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2024年にアーティストデビュー10周年を迎えたTRUE。『響け!ユーフォニアム』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』など人気アニメの主題歌で絶大な支持を集める一方、“唐沢美帆”名義で作詞家として数多くの楽曲を手がけるなど活躍の場は広い。今回はTRUEが2022年に行ったアコースティック編成によるライブ【Acoustic Live TRUE NOTE page.1】に続く、【TRUE NOTE page.2 -Billboard Live Night-】をビルボードライブ横浜とビルボードライブ大阪で開催。ここでは9月19日ビルボードライブ大阪の1st Stageの模様を紹介したい。
メンバーに続いて黒いドレスに身を包んだTRUEが登場し、はじめに今日の特別な編成を紹介。堀倉彰(Pf.)、バンマスの山下洋介(Gt.他)に加え、三國茉莉(Vn.)、三品芽生(Va.)、林田順平(Vc.)、陸悠(Sax , Fl.)をTRUEが一人ひとり紹介していくと、一つひとつの楽器の音が重なってゆく。最後に客席に向かい「最後までどうぞ楽しんでください!」の挨拶を終えると、TRUEもメロディオンで演奏に加わり、1曲目の「Happy encount」へつながってゆく。ワクワクするようなオープニングに客席から大きな手拍子が起きる。
TRUEの奏でるメロディオンの音色はくっきりとした存在感があって、ストリングスを交えた晴れやかな演奏にひときわ映える。軽快なテンポに乗って歌が始まると、色鮮やかな歌声が一瞬にして会場いっぱいに広がってゆく。ステージではバンマスの山下がノリノリで拳を振っていて、ライブ冒頭から温かいムードが会場を満たしてゆく。続く「Fraction」は曲調が一転。終わってしまった愛に思いを寄せ切々と歌い上げるこの曲で、TRUEはアコースティック・ギターを弾き、間奏ではグロッケンを演奏。歌だけにとどまらず、音を奏でることでも自身の世界を届けたいという思いが伝わってくる。
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の挿入歌である「Letter」はチェロとピアノ、ボーカルのみの編成で。歌詞の言葉一つひとつをそっと手渡すように、客席の端から端の奥まったところにも視線を送りながら歌を紡いでゆく。同作のオープニング主題歌だった「Sincerely」は、TRUEの奏でるグロッケンから演奏がスタート。繊細でいて輝くようなグロッケンの音色とストリングス、サックスがひとつに溶け合った演奏は、人の心や感情の動きを知らなかったヴァイオレットが、さまざまな人と出会い接していくなかで少しずつ変化していくさまを表現しているようにも聴こえる。聴く人によって去来するシーンはさまざまだろうし、中にはこの場で初めてこの曲に出会う人もいたかもしれない。聴く人の心にそっと温かい火を灯すようなアレンジが、この曲の持つ魅力をさらに深く広く伝えていた。
TRUEがビルボードライブ大阪のステージに立つのは昨秋以来1年ぶりで、「今年もこのステージに立たせてもらえることをとても光栄に思っています」と頭を下げる。昨年のライブではドラムのいる編成だったが、今回は趣向を変えてさまざまな編成で音楽を届けたいと語った。ライブハウスやホールとは一味違うビルボードライブの雰囲気に、肩に力が入っている客席の空気を感じたのか、「…みんな、緊張してる?(笑)」と気遣いを見せる一幕も。「金曜日の夜なので、美味しいお食事とお酒でリラックスして楽しんでくださいね」と緊張をほぐすように笑いかけた。
MCに続いては、数ある秋の曲から選んだという椎名林檎のカバー「茜さす 帰路照らされど…」をピアノとサックス、ボーカルのトリオ編成で披露。茜色の照明がさすなかでTRUEは椅子に座って歌っていたが、ときには背中を反らせ、ときには顔が見えなくなるほど深く上体を傾け、夕暮れどきの切なさと報われない思いを抱えたやるせなさが交差する、メランコリックな歌の世界を全身で表現。圧倒的な歌唱力。声に自身のすべてを注ぎ込むようなパフォーマンスは後半のスキャットでも変わらずで、客席も微動だにせず受け止めていた。
柔らかなビオラの音色とピアノ、歌声だけで紡いだ「Unsung ballad」に続く「ユーレカ」もまた、表現者としてのTRUEの神髄に触れることができた1曲だったのではないだろうか。『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第三章 群青のアステロイド』エンディング主題歌として作られた「ユーレカ」を、勇壮に、また儚げに物語の世界を歌詞の言葉と歌声、一瞬一瞬の表情や凛とした歌う姿そのもので演じるように表現。「一曲入魂」という言葉をこの日TRUEは口にしていたが、会場を埋めた人は、TRUEが手渡しで届けるように歌に込めて表現したものを余すところなく存分に味わうことができたに違いない。
