<ライブレポート>Chilli Beans.が初ビルボードライブ公演開催、自然体で届けた生身のサウンド

2025年10月23日 / 18:00

 Chilli Beans.が【Billboard JAPAN Women In Music vol.3】のライブ企画に出演。自身初のビルボードライブ公演を10月9日に横浜で開催した。

 1日に2回行われたライブのうち、この記事では18時開演の1stステージの模様をレポートする。開演時刻を迎えると、Moto(Vo.)、Maika(Ba. / Vo.)、Lily(Gt. / Vo.)、サポートドラマーの吉田雄介、サポートピアニストの半田彬倫が登場した。この日、Chilli Beans.は5人編成でのライブを初披露。シーケンス(同期)を一切使わない肉体的なアンサンブルを観客に届けるとともに、普段とは一味違うステージをファンと一緒に楽しんだ。約70分のステージに16曲を盛り込んだセットリストも大充実の内容で、非常に音楽的なライブだった。

 ピアノのフレーズに、Motoが静かにハミングを乗せる。スポットライトがMotoを仄かに照らすなか、やがてMaikaのハミング、Lilyのアルペジオが重なっていく。そうして始まった1曲目は「border line」。Motoの歌声の浮遊感、音と音の繊細な重なりによる美しさに、人々が息を呑んだオープニングだった。

 そして、スタンドからマイクを抜き取ったMotoの「一緒に楽しんでいきましょう」という投げかけ、次の曲を導くMaikaと吉田のセッションをきっかけに空気が変わる。続いて披露されたのは「rose feat. Vaundy」で、ワウギターと指弾きで紡ぐベースラインを効かせたグルーヴィーな演奏を効かせたグルーヴィーな演奏に、観客の体も自然と揺れた。赤の緞帳に照明の丸い光が散らされると、薔薇の花びらのようで印象的だ。その後、Lilyが奏でたのはファンにとって馴染み深いギターリフで、3曲目に「lemonade」が登場。特別編成とはいえ、ラグジュアリーなシチュエーションに合わせてかしこまるのではなく、あくまで自然体で、ナチュラルなバイオリズムによるアンサンブルを聴かせてくれるのがチリビらしい。ステージと客席の距離が近い会場なのも相まって、メンバーとオーディエンスの音楽を通じたコミュニケーションは穏やかに深まっていった。

 「pineapple!」はMaikaのホイッスルが始まりを告げる楽曲だが、この日はホイッスルが上手く鳴らず。「なんで最近調子悪いのかな?」とメンバー同士笑い合ったり、スペアのホイッスルを吹いて観客に「どっちにしようかな?」と尋ねたりと、飾らないやりとりを繰り広げつつも、仕切り直してからの演奏は絶好調。リズムワークがとにかく気持ちよく、アウトロでのセッション(ライブならではのアディショナルアレンジである)も最高だった。

 短いMCを挟み、ピアノのフレーズとともに場内の照明がトーンダウンする。ここで披露されたのは「stressed」「yesterday」「wonderland」といったミドルナンバー。リズムやコードをループさせる構成をとりつつ、じわじわと変化するアンサンブルが聴きどころで、観客はその滋味豊かな味わいを楽しんだ。Motoが深くブレスをとって歌い始めたバラード「夢」は、観客の手元のグラスの氷が鳴り、ピアノの伴奏と混ざり合う様が風流だ。この曲の序盤はMotoのボーカル、Lilyのコーラス、半田のピアノという三重奏によって届けられ、原曲よりも静謐な雰囲気をまとっていた。

 一転、「105●」は、ハロウィン間近のこの時期に似合うダークファンタジー的な世界観。前方の席の観客と手を繋ぎながら歌うなど、いたずらっぽい振る舞いを見せたMotoは、「(客席と)すごく近いから安心して目を合わせられる」と笑顔で語っていた。そして「Tremolo」では、ミラーボールが回るなか、観客がリズムに合わせて腕を振り、積極的に声を出して楽しんでいる。バンドの演奏もノリにノッていて、白熱のアンサンブルに観客が歓声を飛ばす場面も。続けて、公演前日に配信リリースされたばかりの新曲「that’s all i can do」も披露され、場内のテンションは最高潮に達した。

 ライブの終盤に差し掛かり、Maikaが「楽しんでますか?」と尋ねると、観客が拍手で応えた。「ビルボードライブということでいつもとちょっと雰囲気が違って、こちらもすごく楽しいです」と心境を語ったMaikaが「美味しいもの食べてる? 何食べてるの? 演奏しながらそっちからいい匂いがするのよ」と観客に笑みを向ける。Motoも「ちゃんと埃をたてないように、こっちも気を付けようねって話をして」と明かし、メンバーがこの特別な空間を存分に楽しんでいることが伝わってきた。

 夕陽のような光が差すなか、夏の終わりのノスタルジーに寄り添うように奏でられた「ひまわり」、そして「Vacance」「just try it」を届け、ステージを去ったChilli Beans.。拍手に呼ばれてのアンコールでは、まず「シェキララ」を披露。観客が拳やタオルを掲げて楽しむなか、Motoが「Are You Ready!?」と投げかけ、観客の「イェーイ!」とともにサビへ突入するなど、普段のライブハウスやフェスと変わらない弾けっぷりを見せた。サポートメンバーを送り出したあと、「とにかく楽しいし、(客席と)近いのがいい。みんなの顔を見たら安心しました」と感想を語ったChilli Beans.は、最後に「escape」を3人きりで奏で、温かな余韻を観客の胸の内にもたらしたのだった。

Text:蜂須賀ちなみ
Photo:マスダレンゾ

◎セットリスト
【Chilli Beans.
Billboard JAPAN Women In Music vol.3】
2025年10月9日(木)神奈川・ビルボードライブ横浜
1. border line
2. rose feat. Vaundy
3. lemonade
4. pineapple!
5. stressed
6. yesterday
7. wonderland
8. 夢
9. 105●
10. Tremolo
11. that’s all i can do
12. ひまわり
13. Vacance
14. just try it
En1. シェキララ
En2. escape

◎ツアー情報
【Chilli Beans. “good days tour”】
2026年1月24日(土)福岡・Zepp Fukuoka
OPEN 17:00 / START 18:00
出演:Chilli Beans. / NEE

2026年2月11日(水・祝)愛知・Zepp Nagoya
OPEN 17:00 / START 18:00
出演:Chilli Beans. / 礼賛

2026年2月14日(土)大阪・Zepp Namba
OPEN 17:00 / START 18:00
出演:Chilli Beans. / muque

2026年2月20日(金)東京・Zepp Haneda
OPEN 18:00 / START 19:00
出演:Chilli Beans. ※ONEMAN SHOW

チケット:
1Fスタンディング 前売:¥7,000(税込)、当日:¥7,500(税込)
2F指定席 前売:¥7,500(税込)、当日:¥8,000(税込)
※1申し込み4枚まで/未就学児入場不可/入場時別途ドリンク代必要
オフィシャル先着先行実施期間 : 10月8日(水)18:00 ~ 10月29日(水)23:59

◎リリース情報
シングル「that’s all i can do」
2025/10/8 DIGITAL RELEASE
TBS火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』挿入歌

※●はスマイルマークの特殊文字


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