんでした。オマージュ曲の「LET’S POP TOGETHER」はベースとドラムのグルーブ感が重心を低くさせますが、原曲はスペイシーなホーンや伸縮するシンセの魔術性、美麗なファルセットのハイトーンヴォイスが織りなすトリップ感により、ディスコフロアならずとも曲を再生した途端に重力がゼロになって浮揚できます。日本の地面を踏みしめながらステップを刻む“音頭”をはじめとしたトライバリズムとは真逆の意識の開放感が痛快です。
「THERAPY」(’10)/group_inou

劇中の「ボビネミミッミ」シリーズおよび第7話の感動ドキュメンタリー「ヘルシェイク矢野」で瞬く間に視聴者の思考力を奪い去った時間泥棒ことAC部。音楽業界では以前からさまざまなアーティストのMVを手掛けている彼らですが、今回はgroup_inouの2ndアルバム『_』に収録されているこの曲を。幕開けからミニマルながらレイドバックなトラック、ナンセンスでありつつもクールなライムの効いたリリック、ポップネスとメロディアスが炸裂するフックに理性オフにして踊りたいのに踊らせてくれないこの映像! 詞の内容をなぞらえるのかと思いきや、《イルカのヒーリング効果 自宅で簡単イルカセラピー》というパンチラインひとつがどうしてここまで膨張するんだと口が半開きになる急展開! しかし、これだけのインパクトをもってしても音像やアーティスト像を微塵も邪魔しないプロフェッショナルぶりが一番謎!
「Born to be Wild」(’68) /Steppenwolf

声優陣の奔放さに翻弄され通しだった第5話のエンディングテーマ「POPPY PAPPY DAY」は“Route66 Mix”と題したリミックスバージョンでした。どういう塩梅でリミックスされたかというと、荒野と果てのない国道がこの世で一等似合うSteppenwolfの「Born to be Wild」の例のリフが引用されているのです。しかし、まんまぶっこぬくだけでは終わることなく、骨が軋みそうなパワーコードの乱脈が鳴動するバイカーズロックのスタンダードを妙に弄ったりせず、かつ歌い手の星が弾け飛びそうな明度や輝度を露ほども下げることなく下敷きにしているのが素晴らしいのです。ですが、ここはあえてスモーキーでマッチョな原曲を紹介させてください、タイトルのすぐ下あたりに編集さんが試聴ボタンをつけてくださっているはずなので。
「POPPY PAPPY DAY」(’18) /蒼井翔太

このSNS社会、こういった伏線が張られているのではないか、あのシーンやセリフの元ネタはあれではないか、ラストはこうなるのではないか、とありとあらゆる場所で論争が巻き起こり、またそれが明るみに出るためにクリエイターの発想力や演出力の限界が常に試されているわけですが、まさかああなるとは…。そして、このアニメの一番の被害者がこの方になろうとは…。さらに、最終回のエンディングをそのまま飾るとは…。シンプルな音数で声優さん伝統のダイナミックでシアトリカルな歌唱法を前面に押し出したアレンジを聴き込むもよし、本人がオフィシャルTwitterで「皆さんが『イラッ☆』ってしてくれたら成功だと思いながら歌いました」という歌声に舌打ちしながら聴き流すもよし。特にダウナーになりがちな月曜の出勤前などに脳に注入すると瞬く間にヤケクソな気分になれるので最高です。
TEXT:町田ノイズ
町田ノイズ プロフィール:VV magazine、ねとらぼ、M-ON!MUSIC、T-SITE等に寄稿し、東高円寺U.F.O.CLUB、新宿LOFT、下北沢THREE等に通い、末廣亭の桟敷席でおにぎりを頬張り、ホラー漫画と「パタリロ!」を読む。サイケデリックロック、ノーウェーブが好き。


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