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sads、『IN AN ECSTACY』名古屋BOTTOM LINE公演にて葉月(lynch.)とサプライズ・ツインボーカル!

7月30日@名古屋BOTTOM LINE (okmusic UP's)

7月30日、超満員の名古屋BOTTOM LINEにて、sadsが究極の快楽を見せつけた。

彼らのデビュー日にあたる7月7日の渋谷CLUB QUATTROから始まった2016年夏のショートサーキット〈IN AN ECSTACY〉もいよいよ佳境へ。名古屋2日間公演の第1夜は、絶品の轟音と誰も予想だにしなかった光景が深く心に刻まれるライブとなった。

午後6時を20分ほど過ぎた頃、場内が暗くなり、神々しいSEが鳴り響く。オーディエンスの拍手と歓声に導かれて、K-A-Z(G)、GO(Dr)、クボタケイスケ(B)がゆっくりと配置につく。清春(Vo)のシルエットがわずかに見えただけで、フロアの叫び声はさらに大きくなる。一瞬にして観客全員の視線を集めたカリスマが最初に繰り出したのは、「HONEY」だ。続けて炸裂した「Hate」でもわかるように、今夜のsadsも、いつも通りの凄まじさ。最上級の邪悪なサウンドが観る者に迫ってくる。

「sadsです。特に話すことはありません。楽しんで!」シンプルながらも非常に説得力のある清春の声を合図に、次々と放たれる魅惑の爆音。この日の清春には、立っているだけで甘く香るようなロックスターの風格が感じられた。現在ツアーを続行中ということもあり、詳細な楽曲紹介は控えたいが、どの曲も圧倒的にへヴィで心地良い。全身を駆け抜けるような凶悪な音を浴びると、日常の嫌なことなどすべて消え去ってしまう。「AMARYLLIS」の狂暴な美しさに打ちのめされているうちに、本編はいつの間にか終わりを告げ、時計は午後7時半を指していた。

興奮冷めやらぬ中、アンコールを求めて叫ぶ観客たち。この日のハイライトは唐突に訪れた。真っ暗になったステージがイントロ一発目のユニゾンと同時に一気に照らされると、清春が立っているはずの舞台の中央には、不敵な笑みを浮かべたlynch.のヴォーカル葉月の姿が。一瞬の静寂の後に、悲鳴にも似た大歓声がステージに向けて送られる。sadsの楽器陣を従えて葉月がヴォーカルを務める「WASTED」は、凶悪以外の何者でもない。続く「EVIL」では清春とのツインボーカル。邪悪な色香がさらに空間を支配してゆく。葉月を抱き寄せ肩を組む清春の表情も満足げで、観ているこちら側も思わず笑みがこぼれるほどだった。

もちろん、この一連の趣向は、事前告知一切なしのサプライズ。アンコールでさえも”お決まり”に陥りがちな昨今だが、sadsのライブには、常に何が起こるかわからないスリルがある。ともに名古屋という場所に強力な縁があり、常日頃から敬意を交し合っている清春と葉月。この二人のパフォーマンスに、ファンたちは喜びを爆発させていた。この場に集った誰もが幸せな狂気に浸る出来事だった。

目の前で起こったことがいまだに信じられないという表情のオーディエンスだが、放心するにはまだ早い。この後、sadsの4人はモトリークルーの「WILD SIDE」等の心躍る楽曲を軸とした2度目のアンコールで会場を揺らし、3度目のアンコール「THANK YOU」と「CRACKER’S BABY」で痛快に名古屋第1夜の幕を閉じる頃には、時計の針は午後9時を指していた。sadsのメンバーを紹介した後、「今日は根性あるところを見せてくれました!」と葉月を褒め称えた清春。葉月をセンターに据え、横一列に並んだ5人の表情はまぶしく、憧れ続けることの尊さを観る者に教えてくれるかのようだった。

尚、このツアーは8月5日の柏PALOOZAと8月14日の赤坂BLITZの2公演を残すのみとなっている。常に期待の遥か上の悦びを与えてくれる現在のsads。彼らが爆音で染め上げてゆく空間と、予測不可能なロックンロール。この国内最強の音像を、ぜひ体感してほしい。

TEXT BY 志村つくね

※写真の一部は7/31公演を撮影

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