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多数のVTuberを擁する『にじさんじ』所属の戌亥とこ、町田ちまによるユニット、Nornisが【Nornis Orchestra Live「Concerto di luce」】を3月8日、埼玉・大宮ソニックシティ大ホールにて開催。公式のライブレポートが到着した。
<ライブレポート>
VTuber/バーチャル・ライバー・グループ『にじさんじ』に所属する、戌亥とこ&町田ちまの2名組ボーカル・ユニット、Nornisが3月8日に初のオーケストラ・ライブ【Nornis Orchestra Live「Concerto di luce」】を行った。
会場は日本有数の音の良さで知られる大宮ソニックシティホール大ホール。当日は2公演開催され、両公演ソールドアウトしたプレミアム公演。昼の部と夜の部ではセットリストも異なるこだわり。ここでは、夜の部の模様をレポートする。
演奏は、現存する日本最古のオーケストラである東京フィルハーモニー交響楽団。指揮者は栗田博文。この日のために編成されたバンドや8名のコーラス隊を含め、総勢約50名がNornisのサウンドをオーケストレーション化していく。オーディエンスも、クラシック・コンサートのごとく、各々におしゃれして集まった品を感じる空間。5分前にはブザーが響きわたり着席。オーケストラ・ライブにふさわしく、ステージ上空には大きなフラッグが飾られ、美しきドレープとともにクラシカルかつ神々しい雰囲気が会場を包むなか、定刻19時にライブはスタートした。
オーケストラのチューニングが終わり、指揮者が現れ、ステージに登場するNornisの2名。そもそもNornisとは、ミドル&ローが豊かな戌亥とこ、高音ボイスの町田ちまの2名が圧倒的な歌唱力で織り成すハーモニーの美しさと、弦楽器を交えた重厚でシネマチックなサウンドが魅力の2名組ボーカルユニットである。本公演のサブタイトル“Concert di luce”の意味は“光の協奏曲”。オーケストラやバンド、コーラス隊とともに音楽を奏でることはある種、Nornisワールドの理想的な完成系のひとつであり、そして、VTuberカルチャーとしてもテクノロジーとアナログの融合となる革新的なエンタテインメントへの挑戦となった。
1曲目は「salvia」。PENGUIN RESEARCHのベーシストであり、LiSAなどへの楽曲提供でも知られる堀江晶太が作詞を担当したナンバーだ。内に秘めた感情を、一気に放出するエモーショナルな激情。コーラス隊による厚みある歌声が、戌亥とこ、町田ちまの歌声をより立体的に浮き彫りにしてくれる。続けて、疾走感あふれるビートが感情をアップリフトしてくれる、原曲が持つ無限大のイマジネーションをオーケストラ・アレンジによって現実化してくれる「Transparent Blue」を披露。
この日最初のMCでは、オーケストラ・ライブらしく上品かつお淑やかに「本日は、Nornisオーケストラ・ライブ、“Concerto di luce”へお越しいただいてありがとうございます」と戌亥とこが挨拶。町田ちまは「にじさんじ初、そしてNornis初のオーケストラ・ライブです」と伝えていく。
途中、客席からの合いの手を聞き逃せない2名は、段々と普段のユーモラスなキャラクター性があらわになっていく。MCタイムと歌唱タイムによるギャップの妙。そこ含め、Nornis流のエンタテインメントなのだ。
続けて歌われる、イントロに合わせてステージを星が包み込む「Circle of stars」、ハープの優しい音色、ヨーロッパ風の雰囲気を醸し出すコーラスワーク、2名のハーモニーが絶妙な「Lycoris」、熱量高いボーカリゼーションに心を打たれる「Wishing you」など、聴き逃せないエモーショナルな衝動が続いていく。
この日、生配信が行われていることに対して「我々バーチャルというのはすごい特殊能力を持っているから、歌いながら全然コメントを察知できるんですけど、見えてますよ全部。“曲始まりから芸人からNornisになった”とコメント書いているのも見えているから。違うでしょ?」と客席に説く戌亥とこ。「今日は高貴にね!」と町田ちま。漫才のように軽快なトークが繰り広げられていく。
MCタイムではユーモラスなトークが魅力的なNornisだが、コメント通りに歌に入る瞬間から、一気にアーティストへと変貌する。そして、歌唱力の素晴らしさをより堪能できるカバー曲タイムへと突入。
まずは町田ちまがステージに残り、まっすぐ綺麗に伸びるロングトーンが印象的だった茅原実里による「みちしるべ」を披露。続けて、戌亥とこが登場し、スキマスイッチによる「ボクノート」を優しさいっぱいに歌唱。そして、2名で藤井風による令和という時代を代表するであろう大名曲「満ちてゆく」を歌うのだが、これが白眉に素晴らしかった。完全に作品性、そして歌い回し、感情表現を自分たちのものとして見事に歌い上げていたのだ。至福の音楽体験となった。
