【Bentham】 常にファンをびっくりさせたいという想いが バンドを進化させた

2017年7月20日 / 00:00

L→R 鈴木 敬(Dr&Cho)、小関竜矢(Vo&Gu)、辻 怜次(Ba)、須田原生(Gu&Cho) (okmusic UP's)

切ないメロディーと切れ味鋭い演奏がさらなる広がりと奥行きを印象付ける1stフルアルバム『Re: Wonder』。一曲一曲、これまで以上にこだわりながら作った結果、ひと癖もふた癖もあるBenthamらしさが自然に滲み出たという。
アニメの世界観を崩さず、Benthamとしてもカッコ良く

──まずは7月12日にリリースしたシングル「White」について聞かせてください。TVアニメ『潔癖男子!青山くん』のOP主題歌である表題曲は、どのように作っていったのですか?
小関
「OP主題歌をお願いしますというお話をいただいたんです。この曲もフルアルバムに収録することは決まっていたんですけど、そこはあまり考えずにアニメの主題歌として、いくつか提案したデモをもとにアニメのスタッフとやり取りする中で、この曲に決まりました。そこからさらにリクエストを受けてみんなでいろいろアレンジしていった結果、全部がサビメロのような今までにないスタイルの曲になりました。」

「観ている人に飛ばされないようにというか、それぐらい興味を持ってもらえるようなアレンジにしてほしいというリクエストだったんです。」
──それでこういう不思議な曲になっているのですね。
小関
「最初はテレビで流れる89秒でベストを尽くせるようにと考えながら作って、そのあとにフルコーラスを作っていったんですけど、やりたいことはちゃんとできたと思います。曲としてはBenthamっぽくないかもしれないですけど、最終的にアルバムに入れても馴染んでいるというか。楽曲としてしっかりと仕上がっていると思います。」
──いや、僕は逆にアルバムの候補曲の中から提案したものがOP主題歌に選ばれたんじゃないかと思っていたくらいなんですよ。いかがでしたか、リクエストに応えながらという曲の作り方は?
小関
「僕個人は向いていないと思いました(笑)。」
──それは言わないほうがいいんじゃないですか?(笑)
小関
「だから、柔軟に対応できるようになりたいと思いました。ただ、うちらの楽曲はどれもタイアップに使えるぐらいインパクトもフックもあると思っているから、ここから広がっていったら嬉しいです。もちろん譲れないところはあるんですけど、こういうことはいろいろやっていきたいと思うので、今回は本当に良い経験になりましたね。」
──「White」をアレンジする上ではどのようなことを意識しましたか?
小関
「まず、アニメのファンをがっかりさせたくないということと、これをきっかけに僕らのことを知ってくれる人が“おおっ”となってくれるようなドラマチックな楽曲にしたいと思いながら、僕らが考えるアニメの主人公の青山くん像を丁寧に作っていきました。僕らの中に沸いてきた青山くんに対する愛情がしっかり出るようにというか、それが出れば観た人も“全然イメージと違う”とはならないだろうと思ったので、アニメの世界観を崩さないようにと。崩すやり方もあると思うし、Benthamがやるから意味がある場合もあると思うんですけど、初めての経験だったから、世界観を崩さないようにBenthamとしてカッコ良くというテーマで作りました。」

