<インタビュー>オール・タイム・ロウ、“最も自分たちらしい” 新作や来日公演の可能性について「いつも日本各地でライブしようと」

2025年12月29日 / 10:00

 現地時間2025年10月18日、19日に【When We Were Young Festival】(以下 WWWY)が米ラスベガスで開催された。“私たちが若かった頃”と題した今年のフェスのヘッドライナーをブリンク182とパニック!アット・ザ・ディスコが務め、30~40代があの頃を思い返すようなバンドが1日に50組ほど出演した。

 フェス前日の10月17日にニュー・アルバム『Everyone’s Talking!』をリリースしたオール・タイム・ロウのフリーライブの模様をお伝えする。また、ヴォーカル/ギターのアレックス・ガスカースに後日メールインタビューを行い、最近の音楽活動や、当日を振り返ってもらった。

 『Everyone’s Talking!』は彼らがFueled by Ramenを離れて初めて発表するフルアルバムで、前日にSNS告知されたイベントにもかかわらず、多くのファンがラスベガスのダウンタウンにあるフリーモント・ストリート・エクスペリエンスに詰めかけた。

 会場は熱気に溢れ、彼らのファン層がここ数年でかなり広がったことも感じた。今までは10代、20代の女性が多かった印象だが、男性も増え、親子や60代を超えたような老若男女が彼らのグッズを身に着け、シンガロングしていた。

 20時開始と告知されていたライブは、20時20分ごろにスタート。フリーライブといえども、全17曲を演奏し、ほぼ単独公演のようなセットリストであった。新作から「COLD OPEN」「OH NO!」「SUCKERPUNCH」「LITTLE BIT」「BUTTERFLIES」「THE WEATHER」が披露された。

 2003年に結成、2005年に1stアルバムをリリースしたオール・タイム・ロウは、今年デビュー20年。今回のアルバムは、バンド初期を思わせるポップパンクらしいノスタルジックなサウンドと、キャリアを重ね30代半ばとなった彼らの成熟した表現力が見事に融合している。オール・タイム・ロウの“今”を感じさせる作品だ。

――2024年5月に日本で公演を行いましたが、ひさしぶりの来日はいかがでしたか?

アレックス・ガスカース:久々の日本でのライブで、とても楽しく過ごしました。今回はオール・タイム・ロウの結成20周年を祝うタイミングでもあって、日本中のファンのみんなからの愛を感じられたことは、このバンドがどれだけ大きく成長してきたのかを強く思い出させてくれるものでした。日本は僕たちがライブをするのが本当に大好きな場所のひとつで、その愛を同じように返してもらえると感じられるのは本当に嬉しいです。今回のツアーで日本に行くのが初めてのクルーが何人かいたので、大好きな場所を全部案内しました。ゴールデン街や、僕が散歩するのが好きな神社や公園(明治神宮など)にも連れて行きましたし、お気に入りのバーやレストランにも(新宿のBar Ben Fiddich、そして大阪のRockRock Barとか!!)。

――10月17日にニューアルバム『Everyone’s Talking!』がリリースされました。Basement Noise Records、Photo Finish Records、Virginからのリリースですが、今回はよりインディペンデントな方向性を取っているということでしょうか?

アレックス:はい! キャリアの中で、自分たちのレーベル(※インプリント=大きなレーベルの中にある、アーティスト自身やチームが運営する小さいレーベル/ブランド)を立ち上げるところまで来ることができて、今はアルバムのサイクルを自分たちでコントロールできるようになりました。とても学びの多い経験になっていますし、新作を成功させるためにPhoto FinishとVirginのチームと一緒に取り組めているのは本当に運がいいと思っています。

――前作『Tell Me I’m Alive』を最後にFueled by Ramenを離れましたが、その決断の理由を教えていただけますか?

アレックス:契約した頃と今ではレーベルの体制が大きく変わっていて、ちょうど契約期間も終わったタイミングだったので、お互い前に進むいい機会だと感じました。新しいスタート、新たな挑戦にとてもいいタイミングだったと思いますし、FBRで一緒に成し遂げてきたことに対しては本当に誇りを持っています。

――今作『Everyone’s Talking!』に込めたアイデアやメッセージ、そして過去の作品との制作過程の違いや印象的なエピソードがあれば教えてください。

アレックス:このアルバムは“生き抜くこと” と“癒し” をテーマにしていて、再び信じることや誰かの愛を受け入れられるようになるまでの道のりを描いています。人として成長していくためには、時には自分の中で役目を終えたものを手放すことも必要なんだという気づきも込められています。制作はとても限られた人たち、親しい仲間やコラボレーターだけで行いました。そのおかげで、これまでで最もオール・タイム・ロウらしい作品になったと感じていますし、2025年以降のこのバンドのあり方にも、とても満足しています。

――10月17日のリリース当日、ラスベガスのフリーモント・ストリートでフリーライブを行いましたが、あの体験はいかがでしたか?

アレックス:ライブは本当に最高でした! ライブ前日に急遽発表したので、どうなるか全く予想がつきませんでした。誰も来ないかもしれないと思っていたのですが、実際には何千人もの人が集まってくれました。たくさんの人が新作のリリースを祝って集まってくれて、本当に驚きと感激でいっぱいでした。その日はまるで自分たちがラスベガスを支配したかのような気分になりました!

――【WWWY】はいかがでしたか? このフェスティバルを一言で表すとしたら?

アレックス:最高に楽しかったです。とにかく暑くて、観客のみんなが僕たちのステージに全力でエネルギーをぶつけてくれているのを感じました。一言で表すなら……ワイルドです。

――来年はイギリス/ヨーロッパ・ツアー、さらにオーストラリアのフェス出演も発表されています。日本に戻ってくる予定はありますか?

アレックス:そうしたいです! 僕たちはいつも日本各地でライブしようと考えています。タイミングと運がうまく合えば、できるだけ早くまた戻って来られると思います。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

アレックス: 20年以上にわたって僕たちを応援してくれて、本当に感謝しています。日本にファンがいてくれることは僕たちにとって本当に幸運なことで、ライブをするのも大好きです。またすぐに戻れる日が待ちきれません!

Text by RUMI MAEDA
Photos by Nick Stafford (All Time Row Everyone’s Talking! at Fremont Street) / When We Were Young Presented by 7-Eleven


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