<ライブレポート>CROWN HEAD、存在感と実力を証明した記念すべき初ライブを目撃

2025年6月18日 / 19:00

 なんとまばゆく、朗々とした始まりの瞬間なのだろう。結成2か月にしてメジャーデビューを果たし、デビューシングルが橋本環奈主演・テレビ朝日系連続ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』のオープニング・テーマに大抜擢されるという華々しいスタートダッシュで業界内外問わず熱い注目を集めている日韓混合バンド・CROWN HEAD。この日が正真正銘、初となるワンマンライブに激しく心揺さぶられた。バンドとしての歴史はまだ浅くともメンバー個々が積み上げてきたキャリアと、体感1年にも匹敵する怒涛の2か月間が結んだ固い信頼と絆、そして何より止めどない音楽への愛情と情熱。それらすべてを綯い交ぜにして全身全霊で放たれる演奏は、彼らが今ここに立っている理由を十二分に裏づけていたと思う。ただのシンデレラボーイとは一線を画す、その抜きん出た存在感と実力に瞠目せずにはいられなかった。

 メジャーデビューから半月ほどが経った6月6日に行われた記念すべき初ライブ【CROWN HEAD 1st ONEMAN LIVE~Secret Showcase Climbing~】。会場は東京・代官山Space Oddだ。タイトルに“Showcase”と銘打たれている通り、今回のステージは業界関係者へのお披露目を兼ねており、溢れる関係者席がその注目度の高さを裏づける一方、ライブフロアもまた先着順で受け付けた一般応募の観客(応募の告知後すぐ定員数に達したという)でみるみるうちに埋め尽くされ、開演前から凄まじい熱気に満ちている。

 彼らが所属するレーベル、ユニバーサルミュージック合同会社CEO 藤倉尚からのメッセージ動画から始まり、音楽番組やF1中継でも活躍するサッシャがナレーターを務めたオープニング映像によってグッと高められた期待は、荘厳なSEとともにメンバー4人が姿を現すや、たちまち上限を突破した。ステージに注がれる熱い視線、場内が固唾を呑んで見守るなか、オープナーとして披露されたのは5月20日に配信リリースされたデビュー曲「Hidden」だ。TVドラマ『天久鷹央の推理カルテ』のオープニング・テーマとして、ミステリアスなストーリーの幕開けを毎回、疾走感溢れるサウンドで彩り続けているこの曲だが、生演奏で聴くフルサイズのスケール感はまた一回りも二回りもデカい。特にMoto(Vo.)の透明で美しいハイトーンを基軸に、しなやかな力強さを秘めたLumel(Ba.& Vo.)の歌声が絶妙に融け合ったツインボーカルはCROWN HEADの大きな武器だと言えるだろう。アンサンブルを躍動させるTasuku(Dr.)の抑揚自在なリズムも、hiroto(Gt.)のダイナミックなギタープレイも、楽曲をひときわドラマティックに加速させる。

 最初のMCでは、今日がショーケースライブであることに触れ、「腕組みで観ている関係者の方たちもノリノリにしたい。ここまでシリアスな曲が続いたけど、僕たち、実はハッピーなバンドなので」とリーダーのTasukuが宣言。序盤で披露した「Hidden」「Therapist」とは打って変わった横ノリのグルーブが心地よいダンサブルチューン「Cheese」に突入し、さらにはこの曲のみ撮影OKとのことで、4人のキャラクターが登場するアニメーション映像とともに客席を大いに盛り上げていく。しかし、続く「ブルーシンドローム」では再びムードを一転。曲に宿るヒリヒリとした焦燥感がオーディエンスにも伝播したかのようにエモーショナルな熱狂がフロアいっぱいに渦巻いた。

