【PENICILLIN】 25年の賜物が導く“恋人の憂鬱”

2017年9月15日 / 15:00

L→R 千聖(Gu)、HAKUEI(Vo)、O-JIRO(Dr) (okmusic UP's)

結成25周年を迎えたPENICILLINがリリースする『Lover’s Melancholy』は、構想から完成までわずか1カ月という驚異的スピードで作られた。長いキャリアで培った信頼関係と阿吽の呼吸、そして勘と感性が詰め込まれた自他ともに認める自信作だ。
──昨年11月に発表された『Lunatic Lover』に続く、25周年の記念作第二弾が『Lover’s Melancholy』ということは、やはりキーワードは“Lover”だったのでしょうか?
HAKUEI
「うん、そうですね。」
O-JIRO
「“Lunatic Lover”ってすごくいいタイトルじゃないですか。いろんな解釈ができて変にモチーフを限定しないし。だから、今回も“××Lover”がいいなぁって考えてたんですけど、なかなか前作に匹敵する言葉が出てこなくて。悩んでいたところに、千聖くんが考えてくれたんですけどね。」
千聖
「JIROさんが言ってたのをヒントにいろいろ候補を考えてみたんですが、このタイトルを考え付いたらもうこのタイトルしかいいと思えなくて。訳すと“恋人の憂鬱”って、ちょっとフランスやイギリスっぽいよね。ヨーロッパ的な雰囲気もいい。」
HAKUEI
「その時々でそれぞれがやりたい曲を持ち寄ってアレンジしていくパターンがウチは多いんですけど、今回は珍しくアルバムの全体像を最初に話し合ったんですよ。そこで出てきたのが“ムードのある感じ”っていうテーマで、すごく速くて激しい曲とかスローなバラードとかっていう感覚ではなく、普通に聴きやすいテンポでも構成とかで勢いやムードが出せて、雰囲気で押すようなイメージでいこうと。ミニアルバムだから曲数的にもまとまりやすいし。」
──確かにミステリアスなSE風の「黙示録」で幕を開けたり、終わりにはインディーズ時代の懐かしい楽曲がアコースティックバージョンで収録されたりとムード重視の作品ではありますが、その方向性を事前に決めた理由って?
千聖
「今回スケジュール的に時間がなかったから、少しの無駄も許されなかったんですよ。最初に話し合ったのが7月下旬で、完成したのが8月下旬。実質、各自の自宅で作業していたのは1週間くらいですから、驚異のスピードで作ったのは確かですね。まぁ、物理的な限界に挑戦できたのが逆に面白かったですよ。」
──1週間!? 尋常じゃないスピードですよ!
O-JIRO
「でも、おかげで良い集中力を発揮できたし、レコーディングでもみんな伸び伸びと良い状態で録れたのは、この25年の賜物でしょうね。それにスケジュールの都合もあるんですけど、1度やってみたかったドラムを最後に録るっていうのが実現できたんです。普通はドラムが最初だから、みんなはドラムに合わせて弾いたり歌ったりするけど、その逆を1回やってみたかったんですよね。」
千聖
「そもそもJIROさんのドラムって比較的クリックに対して正確だから、その録り順でも違和感がないんです。スタッフも本当に信頼できる人たちで固めているから、3人で顔を合わせる時間が少なくても進められたし、気配と勘で作り上げたのは確かですね。時間がなくて「Dear Friend…」なんて、ふたりがスタジオにいない時に“こんな感じかな?”って作りましたから。それでも許される信頼関係は、やっぱり25年の賜物なのかも。」
──アルバム中でもフックになる、さわやかな曲ですよね。
HAKUEI
「うん、なんか熱い。ま、てっきりアッパーな曲がくるかと予想していたんで、“バラードか!”と驚きましたけどね(笑)。テンポあるポップなメロのギターロックチューンは千聖くん、4つ打ちのノリでデジロック的なアプローチはO-JIROくんっていう役割分担を言わずとも感じていたんですよ。じゃあ、自分は暗くて重くて病んでる曲担当かなぁと「飛翔遊戯」を書いたりもしていたから。」
千聖
