井上芳雄インタビュー、「音楽は形がないからこそ人の支えになってくれる」

2017年10月20日 / 12:00

 数多くのミュージカルや舞台に出演し、2017年4月からは自身初のレギュラー番組としてTBSラジオ『井上芳雄 by MYSELF』がスタートするなど幅広く活躍する井上芳雄。そして10月には、自身初となるシングル『風のオリヴァストロ』をリリースした。本作は、作曲家・宮川彬良がテレビ番組のテーマ曲として作ったメロディから生まれた作品だ。壮大なアレンジと大切な人を想う普遍的な歌詞が多くの人の共感を呼び、10月14日放送のNHK『うたコン』でも披露されると、SNSを中心に大きな話題となった。

 「(宮川) 彬良さんと何度か舞台でご一緒し、『風のオリヴァストロ』のことを知りました。あまりに素敵な曲だったので、思わずその場で買いましたね。初めて披露したのは、2016年末に開催したコンサートです。それからもコンサートやイベントで歌わせていただいています」

 歌詞を手掛けたのは、安田佑子。亡くなった大切な人への感謝が綴られている。「天国のような場所をイメージしながら歌っています。そこへ行ってしまった人達に想いを馳せるというか…。オリーブ(オリヴァストロはオリーブ畑の意)が生っている場所ですから、きっと穏やかで心地良い場所なのではないでしょうか」

 ミュージカルや舞台など年間を通じて数多くのステージに立つ井上だが、いつも楽屋には大切な人達の写真を飾っているという。「デビューして2作目の舞台で新珠三千代さんとご一緒させていただき、「また再演したいですね」と約束したんですが、実現する前にお亡くなりになりました。当時はまだ20代でしたから、身近な方の死を感じた初めての出来事で。それ以降、お仕事でお世話になった方の写真を楽屋に置くようにしています。自分が死ぬときは、周りの人の記憶からなくなった時だって言いますよね。なので自分の心の中にいる限り、その人は生き続けていると思います。僕はデビューしてから今まで多くの人に支えられてきました。自分自身も一生懸命にやってきたつもりですが、それ以上に損得を越えて僕にアドバイスをし、教えてくださった方たちがたくさんいます。皆さんのおかげで今の自分があるということは忘れてはいけないし、自分が伝えてもらったことを、感謝の気持ちも込めて次の世代の人達に伝えていきたいと思っています」

 カップリングに収録されているのは「リンゴの木の下で」。1905年制作の「In the Shade of the Old Apple Tree」をディック・ミネが日本語詞でカバーしたことで人気を博し、串田和美の音楽劇「上海バスキング」でも使われるなど、多くの歌手によって歌い継がれている。「この曲は、「明日、リンゴの木の下で会おう」と歌っているとてもシンプルな曲です。こういう局面って誰しもありますよね。「早く明日が来ないかな」って楽しみで楽しみで仕方がない瞬間が。『風のオリヴァストロ』とは対照的な曲ですが、どちらも人生の1つの真実だと思っています」

 ミュージカルやストレートプレイで様々な役を演じる井上だが、 舞台に立つ上で“生と死”は避けられないテーマだ。「芸術には、色んな考え方や生き方をした人の思いを伝えるという役割があります。様々な役を通じて、「こんな人もいたんだ」って、日々学ばされています。なので役者の仕事を通じて、成し遂げた結果ではなく、何をしようとしたかという生き様が大切なのだなと思うようになりました。音楽にも様々なテーマがありますが、音楽には苦しい時や弱っている時に寄り添ってくれるという力があります。「人間は苦しみを持って生まれてきている」という井上ひさしさんの言葉があります。若い頃は自分のやりたいことを語るばかりで苦しみなんて分かりませんでしたが、経験を重ねていく中でその意味が分かってきました。そして、そんな中を生きていくために音楽があるのだと思います。音楽は形がないからこそ、人の支えになってくれます。そして僕自身、歌を歌うことによって日々支えられています」Text:高嶋直子

◎リリース情報
『風のオリヴァストロ』
初回限定盤<CD+DVD>VIZL-1241 2,000円(tax out.)
通常盤<CDのみ>VICL-37322 1,200円(tax out.)

◎イベント情報【Disney on CLASSIC Premium 『リトル・マーメイド』イン・コンサート】
2018年2月11日、12日 東京・日本武道館
2018年2月14日 大阪・大阪城ホール
出演:高畑充希/アリエル役
井上芳雄/エリック王子役
KREVA/セバスチャン役
斉藤慎二/シェフ・ルイ役
綿引さやか/アクアータ役
スペシャルゲスト:
ゲスト・パフォーマンス アラン・メンケン
オリジナル・キャスト ジョディ・ベンソン
指揮:マイケル・コザリン
オーケストラ:THE ORCHESTRA JAPAN
ナビゲーター:ささきフランチェスコ


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