「アニメのスタッフに聴いてもらう時にスタジオで一発撮りしたものでは分かりづらいということで、今回初めてDTMでデータをやりとりしながらアレンジしたんですよ。パソコン上でみんなで作業したものをもとにスタジオでセッションするということで、切り貼り的なことをやったせいなのか、ドラムがちょっと変わった叩き方をしているとか、普段みんながやらないようなフレーズが入っているとか、少しトリッキーな手法を盛り込んだアレンジの曲になっていると思います。」
──カップリングは「僕から君へ」と「 パブリック 」というファンにはお馴染みの2曲ですが、「僕から君へ」は同じアニメのイメージソングとして劇中にフィーチャーされるそうですね。
須田
「アニメを観ていても同じアーティストの曲が2曲も流れるなんてことはなかなかないので、すっごい嬉しかったですよ。」
──アニメがきっかけでBenthamを知った人には、ぜひ26日にリリースする1stフルアルバム『Re: Wonder』も聴いてほしいですよね。前回のシングル「激しい雨/ファンファーレ」はメジャーレーベルからの第一弾ということで新しいスタートをイメージさせるストレートな作品でしたが、今回は結構Benthamらしい癖が出たのではないですか?
小関
「そう思っていただけて良かったです。テーマを決めないで一曲一曲に対してみんなが100パーセントのアレンジをしたってことと、今までに比べてちょっと時間の余裕があったんですよ。だから、アレンジ、サウンドともにこれまで以上にこだわりながら作ることができたんです。それが良かったのかな。録っている時はいっぱいいっぱいだったから、もちろんいい曲が揃ったとは思っていたんですけど…。」
須田
「一曲一曲やり切っていたせいか、良くも悪くも振り返る暇がなかったんですよ(笑)。」
小関
「もちろん曲順を決める時に流れは考えましたけど、フルアルバムを作るということはあまり意識してなかったです。とにかく選りすぐった曲を最高のものにしようとだけ考えて、それに徹していました。」
飾らずに自分たちを見せたい。 良く見せるのは撮影の時だけでいい(笑)

──さらなる広がりと奥行きをアピールする作品にもなりましたね。
小関
「リズムやそれぞれの楽器のチューニングをとことんシビアに突き詰めたことでタテのリズムのメリハリがかなりはっきりしてきました。その上で「クラクション・ラヴ」や「Chicago」の落ちサビで、恐れずに僕がオクターブ下のメロディーを歌っている。僕の声を活かせる音域を広げるという意味では、新たな挑戦だったと思います。」
須田
「「エスケープ」は最近Benthamがやっていなかったリフレインの感じが出ていると思います。ギターサウンドもこれまでは小関がクリーンで僕が歪んでいたんですけど、この曲では小関が歪んで、僕がクリーンサウンドを弾き続けている。そういう曲って今までなかったんですよ。」
──リズム隊のおふたりも何か新しいアプローチに挑戦していますか?