「自分は特に縛りなく、このバンドの場合ひたすら“カッコ良い”という言葉だけを頼りに作ってるんだけど(笑)。もちろん自分の曲も最高だとは思いますが、自分の曲はギターとかリズムとかが大体あるかたちで持っていくので完成形がある程度見えちゃうんですよ。むしろJIROさんの「HUMANOID COMPLEX」みたいに他のメンバーの曲のほうが、個人的には予期しない化学反応が起きてワクワク度は上昇しやすいかな。」
O-JIRO
「原曲を書いたメンバーとコラボできるのは、このバンドの良いところですね。「HUMANOID COMPLEX」で僕はA.Iをモチーフに書いているんですけど、それぞれが書いている歌詞もテイストが違うんで、そこにバンドの歴史や厚みを感じてもらえれば嬉しいです。」
──例えばHAKUEIさんの場合、妖艶だったり幻想的な言葉遣いが多くて、なかなか想像力をかき立てられますよね。
HAKUEI
「そういう詩的な表現のほうが美しいと思うんですよ。だから、自分の中ではちゃんと意味があって、例えば「Perfect Flame」のサビに出てくる“ピンクのイルカ”は“神の使い”という意味もありつつ、官能的なイメージも表現しているんですね。ただ、表現が具体的ではないからこそ、ちゃんと真意を伝えたくて、結果的に歌に関してはよりニュアンスを重視したものになりました。きれいにメロディーを綴るよりも、気持ちが乗って聴こえることを重視したんです。」
──なるほど。そして、9月16日からのツアーはO-JIROさんに始まり、千聖さん、そしてHAKUEIさんと、メンバー全員の誕生日ライヴが組み込まれているとか。
千聖
「そうです。幕開けの東京2デイズがJIROさん、10月の東京2デイズが自分、今年のPENICILLINのライヴの最後の締め括りがHAKUEIくん。ただ、それ以外の日程はアルバムのツアーを中心にやるとは思います。素晴らしいのが、掲げているのがミニアルバムなんで、曲数的に旧曲も入れられるんですよ! せっかくライヴに行っても知らない曲や聴き慣れない曲ばかりだと思われてもどうかなって思うので。ただ、こうも歴史が長いバンドだと、旧曲でも“知らない”と言われるかも(笑)。」
O-JIRO
「アイテムの中で重複してるのを除いても、たぶん今、全部で250曲くらいあるんじゃないかなぁ?」
HAKUEI
「20周年の時に全曲ライヴをやったんですけど、めちゃくちゃ大変だったんですよ! もう禊みたいなものだったんで、次にやるとしたら30周年かな(笑)。とにかく、僕的にはすごく良い作品ができたと感じているんです。このスケジュールでこれだけ深くて良い作品ができたのも、やっぱりバンドの積み重ねてきた歴史のおかげだろうし、25周年の記念の作品でありながら常に瑞々しい感覚でやれているので、ぜひしっかり聴いてほしいですね。」
取材:清水素子
ミニアルバム『Lover’s Melancholy』
2017年9月20日発売

b-mode/blowgrow

【Type-A】

XNBG-10026 ¥2,500(税抜)

【Type-B】

XNBG-10027 ¥2,500(税抜)
ライヴ情報
『TOUR 2017 とのGIG to ROCK ROCK IV』

9/23(土) 大阪・大阪MUSE

9/24(日) 愛知・名古屋ell.FITS ALL

9/30(土) 福岡・福岡 BEAT STATION

10/07(土) 東京・恵比寿 LIQUIDROOM

10/08(日) 東京・恵比寿 LIQUIDROOM

10/14(土) 宮城・仙台 MACANA

『HAKUEI BIRTHDAY LIVE「SUPER HEART CORE ‘17」』

12/16(土) 東京・TSUTAYA O-EAST
PENICILLIN
ペニシリン:1992年結成。インディーズ時代からルックスの良さ、異常な盛り上がりにより失神者が続出するライヴが話題となり、レコード会社3社から同時にCDをリリースする。96年にメジャーデビューし、武道館公演を成功させると、98年には代表曲となる「ロマンス」をリリースし、90万枚を超える大ヒットを記録した。2017年に結成25周年を迎え、9月にミニアルバム『Lover’s Melancholy』を発表。


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