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私生活を共有することでミュージシャンがSNSの恩恵を受ける現代において、日本のアーティスト・Adoは、謎めいた存在感もまた貴重な資産となり得ることを証明している。
22歳の歌手は春から夏にかけて、アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸の33都市のアリーナで公演を行った。彼女は透けて見える立方体の檻の中に立ち、シルエットだけが浮かび上がる。顔を見せる映像スクリーンはなく、コンサートではカメラや双眼鏡さえ厳禁であり、観客は彼女の圧倒的な歌声と、背後に映し出される光とグラフィックの饗宴にのみ集中する。
22歳の歌手は通訳を介して米ビルボードのポッドキャスト『Behind the Setlist』で、「私のライブに来たり音楽を聴いてくれる人々がこれほど多様なのは、私のスタイルが特定のジェンダーに向けていないからだと思います」と語り、「おそらくそれは、私が自分の正体を明かさないことにも関係していますが、声の質にも関係しているでしょう。典型的な女性的な声ではなく、時には男性的な声よりも力強いこともあるんです」と話している。
観客にはAdoのシルエットしか見えなかったが、彼女は周囲を認識していた。「多くのものが見えています。飛び跳ねている人もいれば、レーザーのように私のパフォーマンスに釘付けになっている人もいます。小さな子どももいれば、年配の方もいます。私のファン層は実に多様で、10代から年配の方まで、私や私の音楽を愛してくれているようで、本当に感謝しています」と彼女は語る。
Adoは日本の音楽を米国やその他の市場へ輸出する取り組みにおいて、急速に主導的な役割を担う存在となった。2020年にユニバーサル・ミュージック・グループと契約した彼女は、翌年「うっせぇわ」でBillboard JAPAN Hot 100を制した。
日本のアニメが世界的に人気を博したことで、Adoは海外でも支持を集めるようになった。2022年にはアニメ映画『ONE PIECE FILM RED』で歌声を担当し、同作の主題歌「新時代」が米ビルボードのグローバル・チャート“Global 200”で20位を獲得した。昨年はイマジン・ドラゴンズの「Take Me to the Beach」のリミックスにゲスト参加し、新たな聴衆を獲得。今年に入り、AdoはSpotifyにおいて日本国外で最もストリーミングされた日本人アーティストとなった。
先ごろ終了した【Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana”】では、米ロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナ、サンノゼのSAPセンター、テキサス州フォートワースのディッキーズ・アリーナ、ドイツ・ベルリンのウーバー・アリーナ、フランス・パリのアコー・アリーナ、オランダ・アムステルダムのジッゴ・ドームといったアリーナを完売させた初の日本人アーティストとなった。それでも観客が彼女の音楽以外で知っていることはほとんどない。
Adoが指摘するように、正体を隠しているのは彼女だけではない。日本のボーカロイド音楽シーンでは匿名性が標準だ。このシーンは、DAWで画面に音符をドラッグ&ドロップして曲を作るのと同じように、歌声を生成する歌唱合成ソフトで作られた音楽を中心に展開している。彼女は日本の動画共有プラットフォームであるニコニコ動画でボーカロイド動画を観て育ち、やがてボーカロイド曲をカバーする“歌い手”となった。歌い手は伝統的に正体を隠し、アバターを公の顔として使用している。
Adoは、「“これなら自分にもできるかもしれない”と思ったんです。それまでは、歌ったり歌手になったりすると、テレビに出たり、自分をさらけ出したり、つまりスポットライトを浴びることだと思っていたから。でも匿名でこれができるとなると、無限の可能性が広がったように感じたんです」と話している。
Adoの米ビルボード・インタビュー全編は、Spotify、Apple Podcasts、Amazon Music、iHeart、Podbean、Everandで聴くことができる(英語)。
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