【荒川ケンタウロス ライヴレポート】『starry night flight』2017年11月11日 at 多摩六都科学館

2017年11月22日 / 14:00

(okmusic UP's)

 荒川ケンタウロスが“starry night flight”と題して、念願だったというプラネタリウムコンサートを11月11日に多摩六都科学館プラネタリウムドームで開催した。ここでは“夕の部”“夜の部”というセットリストの異なる2ステージ制だった『starry night flight』の夕の部をレポートする。

 “ずっとプラネタリウムでライヴがしたいと思っていました。それが今日、叶いました”。3曲目の「君の季節」を歌い終わると、一戸(Vo&Gu)は嬉しそうに語ったが、この日のライヴは彼らの念願が叶ったという意味だけに止まらず、新しいコンサートのかたちというか、観せ方を提示していたという意味でも特別なものになったんじゃないか。階段状に並んだ客席を覆っている直径27.5メートルの大型ドームスクリーンをダイナミックに使った、スペクタクルとも幻想的とも言えるライヴを観ながら、クラシックだけに限らず、ロックバンドによるプラネタリウムコンサートは今後もっともっと増えていくんじゃないか。いや、増えていってほしいと期待せずにいられなかった。

 夕の部のライヴは「ナイトフライト」で始まった。透き通るような一戸の歌声が響き渡る。客席の前に上手から楠本(Gu)、場前(Key)、一戸、尾越(Dr)、土田(Ba)と横1列に並んだ5人の背後からぐるっと客席を覆うドームスクリーンに映し出された夕景が星空に変わる。

 “なるほど、満天の星の下のコンサートというわけか”なんて思っていると、「君の季節」ではさまざまな四季の景色を映した無数の写真がスクリーンに舞い、“世界最多の1億4,000万個の星を映し出せるプラネタリウムとしてギネスに載っている”(一戸)、“ドームの高さが世界で4番目”(土田)、“日本の天文学の先駆者、一戸直蔵に因んだ一戸という名の小惑星が存在する”(一戸)といううんちくを披露してからの「ど真ん中の海」ではスクリーンいっぱいに花びらが舞い落ち、その花びらが風に吹かれるようにばーっと目の前に迫るその迫力に思わず息を飲んだ。

 3D映像のような奥行きを感じさせるドームスクリーンを効果的に使った、さまざまな映像を楽しませながら、バンドはしっとりした曲調であり、アレンジの全9曲を披露した。スクリーンの前で演奏している5人の姿はほとんど暗闇に溶け込んでいるが、楽曲そのものの魅力を味わってもらえるなら、それもありだろうと考えたのか。

 場前のエレピが跳ねるように鳴ったファンキーな「迷いの森」では、ビル群の間を彷徨う(ような錯覚を覚えている)観客の前に雲海の中から眺める月が浮かび、息子の成長を見守る父の想いを歌ったフォーキーな「暁」では、静かに眠る町並みの上を星が流れた。そんな曲調や歌の世界観にリンクしているように思えた映像の数々は、この日のために作ったものだったという。

 あえて淡々と、しかし想いはしっかりと込め、ストイックに映像と音楽の魅力そのものを届けることに挑んだパフォーマンスを、1時間、じっと観入っていた観客にメンバーたちは、しっかりとした手応えを感じていたようで、“いつも以上に深いところに音楽を届けられる日になったんじゃないかと思います。どうですか?”という一戸の問いかけに観客が大きな拍手で答えた。

 ラストナンバーはやはりプラネタリウムコンサートに相応しい「天文学的少年」。そう言えば、中盤で“荒川ケンタウロス、星空に合う曲が結構ある。それは楠本さんが星が好きだから?”“ロマンチストなんですね”という一戸と楠本のやりとりが客席の笑いを誘っていたっけ。終演を飾るようにドームスクリーンに太古の昔、人々が星空に見ていた神々や獣達の姿(星座)がところ狭しと映し出された。スクリーン全体を覆い尽くす、その迫力に筆者は今一度、息を飲まずにいられなかった。
取材:山口智男
セットリスト
【夕の部】
1.ナイトフライト
2.ニュータウン
3.君の季節
4.ど真ん中の海
5.冬の星座
6.迷いの森
7.暁
8.あすなろ
9.天文学的少年
荒川ケンタウロス
アラカワケンタウロス:2009年7月に東京・国分寺で結成された、誰にである日常をドラマチックな世界に変える5人組。バンド名は長尾謙一郎の漫画『おしゃれ手帖』から。インディーズでシングル1枚、ミニアルバム2枚、フルアルバム1枚をリリースしたのち、15年2月、ミニアルバム『玉子の王様』でメジャーデビュー。17年、自主レーベル“MY UNCLE IS VERY FAMOUS TENNIS PLAYER RECORDS”を立ち上げ、8月より3カ月連続で配信限定シングルをリリースする。


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