ここでオーケストラのコンサートらしく15分の休憩へ。
その後、後半戦はオーケストラ・アレンジによる「Abyssal Zone」のインスト・バージョンからアグレッシブにリスタート。中世を感じさせる荘厳なサウンドが一気に緊張感漂うドラマティックな世界線へと惹き込んでいく。ギタリストがフロントでスタンディングし、歪んだギタープレイを聴かせるなど聴きどころも満載だ。しかしながら、総勢約50名の音楽家が奏でる極上の音像。ライブでは、どこを観るべきか、どのサウンドに焦点を当てて耳を傾けるか、選択肢も無限大。贅沢な音楽体験である。
続いて、「innocent flowers」ではNornisの2名が椅子に座って登場。この日のためのスペシャルなアレンジによって、ゴスペル的なサウンドに導かれ、コーラスとのハーモニーに心を奪われる。名曲は止まらない、「Goodbye Myself」で印象的だったのは、やはり2名が交互に歌唱を紡いでいくシーンだ。にじさんじでも屈指の歌唱力を持つNornis印のオリジナルなシグネイチャー。そんな音楽的快楽をとことん楽しめる夜である。
オーラスへと突入する「Fragment」は、メロウに展開するドラマチックなナンバー。裏へ裏へと感情を支配する流麗なるサビパートの美しさ。コーラス隊による華麗なるパートも、まるで異世界へ誘うかのごとく美しかった。そして、戌亥とこがソロとして「残光」を聴かせていく圧倒的な歌唱力も忘れられないモーメントだった。なお、昼公演では町田ちまが「ひとひらの未来」をソロ歌唱していたことも加筆しておこう。
Nornisの魅力である、2名の音域の違いによるコントラスト、ハーモニー。映画の劇伴のようなダイナミックで迫力があるサウンドが生音で具現化されていく様は、まさに鳥肌ものの瞬間だ。
ラスト前MCでは、シンガー・ソングライターのTHE CHARM PARKが作編曲、fifi légerが作詞を担当した、リリースされたばかりの最新曲「優しい君へ」について「最近、新曲出たの覚えています? MVがNornis公式チャンネルにて公開されます」と町田ちまが語り、本日のオーケストラ・ライブ公演の感想を戌亥とこが「みんなにとって、いい思い出になってくれたらいいな」と振り返った。町田ちまも「感謝しかないです。現地に来てくれた方は、今日のために気合い入れて服装や髪型を準備してくれたんだとひしひしと感じて。これからも頑張ろうと思いました」と感無量に話した。
ストリングスとピアノによるイントロに合わせて、戌亥とこが「今日までみんないろいろな気持ちを抱えて日々過ごしてきたと思います。いろんな経験をしてきたと思うし、後悔することもあったかもしれない。いま、今日ここにきてくれている人、ライブを観てくれている人、そのなかにも悩み事がある人もいるかもしれません。でもきっと、どんな選択もどんな道も間違いではないと思うので、これからも我々Nornisチームと一緒に、みんなと一緒にたくさんいろいろな歌を歌っていきたいと思います。みんなと出会えて本当によかったです。最後までいい日にしましょう。それでは聴いてください『優しい君へ』」とオーディエンスへ真摯なメッセージを送った。
曲の途中、2名は客席のオーディエンスへシンガロングを求め、会場中が大合唱へ。一体感満載にハッピー・エンディングを迎えていく。
主演であるNornisの2名がステージを去っても鳴り止まない大きな拍手。指揮者、栗田博文が茶目っ気たっぷりにオーディエンスを煽って盛り上げる。ライブ後の高揚感が一気に感動として押し寄せてくる解放の瞬間だ。上質かつ贅沢なNornis初のオーケストラ・ライブ【Nornis Orchestra Live「Concerto di luce」】は、まさに耳のご馳走。全14曲120分、研ぎ澄まされた聴覚が喜ぶ音楽的に極上の一夜となった。
なお、この模様はタイムシフト視聴ができるネット配信視聴チケットが3月22日23時59分まで発売されているので追体験が可能だ。
Text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
<セットリスト>
01. salvia
02. Transparent Blue
03. Circle of stars
04. Lycoris
05. Wishing you
06. みちしるべ (Cover)
07. ボクノート (Cover)
08. 満ちてゆく (Cover)
09. Abyssal Zone (Instrumental)
10. innocent flowers
11. Goodbye Myself
12. Fragment
13. 残光
14. 優しい君へ
◎公演情報
【Nornis Orchestra Live「Concerto di luce」】
2025年3月8日(土)
埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
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