21世紀のブギー・ミュージックを牽引するデイム・ファンク。ダンサブルでメロウなサウンドに身を委ねて、今宵は少しエロティックな夜を――。

2015年11月18日 / 11:45

   冒頭から艶かしく、スペーシーな響きと強力なリズムに会場が包まれていく――。21世紀のブギー・ミュージックの旗手=デイム・ファンクがバンド・セットで【ビルボードライブ東京】のステージに登場した!

 カリフォルニア出身のデイム・ファンクは、90年代のウェッサイ隆盛期からヒップホップのアーティストと積極的に関わり、2009年に満を持してアルバム・デビュー。その作品がヒップホップやファンクの壁を飛び越えて大ヒットし、一躍シーンの最前線に躍り出た。その後も、元スレイヴのスティーヴ・アーリントンを全面的にフィーチャーした『HIGHER』をリリースして20世紀のファンクに敬意を示し、ブギー/ファンクの新旧世代を仲立ちするような活動を繰り広げてきた。その証拠に今年9月、6年ぶりにドロップした新作『Invite The Light』には、オハイオ・プレイヤーズのジェニー・モリソンやジョディ・ワトリー、レオン・シルヴァーズⅣといった20世紀のソウル・スターをフィーチャーする一方で、スヌープ・ドギー・ドッグやQティップらのヒップホップ・アーティストともコラボして、伝統にリスペクトしながらもモダンなファンクを提示してみせた。

 デイム・ファンクが奏でるブギー・ファンクは、80年代のオールドスクール・エレクトロ的なサウンドをベースにしており、当時、人気を博したスレイヴやオーラ、そしてプリンスからの影響が窺える。新作を携えての今回の来日は、いったいどんなステージを展開してくれるのだろうか?

 果たしてステージに上がったデイム・ファンクは独特のクールな仕種でキーボード/シンセを操りながら、何度も宙を指差し、客席に向かってダンスを煽る。また、街中の雑音をサンプリングしたSEやノイジーな音を挿し込みながらストリートとの接点をアピール。しかし、彼が繰り出すサウンドはメロウでスムース。囁くようなヴォーカルと共に、ちょっとエロティックな夜のムードを演出してくれる。さらには、スペーシーで未来的な感覚に溢れていると同時に、伝統的なファンクの、まるで楔を打ち込むような強烈なリズムが息衝いている。そこに21世紀のモダンな感覚が滲んでおり、他のアーティストからは得られない音響的な快楽性があるのだ。DJ、プロデューサーとして引き手あまたな状況が実に理解できるサウンド・コンストラクションだ。

 今回のライブはベースとドラムスを帯同しての演奏。リズム隊がアルバムとは異なり人力だからか、パワフルで生々しい音が繰り出されてくる。特に、リズムとシンセの絡みが空間的で非常に艶かしく、気がつくとハンドクラッピングやストンプを激しくやっている自分がいる。これほどまでにクールで熱いファンク・ミュージックを僕は今まで体験したことがない。これぞデイム・ファンクの面目躍如たる部分だろう。

 実にアッと言う間に感じた1時間半のライブ。帰宅したら新作を部屋に流して続きを楽しみたい衝動に駆られること間違いなしの、実に印象的なステージ・パフォーマンスだ。大阪では19日にライブがあるので、関西方面のファンク・フリークは絶対に見逃して欲しくない。これぞ「21世紀のファンク!」というサウンドを全身に浴びることができる貴重な機会だから。準備を整え、前のめりで会場に駆けつけよう!

◎公演情報
【デイム・ファンク -Modern-Funk Live Band】
2015年11月17日(火) ビルボードライブ東京
1stステージ 開場17:30 開演19:00
2ndステージ 開場20:45 開演21:30
公演詳細>

2015年11月19日(木) ビルボードライブ大阪
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30
公演詳細>

【Stones Throw & STUSSY presents DâM-FunK JAPAN TOUR 2015 (Solo Live & DJ)】
2015年11月20日(金) 渋谷・SOUND MUSEUM VISION
2015年11月21日(土) 名古屋・club JB’s
2015年11月23日(月) 大阪・CIRCUS

Text: 安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。そろそろ冬の寒さが本格的になってくるころ。こん日は鍋物で温まるのが手っ取り早い。魚介をふんだんに使ったブイヤベースなら、ぜひともフランスの地中海沿い、プロヴァンスのカシスで生産されている白ワインを。すき焼きなら、個人的にはフランス・ボルドーのメルロか南イタリアのプリミティーボといった赤ワインを合わせたい。どちらも身体も心もホッコリさせてくれること間違いなし!

Photo: Yuma Totsuka


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