「僕はこれまでずっとライン録りでアンプを鳴らしていなかったんですけど、今回はアンプを鳴らして、そのアンプも1曲ごとに選んで…音色という一番基礎のところからアプローチしていきました。その結果、全曲を通していきいきとした音が録れていると思います。それと、これまでこだわってきたオルタネイトピッキングというスタイルを崩していたみたいと思って、ファンキーな「survive」は指弾きして、これでもかとスラップを入れてみました。「戸惑いは週末の朝に」も指弾きで柔らかいニュアンスを付けていて…そういう曲が分かりやすくなるフレーズを心掛けたんです。」
鈴木
「新しいアプローチと言ったら、ドラムが一番変わってると思います。まずスタジオが変わったんです。広いスタジオで録ったことによって、アンビエンスを意識した広がりのある音になりました。「survive」はそれが特に出ているし、スネアがカンカンと鳴っている感じが新しい「Chicago」「センチメンタル」をはじめ、今までできなかったアプローチも試せたし、「Heartbreaker」みたいなパンクな曲も今までよりも表現できるようになったと思います。今回は全13曲ということで、スタジオを丸1日押さえて12時間叩き続けるみたいことが多かったせいか、勢いがあるままレコーディングに入れたのも良かったですね。」
──「戸惑いは週末の朝に」「クラクション・ラヴ」のような攻める感じではない曲も、アンサンブルにメリハリが付いたことでより聴き応えあるものになりましたね。
小関
「実は僕らとしては曲の魅力をしっかり伝えられて、僕の声も活きるバラードやミドルテンポの曲のほうが得意なんですよ。それにもかかわらず、なぜかそういう曲があまりないところが謎だったんですけど(笑)。今後はもっと増えていくと思います。それも含め、制限せずにやりたいことができたということだと思います。」
──歌詞もよりBenthamらしいものになっていると思いました。「激しい雨」「ファンファーレ」「White」の3曲は前向きなことを歌っていますが、メジャーからの1枚目のアルバムにもかかわらず、それ以外は結構もやもやしているという印象がありますが。
小関
「作っている時は意識してなかったんですけど、出来上がってみたらそうなっていたんですよ(笑)。“嘘を付いたり飾ったりせずに、自分たちのいいところをちゃんと出していこう”って最近すごく思っているんです。良く見せたいっていうのは何かの撮影の時だけ(笑)。ライヴや曲だったりは裸の状態でぶつけたい。楽曲のみならず、今回のアルバムはそういう部分でも今の僕たちをしっかりと表現できている。変にカッコ付けずにその曲に合った歌詞を当てているだけなんですけど、以前よりも“こういうふうに伝わってほしい”と考えるようになったかもしれないですね。シングルに比べたら抽象的になっているかもしれないけど、その中でもガッと胸を掴まれたとか、バチンと頭を引っ叩かれたという感覚にもなってほしいと思ったので言葉にもこだわりました。ストーリーテリングを考えるようになったんですよ。“戸惑いは週末の朝に”なんてタイトル、今までだったら絶対付けなかったし(笑)。それも“おおっ”ってびっくりしてくれたら。」
──“おおっ”てなりました(笑)。小関さんにしてはシチュエーションが具体的で生々しい。ひょっとして実体験?(笑)
小関
「インディーズの時に作った曲のアンサーソングというイメージで書いたんですけど、フックとなるようなフレーズは自分の経験に基づいています。ただ、僕の経験だけで終わらずにちゃんと物語になっている。“結末はどうしようかな?”って考えながら書くのは楽しかったですよ。」
──「White」の歌詞はアニメのストーリーに合わせているのですか?
鈴木
「合わせつつ。僕がアニメから感じたのは“仲間”ということだったので、バンドメンバーに対する気持ちとしても成立するように書きました。」
──新たな決意を思わせる落ちサビの言葉をこのタイミングで歌うことには大きな意味がありますよね。ところで、“Re: Wonder”というタイトルはどんなところから?
小関
「インディーズデビューしてから、“こんな良い曲があるんだ”とか、“こんなにたくさんライヴやるんだ”とかっていろいろなことでびっくりさせてきたつもりなんです。もちろんメジャーデビューもその中に含まれるんですけど。同時に僕らもお客さんの反応に嬉しい意味でびっくりしてきた。その驚きを、このフルアルバムで返したいんです。これからもっとBenthamの活動を勢い付けるために花火を打ち上げるじゃないですけど、またびっくりさせたいし、びっくりさせるような一枚になっているということで、“Re: Wonder”にしました。」
取材:山口智男
アルバム『Re: Wonder』
2017年7月26日発売

PONY CANYON

【CD+DVD盤】

PCCA.04549 ¥3,000(税抜)

【CD Only盤】

PCCA.04550 ¥2,500(税抜)

【Bentham屋盤】

SCCA.00053 ¥3,500(税抜)

※グッズ付き(タオル)
シングル「White」
2017年7月12日発売

PONY CANYON

PCCA.04568

¥1,000(税抜)
ライヴ情報
『Re: Wonder TOUR 2017』

9/08(金) 愛知・名古屋Electric Lady Land ※ワンマン

9/10(日) 岡山・ペパーランド

w)グッドモーニングアメリカ

9/12(火) 広島・CAVE-BE

w)グッドモーニングアメリカ

9/15(金) 熊本・B.9 V2

w)ドラマチックアラスカ

9/16(土) 福岡・DRUM SON

w)ドラマチックアラスカ

9/18(月) 愛媛・松山W studio RED

w)SAKANAMON

9/20(水) 香川・高松DIME

w)SAKANAMON

9/22(金) 兵庫・神戸太陽と虎

w)SAKANAMON

10/01(日) 静岡・Live House UMBER

10/06(金) 千葉・LOOK

10/07(土) 栃木・HEAVEN’S ROCK Utsunomiya

10/11(水) 宮城・仙台LIVE HOUSE enn2nd

10/12(木) 新潟・CLUB RIVERST

10/13(金) 長野・松本alecx

10/15(日) 富山・Soul Power

10/20(金) 大阪・umeda TRAD(旧umeda AKASO) ※ワンマン

10/21(土) 東京・赤坂BLITZ ※ワンマン


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