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Sundae May Clubが、9月14日にバンド史上最大キャパのワンマンライブ【まぼろしロック】を東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催した。
浦小雪(Vo./Gt.)、みやはら(Gt.)、ヒロト(Dr.)の3人からなる3ピースバンド、Sundae May Club。オルタナティブながらポップなギターロックを鳴らす彼女たちに、この日は最近のライブではお馴染みとなっている、とものしんがサポートベースとして加わり、4人編成で臨んだ。
リキッドルームは、多くのバンドにとって登竜門的な意味を持つライブハウスでもある。Sundae May Clubが約1年前に行ったワンマンライブは渋谷クラブクアトロで、今回はその1.5倍近いキャパシティを誇る。リハーサルの時点で、メンバーたちの表情からは会場の大きさに対する緊張感が伝わってきた。
しかし、開演を目前にフロアは観客で埋め尽くされていた。17時5分、照明が暗転し大きな拍手が湧き起こる中、浦小雪、みやはら、ヒロト、とものしんがステージに登場。ゆっくりと楽器をセッティングすると、浦のギターと歌とともに「春」でライブをスタート。そこにみやはら、ヒロト、とものしんのアンサンブルが加わると、観客の手が一斉に上がった。浦以外の3人は向かい合い、気持ちよさそうに音を奏でている。
続く「PLAY!」では、浦の「歌ってー!」という呼びかけに応えるように、観客がシンガロング。とものしんのグルーヴィーなベースループから「1,2,3」のカウントでテンポアップし「サイダー」へ。みやはらの軽快なギターソロが会場を駆け抜ける。楽器だけでなく、表情からも楽しさが溢れ出す。「魔法とシャッフルビート」では跳ねるヒロトのリズムに浦も笑顔を見せ、「ら・めぞん」ではとものしんがコミカルな動きで音に乗る。リハーサル時の緊張はすっかりどこかへ消えていた。
演奏パートが終わりMCへ移ろうとするも、浦はあたふた。なんと話す内容をメモしたMCノートを楽屋に忘れてきてしまったのだ。客席からあたたかい笑いが起こる中、みやはらがたくさんの観客が集まってくれたことに感謝を述べる。浦も「のっけから泣きそうになっちゃって。ここに立てて感慨深いです。ありがとうございます」と語ると、スタッフがMCノートを届け、表情は一気に軽やかに。「最近雨続きでしたが、今日は降っていない。ラッキーデーですね。もっともっとラッキーにしちゃいますよ!」と告げ、「Teenager」へ。落ちサビ前のパートでは観客の手拍子も起こった。疾走感あふれる「しとろんの週末」、浦の激しいギターバッキングから始まる「サボン・セシボン」では、みやはらのギターソロに会場が沸く。「ロックンロール」では、浦のメロディに呼応するようにみやはらのギターも歌った。
スロウでメロウな「月夜に奥二重」を演奏したあと、浦は再びMCノートを手に取る。「SundaeはアイスクリームのSundae。長崎県からやってきました、Sundae May Clubです!」と改めて挨拶し、メンバーを紹介。「みんなの楽しい気持ちをもっと増幅させにきました!よろしくお願いします!」と伝えて「少年漫画」へ。きらめきの中に刹那を閉じ込めた名ポップソングだ。代表曲「晴れるな」「やまない」を続けて演奏し、浦はアコースティックギターに持ち替えて「水色」をしっとりと歌い上げた。
「ライブをするたびに、私たちの音楽が届いているんだと実感するし、バンドをはじめたからこうして出会えたんだなと幸せです」と浦。さらに「伝えたいことって考えれば考えるほどぐちゃぐちゃになって、最終的には宇宙くらい大きくなってしまう」と頭の中を語った。
「本当に言いたいことは、私がいて、あなたがここにいる。それだけが尊くて嬉しいこと。それ以上も以下もない。ただただ嬉しい気持ちです。今日一緒にここにいてくれて、本当にありがとうございます。幸せです」と真っ直ぐに想いを伝える。
一転、疾走感あるオルタナギターロックの最新曲「幽霊まぼろし」で会場の熱をさらに高め、「シャングリラ」では力強い歌声でワンコーラスを弾き語り。バンド演奏が加わると、さらに熱気は膨れ上がった。続く「サニーハニー」をじっくり歌い上げ、ドラムのリズムに合わせた手拍子から「チャーミー」へ。印象的なギターフレーズが響き、「渦中ロック」でグルーヴは最高潮に。「ありがとー!」の声とともに4人は一度ステージを後にした。
間髪入れずにアンコールの拍手が起こる。グッズTシャツに着替えた3人と浦が再登場。「新曲やります!」と浦が告げ「フロム・ヘル」へ。ハードでどこかストレンジ、それでいてポップさもある楽曲に観客は大きく沸いた。
そして年末12月28日に地元・長崎で自主企画【かもめの忘年会2025】を開催、さらに1月25日に東京・下北沢シェルター、2月1日に大阪・梅田シャングリラでワンマン【サンデメが通る!】を行うことを発表。大阪公演では「嬉しいお知らせができるかも」と浦が語り、3人がタオルを回して期待を煽った。
「もっと成長して、楽しいことをしていきますので、これからもよろしくお願いします!」と浦。みやはらの「1、2」に合わせ観客のコールが響き「夜を延ばして」へ。スローテンポでエモーショナルなギターロックが会場を包む。最後はお馴染みの「Sundae May Clubのテーマ」を軽快に、そして楽しそうに演奏し、「ありがとうございました!また会いましょう!」の言葉とともに笑顔で締めくくった。
ライブを終えてみれば、リハーサル時の緊張も、大キャパへのプレッシャーもどこかへ消えていた。そこにいたのは、いつも通りのSundae May Clubだった。自分たちの音楽が彼女たちを解放し、リラックスさせ、楽しい気持ちにさせたのだろう。そして、その楽しさは会場いっぱいの観客へも伝播していた。着実に足を運ぶ人は増えている。大きな会場でも小さな会場でも、Sundae May Clubの音楽はどこまでもグルーヴィーに、そしてオルタナティブに鳴り響く。そんな音楽の素晴らしさを体感できたリキッドルーム公演だった。
Text by 西澤裕郎
Photo by 古谷春
◎公演情報
【まぼろしロック】
2025年9月14日(日)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
【Sundae May Club「かもめの忘年会2025」】
2025年12月28日(日)
長崎・ホンダ楽器 アストロスペース
OPEN 16:30 / START 17:00
チケット:
前売 4,400円 (1ドリンク代別)
学割 3,300円(1ドリンク代別)
※学割 3,300円(D代別)
ゲスト:近日発表
【Sundae May Club ONE MAN ツアー「サンデメが通る!」】
2026年1月25日(日)
東京・下北沢SHELTER
OPEN 12:00 / START 12:30
2026年2月1日(日)
大阪・梅田シャングリラ
OPEN 17:30 / START 18:00
チケット:
前売 4,400円 (1ドリンク代別)
学割 3,300円(1ドリンク代別)
※学割:学生証持参必須(コピー不可)
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