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グラミー賞直前、アデルを2000人キャパで観た!

2月12日。グラミー賞受賞式3日前に、ロサンゼルスにあるウィルターン劇場でアデルのサプライズ公演が開催された。この会場でライブを行うのは『19』ツアーの2009年1月以来。チケットはライブ前日、カリフォルニア州在住でアデルのオフィシャルホームページに登録済みのファンにのみ販売された限定ライブ。チケット価格は50ドルで一人2枚まで購入可能。チケット転売を防ぐため、チケット購入を証明ができるものと身分証明を確認後、そのまま会場へ入るという厳重なシステム。一人一人身分確認をするため、入場を待つ列は会場があるブロックをぐるりと一周してしまうぐらい長くなっていた。また、地元のテレビ局が現場の模様をレポートしたりと、まさに一大イベントとして取り扱わられていた。

 今年8月に行われるロサンゼルスのライブ会場はキャパが2万人のステープルズ・センター。その10分の1のサイズの会場に入ると、こんな間近でアデルを観られることが信じられないという興奮状態のファンで埋め尽くされていた。オープニングバンドはなし、午後8時30分に会場が暗転。バンドメンバー(ピアノ/キーボード、ギター、パーカッション、ドラム、ベース、ギター、コーラス)に続いて、CBSチャンネルの人気番組「Late Late Show」のホストであるジェームズ・コーデンが登場。番組企画「カープールカラオケ」でアデルとの共演ビデオ再生回数が新記録を打ち立てた、アデルにゆかりのあるジェームズの登場に観客は大喜び。ジェームズの興奮気味な紹介の後アデルが登場し、「Hello」からライブがスタート。ピアノとヴォーカルだけで静かに始まり、中盤からバンドが加わり後半にかけて歌声が会場を飲み込むかのような力強さとドラマチックな曲の展開に1曲目から圧倒された。続いて「Hometown Glory」、 「One And Only」とアルバム『21』から2曲演奏。照明でステージ後方が明るくなる度に、むき出しの壁が見え、カーテンや装飾のないセットに少し寂しい感じはしたが、最初のMCで「今日のチケットの値段は安く設定しようと、50ドルにしたのは私のアイデアなの。だから見て!お金がないからステージセットもすごくシンプルでしょ」という発言に納得。前日にはディズニーランドに子供と行ったことや、当日誕生日だったファンにハッピーバースデイを歌ったり、ファンの携帯電話を受け取って人生初のセルフィーを撮ってみたり、演奏以外の部分でファンとのコミュニケーションを楽しみ、どんどん観客が彼女の世界に惹き込まれていくのを感じた。

 「Million Years Ago」ではギター二人のみというシンプルな演奏、そしてアップライトベースとコーラスを加えてアルバムの演奏よりもストリップダウンした「Send My Love」。アデルのヴォーカルと衝突しないコーラスの澄んだ美しさも素晴らしかった。「私の人生を変えた曲」と紹介した「Someone Like You」では、サビの「Don’t Forget Me」をこれまでのライブではキーを下げていたが、今回はオリジナルキーで、しかもコントロールされたヴォーカルは見事だった。以前よりもすっきりした顔や体型にもなったし、この日の歌声からもポジティブなエネルギーに溢れている今の彼女の状態をうかがうことができた。本編ラスト「Set Fire To The Rain」では繰り返されるコーラスの最後、ヴォーカルとバンドの呼吸がバシッと合って演奏終了。観客からは大歓声がステージに贈られた。

 アンコール1曲目はブルーノ・マーズと共作したことに触れて「All I Ask」を披露。この曲はアルバム『25』の中でアルバム『21』の「Someone Like You」に近い存在であると筆者は思っている。後者が振られた女の子の悲しみに対し、前者は恋人同士の別れ以外にも、例えば親友や家族との避けられない別れの苦しみにも通じるものがあるとライブで聴いてさらに感じにようになった。続いて、27歳のアデルが、日々子供の成長を目の当たりにして、自分自身も大人になっている、変わっていっていることを感じていると一言添えて 「When We Were Young」。『19』『21』『25』というアルバム3枚からのバランスが絶妙だった選曲は、一人の女の子がいかにして女性へと成長したのか、これまでの人生の旅をこの日会場にいた観客と共有できるのがアデルのライブの素晴らしさなのだろう。

 いよいよラストの曲の準備という段階でアデルが「ちょっと待って、忘れてた。みんなに私のために歌って欲しいの。カメラ。どこ、誰が持ってる?」と一度ステージから消えて、携帯電話を持って再登場。ステージ上で携帯電話を固定して観客に「Hello」を合唱させた。後半にアデルも合唱にに加わり、「Hello」を1日で約1.5回聴けるサプライズ。続いてコーラスだけでスタートした「Rolling In The Deep」も最後は観客との大合唱で全15曲、90分を超えるこの貴重なコンサートは終了した。

 冒頭にジェームズ・コーデンが「会ったこともない歌手が、聞き手の人生のある一瞬やその一瞬の感情を鮮明に再現し歌う。こんなことなかなかできないけど、彼女はそれができる」とアデルを紹介したが、まさにそうだと思う。誰もが経験する失望や葛藤を描写する才能がずば抜けているにもかかわらず、親しみやすい性格や話す内容が普通の女の子という存在感こそ、これほどまでにファンを彼女の音楽に惹き込み、愛される理由であり、好調なアルバム・セールスや大規模なコンサートツアーでも需要が供給を上回る理由なのだろう。

 15日のグラミー賞受賞式ではどの曲を演奏するのか。そして、その2週間後イギリスから始まるツアーがどのような編成で、どんなセットリストになるのかは不明だが、アデルの歌声と演奏に合わせて目を閉じれば、なんだかあの頃の自分の記憶が蘇ってくるという体験ができそうな気がする。

◎Adele: Wiltern Theatre / February 12, 2016 セットリスト
Hello
Hometown Glory
One And Only
Rumour Has It
Water Under The Bridge
I Miss You
Turning Tables
Million Years Ago
Send My Love
Chasing Pavements
Someone Like You
Set Fire To The Rain

All I Ask
When We Were Young
Hello
Rolling In The Deep

◎アデル・インスタグラム:LA / The Wiltern / Feb 12
https://www.instagram.com/p/BBwnRBXAfNN/

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