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“オルタナティブ歌謡舞踏集団”龍宮城が、キャリア最大規模のアリーナ2DAYS公演【龍宮城 ARENA LIVE 2026 -SHIBAI-】を東京・TOYOTA ARENA TOKYOにて開催した。本稿ではその最終公演、3月1日公演の模様をレポートする。
開演すると、まず会場に流れたのは初披露となる「WALTZ」であった。ステージ上には、MVの世界観を彷彿とさせる、豪奢かつどこか不穏な晩餐の情景。食卓を囲むメンバーたちの姿は、どこか仄暗い空気感を漂わせている。優雅さと棘が混在する彼らの独特のパフォーマンスに、すぐさま息を呑まされる。続く「Mr. FORTUNE」で会場の空気を一気に支配すると、「BLOODY LULLABY」の冒頭で放たれた「騒げ!」という煽りが、アリーナを震わせた。
龍宮城の音楽は、EDMやラップといった現行の音楽シーンのトレンドを存分に吸収しながらも、その根底には“和”のエッセンスがあり、そしてどこか懐かしくも新しい“歌謡”の魂が脈打っている。「どこよりも深く、熱い音楽をお届けします。あなたが龍宮城の音楽に求めるもの――勇気も、安らぎも、熱狂もすべてぶつけます」と、「LATE SHOW」を前にKEIGOが力強く宣言すると、その言葉の通り、センターステージへと移動した彼らは、360度観客に囲まれたステージで、寸分の狂いもない表現を見せつけた。こうしたステージングから、彼らのライブは単なる歌唱やダンスの披露の場というよりはむしろ、聴き手の内面にまで侵食するような、魂を削る場だと感じる。
ダンスコーナーを経て披露されたのは、Rayが作詞を手がけた、本公演が初パフォーマンスとなった楽曲「OMAJINAI」。自らの言葉を激しいダンスに乗せて放つその姿には、セルフプロデュース体制へと移行した彼らの“個”の成長が色濃く反映されていた。続く「RONDO」「零零」と、一瞬の隙も与えない展開が続く。特に印象的だったのは、日本の伝統民謡を彷彿とさせるイントロから始まった「禁句」 である。土着的なリズムと現代的なビートが融合したこの楽曲は、彼らの“オルタナティブ歌謡”という看板を象徴するものであった。一方で「SEAFOOD」では、Ray、S、齋木春空の3人が寿司を賭けた勝負を展開し、緊迫したステージの中に瑞々しい若さと遊び心を覗かせる。このアバンギャルドな鋭さと、等身大のあどけなさが共存する二面性こそ、龍宮城という集団が持つ独特の引力だろう。「Mr. FORTUNE(MIC relay ver.)」ではメンバーたちが客席へと降り立ち、ファンと至近距離で切れ味鋭いラップを披露。ボクシングをモチーフとした躍動的な振り付けが光る「ギラり」では、サビ直前にSが不敵な笑みを浮かべて放った〈「お待たせ、メインディッシュの到着だぜ?」〉というセリフで、文字通り会場を熱狂の渦へと引き摺り込んだ。
ライブ後半、マイクを握ったKENTの言葉には、このステージに懸ける並々ならぬ覚悟が宿っていた。「過去と戦っている場合じゃない。現状維持は許されない。僕たちの未来にまで期待を膨らませられるような姿を見せたい」。その決意を具現化するように披露されたのが、初パフォーマンスの「熾火」である。龍宮城という物語の過酷さと美しさを体現するような歌詞、そして全員が横一列になって歌い上げる光景は、圧倒的な連帯感と“絆”を観る者に感じさせる。彼らのユニゾンには、個々の卓越したスキルを超えた、どこか不思議な力が宿っているように思う。
その後、「SAIGI」「SHORYU」、エレキギターを片手にKEIGOが独唱する「JAPANESE PSYCHO」と、畳み掛けるような攻撃的なセットリストが続く。「余白」を経て、ITARUと冨田侑暉をRayのピアノ演奏が支える「夜泣き」では、繊細かつエモーショナルな旋律がアリーナの空気を浄化していく。静と動、光と影。その対比が、龍宮城という劇薬の濃度をさらに高めていく。
映像演出を挟み、衣装を新たにした彼らは「あっかんべ」「裏島」「SUGAR」で、さらに会場の熱量を増幅させていく。「DEEP WAVE」「BOYFRIEND」を経たところで、この日最大の衝撃が訪れた。会場が真っ赤な照明に染まり、ただならぬ空気が漂う中、披露されたのは女王蜂のカバー「火炎」。高難度の表現力を要求されるこの曲に対し、彼らは一歩も引くことなく対峙。特筆すべきは、その驚異的な音域のレンジである。突き抜けるようなハイトーンのファルセットを美しく響かせたかと思えば、地を這うような重厚なバリトンボイスで聴き手を圧倒する。この高低差のギャップが生む迫力は、現在のボーイズグループシーンにおいて唯一無二の武器と言えるだろう。難易度の高いダンスをこなしながら、最後まで一切の疲れを見せず、むしろエネルギーを増幅させていく7人の姿。そこには、ただのカバーを超えた、強い覚悟がその表情に燃え盛っていた。
ライブの締めくくりとして披露されたのは「2MUCH」「エグレメクレ」、そしてラストナンバーの「OSHIBAI」であった。そこで彼らは鋭い眼差しで言い放つ。「誰かになる必要なんてない。あなたはあなたでしかないから」「今を生きている。ただこうして、過去をも昇華して舞い上がる。自分であり続けるために」。この言葉は、そのまま「OSHIBAI」という楽曲の核心へと繋がる。演じること、生きること、そして自分自身であることを肯定する力強い叫び。彼らは、自らの“芝居”をこのアリーナで完璧に演じきってみせた。
終演後には、スクリーンに新曲の映像がサプライズで映し出された。余韻に浸る暇すら与えず、常に次の一手を見せつけるその姿勢こそが、龍宮城の勢いそのものと言えるだろう。
ライブ全編を通して感じたのは、彼らの底知れぬポテンシャルと、それを形にするための血の滲むような努力の跡だ。激しいフォーメーションチェンジを繰り返しながらも、最後まで崩れないボーカルとダンス。セルフプロデュースによって研ぎ澄まされた7人それぞれの個性。そして、それらが重なった時に放たれる、暴力的なまでの輝き。現状維持を拒み、過去を昇華し続ける彼らの活動は、この公演を経て、さらに加速していくに違いない。
Text:荻原梓
Photo:木村泰之、石井亜希、椋尾詩
◎公演情報
【龍宮城 ARENA LIVE 2026 -SHIBAI-】
2026年3月1日(日) 東京・TOYOTA ARENA TOKYO
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