アニメ『響け!ユーフォニアム』でお馴染みの「ReCoda」では、「お客様の中に吹奏楽をやっていらっしゃった方はいますか?」と呼びかけ、客席から二人をステージにお招き。さらに前列のファンが手にしていたミャクミャクのマスコットを「借りていい?」と手に持ち、ステージ上の9人とミャクミャク、さらに特大のクラップとコーラスで客席も参加し、会場全体で曲を作り上げていく。歌詞の〈ひとりが ふたりへと ふたりが みんなへと 重なる 喜びよ 全部、歌になれ!〉を誰もが心ゆくまで噛み締めたひとときだった。
特別に写真撮影が許可された「Another colony」では、カメラを構える全方向に笑顔を向けたり、指でハートを作ったり、客席と同じ目線まで近づいたりと、聴き手との距離がより縮まっていく。最後は「もう一度この場所に帰ってこれますように」との願いを込めた「フロム」。歌いながらドレスのスカートをきゅっと握りしめ、思いの丈を歌声に託す瞬間もあれば、温かな眼差しで客席に手を差し伸べる場面も。生音ならではの繊細で温かな演奏が、この曲の持つ感情の振れ幅も会場全体をもやさしく受け止めているようで聴く者の胸を熱くした。
アンコールに応え再びステージに登場すると、TRUEの髪にはファンから贈られた花で作った髪飾りが。ピアノとサックス、TRUEはアコギを手に4人でまずは「フローズン」を披露。しっとりと始まった曲は中盤からテンポアップし、客席も手拍子で参加。さらに「歌って!」というTRUEのリクエストに大きなシンガロングが起こる。ストリングスの3人も登場し、いよいよ最後の曲。と、その前にTRUEから、すでにアナウンスされている2026年2月に開催する【セルフカバーLIVE vol.1 -みほのうた-】、【TRUE Live Tour PLAY! vol.2 -つるのうた-】に続く新たなツアー【TRUE Live Tour PLAY! vol.3 -乱舞-】の開催が発表された。宮城、広島、大阪、そして最終日の東京は、2021年に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』オーケストラコンサートが行われ、TRUEが「いつかこの場所でワンマンをやりたい」と目標に掲げていたというLINE CUBE SHIBUYAにて。
最後は、「TRUEとして転生(デビュー)してきたときの気持ちを込めた曲」との言葉を添えた「TRUE COLORS」。雲間からさす太陽の光のように、まっすぐな輝きをたたえたこの曲にも、喜怒哀楽さまざまな思いが詰め込まれている。歌い終えてもう一度メンバーを紹介し、最後はマイクを外して、「また忘れられない思い出が1ページできました。私の音楽に手を伸ばしてくれて、会いにきてくれてありがとう」と深々と頭を下げる。メンバーを見送ったあと、大きな手拍子が鳴り響くなか客席に降り、段差のある場内をゆっくりと歩いてお客さんに手を振り、握手をかわし、ハイタッチ。TRUEが会場を後にしてからもしばらくのあいだ、拍手は鳴り止まなかった。
音数を厳選したアコースティック編成によるこの夜の演奏は、歌とそこに込めたメッセージをより身近に感じさせてくれるようで、通常のコンサートとは違った特別感をもたらした。何よりTRUEのボーカルとストリングスの親和性の高さが素晴らしい。一つひとつ夢を叶えながらアーティストとして進化の道を歩んでいるTRUEの歌は、ハッピーな瞬間も、胸を焼き切るような思いも、どれも欠かすことのできない大切なものなんだよと教えてくれているよう。その歌の数々は聴く者の心にポジティブな火を灯しながらこの先もずっと鳴り続けてゆくに違いない。
Text:梶原有紀子
Photo:”SUGI” Yuya Sugiura
◎セットリスト
【TRUE NOTE page.2 -Billboard Live Night-】
2025年9月19日(金)大阪・ビルボードライブ大阪
1. Happy encount
2. Fraction
3. Letter
4. Sincerely
5. 茜さす 帰路照らされど…
6. Unsung ballad
7. ユーレカ
8. ReCoda
9. Another colony
10. フロム
-En-
11. フローズン
12. TRUE COLORS
◎公演情報
【セルフカバーLIVE vol.1 -みほのうた-】
2026年2月7日(土)京都・KBSホール 12:00開場 / 13:00開演
2026年2月21日(土)東京・EX THEATER ROPPONGI 13:00開場 / 14:00開演
◎公演情報
【TRUE Live Tour PLAY! vol.2 -つるのうた-】
2026年2月7日(土)京都・KBSホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年2月21日(土)東京・EX THEATER ROPPONGI 17:30開場 / 18:30開演
◎公演情報
【TRUE Live Tour PLAY! vol.3 -乱舞-】
2026年5月6日(水・祝)宮城・電力ホール
2026年5月16日(土)広島・アステールプラザ中ホール
2026年6月20日(土)大阪・NHK大阪ホール
2026年7月17日(金)東京・LINE CUBE SHIBUYA
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