<ライブレポート>NOA デビュー5周年ライブで覗かせた“本当の自分”の存在 光と闇が導くこれからの姿に注目

2025年9月22日 / 17:00

 今年1月にアーティストデビュー5周年を迎えたNOAが、9月13日に神奈川・横浜BUNTAIにて、【NOA 5th Anniversary Special Live “LiGHTS”】を開催した。

 2020年1月に配信リリースしたシングル「LIGHTS UP」で本格的に音楽活動をスタートさせ、翌年にはメジャーデビューを果たしたNOA。昨年5月には、「作詞×作曲×振り付け」を手がけ、「日本語×英語×韓国語」を話すことができるトリリンガルである自身を構成する3つの要素をPrimary Colors(三原色)で表現した2ndアルバム『Primary Colors』をリリースし、全国ホールツアー【NOA “Primary Colors” HALL TOUR IN JAPAN ~Flashing Lights~】を大成功に収めた。日本はもちろん、韓国、タイ、インドネシア、フィリピンといったアジア各国のファンに向けて、カラフルで光り輝くようなポジティブなメッセージを届けてきたNOAだが、この5周年記念ライブは“光”に対立すると考えられる要素である“闇”にも焦点を当てたステージとなっていた。

 オープニングVTRではNOAの口から「光と闇は常に絡み合っている」ことが英語で語られ、“光”は自分の一面に過ぎず、輝き続けるためにも自身の“闇の存在”を含有した“本当の自分”をしっかりと表現していく意思を表明した。そして、アリーナ全体にガラスが割れる音が響き渡るなかで、暗転した場内に闇を切り裂いたような十字の光が浮かび、2階建てのステージの最上段にNOAが登場。サングラスをし、赤いマントを羽織った彼は、この日のためにリミックスされた「It Ain’t Over」を歌いながら、黒いマントを被った28人のダンサーが待つ下段のステージへとゆっくりと降りていく。覚悟を決め、闇から〈光が差す方へ〉と歩みを進めた彼がダンサーに囲まれたと思う否や、素肌に黒のレザージャケットだけを羽織った姿に変化。「RED ZONE」で真っ赤なレーザー光線や炎、スモークが立ち上がる中で激しいダンスパフォーマンスを繰り広げると、観客は盛大なクラップと完璧なコールで応え、場内の熱気は一気に高まっていった。

 最初のMCで「今日はみなさんに5年間の自分を見せます」と挨拶すると、「Just Feel It」でサングラスを外して、ニュージャックスイングが流れる夜の街へと舞台を移すと、「Runaway Love」での女性ダンサーとのペアダンスには満員の観客から悲鳴が上がった。さらに、「Don’t Waste My Time」ではNOAを含むダンサーたちによるミュージカルのようなラブストーリーが展開、そこから「まだリリースされてない曲なんですけど、知ってる方もいるかな?」と語った「Eyes On Me」では、NOAが一人でセンターステージへと移動し、スタイリッシュかつクールな世界観で観客の視線を一心に集めた。

 初のスケジュールやコロナ禍での無観客オンラインライブからZeppツアーを経て、アジアへと広がっていったこれまでのライブの軌跡を辿った映像のあと、青いジャケットを羽織った「Better」のメロウなグルーヴで観客の体を揺らし、「Fireworks」では巨大なLEDスクリーンに満天の星空が浮かび、大きな花火が打ち上げられた。

 「ここからはみんな、テンション上げてジャンプできますか?」と呼びかけた「Last Letter」ではミラーボールに照らされた場内でジャンプはもちろん、シンガロングも発生。海外のバイラルチャートも席巻した「TAXI」でピアノのバッキングに合わせた軽々なステップで踊ると、ブレイクビーツボッサ「Paradise」では観客も一緒に踊り、会場が一体となって盛り上がった。

 都会の夜の街からクラブで遊び、次はライブハウスへ。昨年のビルボードライブツアー同様バンドスタイルで上がると、「answer」ではジャケットを脱ぎ、シャツ1枚でタオルを思い切り回しながらパフォーマンス。さらに「COLORS」「gimme」とファンキーなバンドサウンドに合わせて、セクシーかつキレのあるダンスで観客を魅了すると、「Ticket」「Seasons」ではスタンドマイクでエモーショナルな歌声を響かせた。

