Album Review: ジェイソン・デルーロ流、ヒップ・ポップ・マナーに則った4th

2015年6月1日 / 18:00

 デビュー曲にしてNo.1獲得という、華々しいスタートを飾った「ワッチャ・セイ」を核に、「イン・マイ・ヘッド」、「ライディン・ソロ」と立て続けにTOP10ヒットを送り込んだ、デビュー盤『ジェイソン・デルーロ』から、6年。

 2011年にリリースされた2nd『フューチャー・ヒストリー 』は佳作だったものの伸び悩んだが、2年周期でリリースされた、3rd『タトゥーズ・オン・マイ・ハート』(2013年)から、「トーク・ダーティー」を筆頭に、「ウィグル」、「トランペッツ」と、ブラック・ミュージック本来の魅力を盛り込んだナンバーが大ヒットし、完全復活の兆しをみせた、R&B界のプリンス・ジェイソン。

 その勢いに乗せて、いよいよ4thアルバム『エヴリシング・イズ・4』がリリースされる。

 色気たっぷりのファルセットを活かした先行シングル「ウォント・トゥ・ウォント・ミー」が、すでに米TOP10入り、UK・オーストラリアではNo.1獲得に至っていて、あらためて現R&Bシーンのトップに君臨していると、世界規模で証明した。

 また、先行で配信された「ゲット・アグリー」や、スティーヴィー・ワンダーとキース・アーバンという、異例のコラボが実現した「ブローク」を聴くあたりも、本作は本人の現状を映しだすが如く、ノリにノッた、グルーヴィーなナンバーが出揃っている。

 カントリー界から出陣したキース・アーバンをはじめ、ノルウェーのDJマトーマやラテン界の女王・ジェニファー・ロペス、遅咲きながらもR&Bディーヴァの風格すらみせる、K・ミシェルなど、バラエティに富んだゲスト陣も、話題性に事欠かない。

 中でも昨年、“ぽちゃかわ歌姫”としてブレイクを果たした、メーガン・トレイナーとのデュエット「ペインキラー」は、ネクスト・シングルとしての候補としてあがりそうな、ポップ・チューン。本作のコンセプトとして、6月からスタートする、米FOX-TVによるオーディション番組『アメリカン・ダンス・アイドル』で務める、レギュラー審査員の抜擢が、ダンス系トラックに特化した要因なのかもしれない。

 前作で魅せた“黒っぽさ”は薄れたものの、ソウルからポップへ、マイケル・ジャクソン型の進化の遂げ方には、恐れ入る。完全にヒップ・ホップ・フィールドに移ったクリス・ブラウンにかわって、R&Bシーンのメジャーどころは、“ハイパーポップ貴公子”とうたわれているだけあり、ジェイソン・デルーロの時代なの、かも。

 日本盤ボーナス・トラックには、前作から「トーク・ダーティー」、「ウィグル」のリミックスも収録。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『エヴリシング・イズ・4』
ジェイソン・デルーロ
2015/06/10 RELEASE
2,376円(tax incl.)


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