 ライブの中盤にはセッティングをアコースティック用に替えて、カバー曲を披露する一幕も。インフルエンサー「たすまる。」としても活動するTasukuを中心に、結成直後からSNSを積極的に駆使し、今では国内外総フォロワー40万人を誇る。さまざまなコンテンツ動画を発信しているCROWN HEADだが、なかでも人気の高い「皆はどっちが好み?」企画を再現したマッシュアップコーナーは彼らの並外れたポテンシャルをその場の全員に強く印象づけたに違いない。嵐×BTS、Vaundy×ジャスティン・ビーバー、tuki.× NewJeans、モーニング娘。× TWICEと、次々に繰り出されるMotoとLumelのボーカルバトル。その凄技とそれを支える演奏のハイセンスなアレンジ力に場内は大喝采だ。韓国出身のLumelが「この場にも僕みたいに地元を離れて頑張っている方々がいらっしゃると思います。その方々に聴いてもらえたら」と心を込めて歌い上げたマイケル・ブーブレ「Home」のカバー、その後、バンドセットに戻り、今度はMotoが熱唱した優里「恋人じゃなくなった日」のカバーも実にいい。

 後半戦には早くも2ndシングルのリリースが決定したこと、「鬼灯」とタイトルされたその曲が7月放送のTVアニメ『転生宗主の覇道譚~すべてを呑み込むサカナと這い上がる~』のオープニング・テーマを務めることも発表され、ライブ初演奏後、届いたばかりだというアニメのPVをメンバーと観客が一緒になって鑑賞するという嬉しい場面もあった。デビュー曲「Hidden」とはガラリとモードをシフトしてアグレッシブに聴き手へと迫る「鬼灯」はCROWN HEADというバンドの間口をいっそう広げ、さらなる未来を拓く1曲となるのだろう。

 祝福ムードに包まれるなか、彼らが次に披露したのは柔らかなバラード「ベル」だ。CROWN HEADの結成にまつわるいきさつなどは、後日当サイトで掲載されるインタビュー記事をぜひご参照いただきたいが、記事内でも語られている、いちばん最後にメンバーに加わったMotoが最初に歌ったのがこの「ベル」なのだという。疲れた心をやさしく癒してくれるような温かい音色と歌がしみじみと体の奥に広がっていく。

 ラストを飾ったのはライブタイトルにも冠された「Climbing」だった。演奏を前にして、今日が幼稚園からの幼馴染でもあるMotoとは中学校の文化祭以来のライブであることを明かし「すごくない? 中学の次がメジャーのステージって」と感慨深げに声をはずませたhiroto。Motoもこのバンドとの出会いを振り返り、「初めて会ったときはみんな全然元気がなかった」とデビューまでの日々がけっして順風満帆ではなかったこと、さらには自身も一度は音楽をやめる決意をしていたことを語ると、「でも3人が『おまえと会えてよかった』『お前と一緒にやりたい』と言ってくれて、その言葉で僕もまた火がつきました。何回諦めても挫けても、また次の一歩を踏み出せるよという思いを込めて最後の歌を歌います」ときっぱり前を向いた。

「アンコールはないです。この曲に僕たちの全部を捧げます」

 そうして溢れだしたタフな希望のアンサンブル。立ちはだかる壁がどんなに高くても、目の前に伸びているのがどんなに勾配のきつい坂道でも、絶対に登り続けてみせる――そんな彼らの決意と覚悟がひしひしと伝わる。未来だけを見つめる4人の瞳、宿った光のまっすぐな強さが、歌詞の最後に綴られた〈さあ始まるよ〉の凛とした響きと重なって、いつまでも胸に残った。

 前述した2ndシングル「鬼灯」のリリース及びアニメタイアップ決定に加え、早くも次のワンマンライブ開催も告知された。まだ走り出したばかりのCROWN HEADの旅路。時代の目撃者になるチャンスは今だ。

Text by 本間夕子

◎公演情報
【2nd ONEMAN LIVE「Red Riot」】
2025年8月9日(土)開場18:30/開演19:00
東京・代官山Space Odd
チケット:スタンディング 3,000円(税込)


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