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新たな舞台版『エビータ』で、最も注目を集めているシーンは、実はステージの上ではないようだ。
物語の中盤、レイチェル・ゼグラー演じるアルゼンチンのファーストレディ、エヴァ・ペロンが英ロンドン・パラディウムの外にあるバルコニーに現れ、名曲「Don’t Cry for Me, Argentina」を通りを歩く一般の人々に向かって歌う。その様子は、劇場内の観客に映像でリアルタイム配信される演出となっている。
今週プレミアを迎えたばかりだが、この斬新な演出はすでに話題を呼び、ロンドンのウエストエンドにある歴史的劇場の前には、ゼグラーの無料パフォーマンスを楽しもうと、毎晩多くの人が集まっている。
作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーは、この演出は貧困から権力の座へと上り詰め、大衆に愛された女性の物語の中で、“非常に特別な瞬間”を生んだと説明した。
「劇場の中から見ていても、彼女が本物の大群衆を前にしている様子が突然現れるわけで、これは舞台上では実現不可能なスケールです。素晴らしくエキサイティングな瞬間だと思います。中には“劇場の中で生で聴きたかった”と残念に思う人もいるかと思いますが、この演出によってもたらされる体験の方が、はるかに多くの観客を魅了するでしょう」と、ロイド=ウェバーは現地時間6月19日に米AP通信に語った。
しかし、演出を手がけたジェイミー・ロイドによるこの決定には、チケットに最大245ポンド(約4.7万円)を払った観客の一部から、最も有名な楽曲がステージの外で披露されることに対して不満の声も上がっている。
ロイドは以前にも、同様の演出を行っていた。『サンセット大通り』では、登場人物が劇場外の通りを歩きながら歌い、『ロミオとジュリエット』では、主演のトム・ホランドが劇場の屋上で重要な場面を演じた。
シアターブロガーのカール・ウッドワードは英BBCに対し、「劇場鑑賞が年に一度の特別な体験という人も多い中で、こうした演出に対し“ちょっとがっかり”と感じる人がいても理解できる」とコメントしている。
一方、ロイド=ウェバーは、「この演出は、むしろ“エヴァ・ペロンならそうしたかったこと”なのでは。大衆が彼女の象徴的なアンセムを、無料で実際に体験しているわけだから」と英ロンドン・タイムズ紙に掲載された論評を引用し、擁護している。
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