 ここで、「好きな人のために好きな人をあきらめる、夏の終わりにぴったりの切ない曲です」という言葉に導かれ、2025年第3弾シングルとしてリリースされた新曲「Just Say It」を初披露。場内のペンライトが歌詞に合わせた〈儚く散る青光り〉で満ちる中で、微かな後悔をはらんだ静かで優しい歌声を届けた後、オーディションで集められた20名からなる「MEGA DANCER」とTEAM NOAの8人のダンサーを含む28人を従えて踊った未発表曲「WE ALL READY」の流れは、本公演のポイントのひとつだっただろう。

 「光と闇が混在する中で、闇の自分がもう少し素直になって書いた楽曲です。僕が感じる葛藤にはみなさんも絶対に共通するものがあると思います」と語った後、「まだ見せきれていない闇の部分をお見せしたい」と呼びかけ、映像ではショーマンとして仮面を被った自分や、誰にも見せていない自分の影と向き合い、「俺は決して受け入れられない」と苦悩するNOA。そして、「BURN」「Multiverse」では光と闇、ポジティブとネガティブ、集団と個という、相反する感情や環境に苦しめられる様をカオティックに表現していく。

 しかし、最後の映像で画面の中にいるNOAが振り返り、ペンライトの光で包まれた空間に気づくと、会場のカメラ映像に切り替わり、現実の世界へと繋がった。この瞬間のダイナミズムはライブならではの醍醐味であった。本編ラストは、始まりの曲である「LIGHTS UP」。〈全てが始まるよ〉というフレーズには、5周年にして、ここから闇の部分も見せていくという決意と覚悟が込められているのだろう。ハンドマイクで踊りまくるNOAと観客はクラップを打ち鳴らしながら、未来で輝くための“影”を共有。紫色のテープが舞い散ると場内には圧倒的な開放感が広がっていった。

 本編が終わった後、すぐに5年間を振り返るインタビュー映像が流された。ファンへの愛や感謝、ライブへの思いを語るとともに、「僕は常にみなさんの前では光のような存在でありたいです。でも実は闇の部分、ネガティブな部分も結構あって。気づかないフリをした時もあったし、ただそこに浸ってる時もありました。でも、そういった影の部分もあったからこそ、いろんなことを乗り越えて、この5年目を迎えることができたことを見せたかったんです」と本ライブのコンセプトを明かした。

 そして、ライブTシャツで再登場したNOAは、ファンソング「Purple Sky」でNOANAに向けて〈この声が枯れても/この歌を歌い続けるよ〉というメッセージを送ると、場内は観客の大合唱。ライブアレンジされた「between」でもコールが起き、心地のいい一体感に包まれた。さらにNOAは今年7月配信の「Merry Go Round」を歌いながら、ステージからフロアに降り、アリーナだけでなく2階席まで歩き回る。一部ファンとはハイタッチまでするサプライズまであり、そのあまりの距離の近さに場内は大騒ぎとなった。

 そして、「これからの5年間を走り続ける自信をもらったので、絶対に歌い続けるし、突き進んでいきます」と未来に対する決意を口にする。ファンクポップ「Highway」では観客と手を一緒に左右に振ってひとつになり、コール&レスポンスも実現。さらに、この日一番大きなコールが湧き上がったシンセポップ「Red Light」で〈行かないで〉というラインが響き渡る中でライブはエンディングを迎えた。自身の闇の部分をも見せていくと表明したNOAがこれからどんな5年間を歩んでいくのか。この先のターニングポイントのひとつとなる、極めて意義深いステージだったと思う。

Text by 永堀アツオ

◎リリース情報
「Just Say It」
2025/9/14 DIGITAL RELEASE

◎公演情報
【NOA Billboard Live 2025】
2025年12月2日(火)神奈川・Billboard Live YOKOHAMA
2025年12月8日(月)大阪・Billboard Live OSAKA
2025年12年10日(水)東京・Billboard Live TOKYO

【NOA HALL TOUR 2026】
2026年1月10日(土)大阪・東京建物 Brillia HALL箕面(箕面市立文化芸能劇場)大ホール
2026年1月17日(土)愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール
2026年1月25日(日)宮城・仙台電力ホール
2026年1月30日(金)、31日(土)東京・LINE CUBE SHIBUYA


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