エンターテインメント・ウェブマガジン
スタート予定15分前のタイミングでスピーカーから「プリーズ ウェルカム、ザ・フー!」というアナウンスがあったので一瞬観客の顔に「えっ、もう始まる?」という困惑があったものの、ライブのスタートを見逃したくないという思いで急いで座席に移動すると、スクリーンには「KEEP CALM HERE COME THE WHO」の文字がスクリーンに。最終日ということでオンタイムで始められるように観客への呼びかけだったのだろうと考えながら、そこから結局15分待って定時スタート。
1曲目の「I Can’t Explain」から「The Seeker」へと、初っ端から爆音炸裂で爽快、そしてバンド・メンバーが作り出すグルーヴ感が気持ち良くて不思議と笑みがこぼれてくるのだ。「Who Are You」では思わずコーラスを軽快に口ずさんでしまう。続く「The Kids Are Alright」では、音源では当時のレコーディング技術を考えるとレトロに聞こえるのは仕方ないことかもしれないが、それとは対照的にライブ演奏は全く古さを感じさせず演奏もさらにアグレッシブでテンポも躍動感があってライブの醍醐味を堪能させてくれる。
MCでは「今回の出演者はみんな友達だし、お互い50年以上もこの業界でやってきたんだ。これって、ラヴ、ピース、そしてハーモニーだよ。そしてその中でもロジャー・ウォーターズはスペシャルな存在なんだ」というピートの言葉に、この日のザ・フーとロジャー・ウォーターズという2組の組み合わせの特別感と必然性を目撃できることにライブ中にもかかわらず何とも言えない幸福感と期待で体がブルブルしてしまった。
「I’m One」ではピートがヴォーカルを担当し、その後ロジャーが「やっぱりロックだよな!」と「The Rock」がスタート。まさにロックロール一色というパフォーマンス。「Love, Reign O’er Me」ではロジャーの高音と低音の広範囲のヴォーカルに観客から拍手喝采。
「Baba O’Riley」からは観客が総立ちになり、そして最後はあの特徴的なキーボードとギターのイントロで「Won’t Get Fooled Again」。ラスト数曲目からピートの眉間あたりからギターが当たったのか流血していたようだが、そんなことも全く感じさせない全速力で走り抜けた、あっという間の2時間のセットだった。今日の公演で50周年記念ツアーがラストだったようだが、この日のセットリストはこれまでのザ・フーのヒット曲を網羅するかのような素晴らしく、演奏した曲のほとんどが『The Who Hits 50!』に収録されているというなんとも贅沢な内容だった。
Live Photo: Kevin Mazur for Desert Trip
◎公演情報
【Desert Trip】
2016年10月7日(金)~9日(日)、10月14日(金)~16日(日) ※現地時間
出演:
10月7日&14日(金) ザ・ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン
10月8日&15日(土) ポール・マッカートニー、ニール・ヤング
10月9日&16日(日) ロジャー・ウォーターズ、ザ・フー
INFO: http://deserttrip.com/
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