出演ダリ、ミック・ジャガー、音楽ピンク・フロイド 映画史上最も有名な“実現しなかった映画”に迫ったドキュメンタリーが東京国際映画祭で上映

2013年10月24日 / 12:15

 現在、東京・六本木ヒルズに開催されている第26回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で『ホドロフスキーのDUNE』が上映され、監督のフランク・パヴィッチによるQ&Aが行われた。

 “ミッドナイト映画”の先駆者となった『エル・トポ』、その『エル・トポ』に感銘を受けたジョン・レノンが100万ドルを出資し、制作されたカルト的な人気を誇る『ホーリー・マウンテン』などの監督として知られる御年84歳のアレハンドロ・ホドロフスキー。

 そんな彼が、1974年にSF小説『DUNE』の映画化を企画。ローリング・ストーンズのミック・ジャガーを始め、ユーモラスな駆け引きの末、サルバドール・ダリ、オーソン・ウェルズまでが出演を快諾し、当時『狂気』のリリースで人気絶頂だったピンク・フロイド、そしてフランスのカリスマ的プログレ・バンドのマグマが音楽を担当予定だった。さらにはフランスのコミック作家メビウスや後に『エイリアン』シリーズのデザイナーを務めたH・R・ギーガーなど錚々たるキャストとスタッフを集め、撮影しようと試みられたものの、その前衛的なアイディアゆえ、制作に至る前に金銭的に不可能となってしまったという、その壮大な企画の顛末について描いたドキュメンタリーが、『ホドロフスキーのDUNE』だ。

 ドキュメンタリーには、ホドロフスキー監督はもちろん、作品に携わったプロデューサーのミシェル・セドゥ、ギーガー、クリス・フォス、そしてホドロフスキーのファンを公言している鬼才映画監督ニコラス・ウィンディング・レフンなどが出演しており、膨大なデザイン画や絵コンテなどの資料とともに、後に『スター・ウォーズ』『エイリアン』『マトリックス』などのSF映画史に絶大な人気を与える、映画史上最も有名な“実現しなかった映画”ホドロフスキー版『DUNE』の全貌が明らかになる作品となっている。

 上映後には、ドキュメンタリーを監督したフランク・パヴィッチが登壇し、残念ながらカットされてしまった撮影中のユーモラスなエピソードなど披露。ホドロフスキーによる『DUNE』については、「もし作られて、成功していたら、もちろん世界を変えていただろうし、大コケしても世界を変えていたと思う。もし大コケしていたら、その時に制作されていた『スター・ウォーズ』の撮影は打ち切られ、その後ハリウッドはSF作品に目を背け、ジャンル自体存在しなかったと思う。」「それは夏の大作にも影響を与えていただろうし、SFや『バットマン』シリーズなどがなかったら、19世紀イギリスのロマンス小説を題材とした作品がその代わりとして上映されていたかもしれない。」と作品の後世へ多大なる影響を語った。

 そしてカンヌ国際映画祭でプレミア上映された際に、初めて作品を観たホドロフスキー監督のリアクションについては「僕の隣が奥様でその隣がホドロフスキー監督だったので、上映中も彼がどのようなリアクションをするか気が気でありませんでした。でも最後のほうで涙を拭いていました。自分のアートワークが映像化されていくことを見て感動されたのかもしれないし、何十年と会っていないクリス・フォスやH・R・ギーガーが彼を讃えているのを聞いて感動されたのかもしれませんが、とても嬉しかった。そして上映が終わってから、彼に『どうでしたか?』と聞いたところ、一言『パーフェクトだよ』と言ってくれた。」とホドロフスキー監督自身からもお墨付きをもらったことを話した。

 『ホドロフスキーのDUNE』は2014年初夏に劇場公開される予定で、ホドロフスキー監督の23年ぶりの新作となる『リアリティのダンス』も2014年に公開されることが決定している。なお、監督が『リアリティのダンス』について全裸で語ったビデオも公開されているので、ファンは是非こちらもチェックして欲しい。

◎作品情報
『ホドロフスキーのDUNE』
監督:フランク・パヴィッチ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セドゥ、H.R.ギーガー、クリス・フォス、ニコラス・ウィンディング・レフン
2014年初夏公開
INFO: http://www.uplink.co.jp/dune/

『リアリティのダンス』
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
2014年日本公開
INFO: http://www.uplink.co.jp/dance/


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