Saucy Dog、5か月連続対バン企画終幕 羊文学とのファイナル公演のオフィシャルレポートが到着

2025年2月26日 / 12:15

 Saucy Dogの5か月連続対バン企画【こいこい】が、2月20日にファイナルを迎えた。

 10月の札幌でのKANA-BOONとの2マンを皮切りに全国を巡ってきたSaucy Dogの5か月連続対バン企画“こいこい”。10月の札幌(KANA-BOON)、11月の大阪(サンボマスター)、12月の福岡(ハルカミライ)、1月の名古屋(My Hair is Bad)を経て、5か月のラストを飾る東京公演の会場はZepp Haneda。対バン相手として招かれたのは、これがSaucy Dogとは初顔合わせとなる羊文学である。音楽性の面でも、おそらくメンバーのルーツという意味でもまったく異なるものをもつ2組の対バンは、とてもコントラスト鮮やかにそれぞれの魅力を惹き出す夜となった。その2デイズの2日目、ファイナルとなる2月20日の公演の模様をレポートする。

 今回の企画のタイトル「こいこい」とは花札のゲームの一種。1対1で交互に札を取り、ポーカーのように揃えた役の強さで競うというものだ。駆け引きをしながら相手の札を読み、勝負のタイミングを狙い定める――2マンライブに「こいこい」のような勝敗があるわけではないが、持っている手札(曲)をどの順番で並べ、どのように繰り出すのか、そこにはもちろん相手の存在がかかわってくるという意味で、またこれまでも対バンで闘志を漲らせてきたSaucy Dogというバンドの性格から見ても、とてもいいコンセプトだと思う。

 そんな「勝負の場」に先攻として登場したのは羊文学だ。真っ暗なステージに登場した塩塚モエカ、河西ゆりかと、この日のサポートドラマーを務める大井一彌が、突如轟音を鳴らし始める。先ほど場内に流れた歌舞伎っぽいジングルのどこかポップなムードを一気に塗り替えるようなサウンドに、Zepp Haneda場内の空気もピンと張り詰める。そして鳴らされた1曲目は「Burning」。ノイジーなギターの音と力強いベースの音の上で、塩塚のヴォーカルが響き渡る。歌い終えた塩塚による「羊文学です」という挨拶に、いきなり大きな拍手が鳴り響いた。続く「countdown」では塩塚がカウントダウンをするパートがあるのだが、そこではオーディエンスも巻き込んで数字を叫ぶ。キレキレの演奏や心の奥にまで踏み込んでくるような歌詞とどこまでも朗らかにライブをエンジョイしているような表情の落差が、今のバンドのモードを象徴している。

 「みんな、最後まで楽しんでいこうぜ!」と叫んで突入した「永遠のブルー」を終えると、塩塚は「来てくれてありがとう」という言葉に続けて河西と一緒に「楽しんで、いく~!」とバンドの合言葉を叫ぶ。この日が2日目ということでSaucy Dogとのヴァイブスも「高まってきた」らしく、MCでは彼らとのエピソードも。リハーサルのさいに石原慎也とギターのエフェクターの話で大いに盛り上がったらしい。そしてライブタイトルにちなんで「勝負を挑まれているんだな。仲良くなったとか言ってたら喰われる!」と言って笑う。要はそれくらい打ち解けたということなのだろう。

 その後も羊文学は轟音によって彼女たちの世界を作り上げていく。「声」から眩い光がステージから放たれた「金色」、そして「mother」へ。大井の叩き出すパワフルなリズムに身を委ねながら、塩塚はのびのびと歌声を響かせる。河西のベースもずっしりとした重みを感じさせながらもフットワークは軽やかだ。そして真っ赤な照明のなかスリリングに「FOOL」を披露すると、一気に景色が広がるようにして「OOPARTS」が鳴らされた。間奏パートではステージのいちばん前まで出て煽る。初めて彼女たちのライブに触れるオーディエンスも多かったようで、最初はどこか圧倒されているような雰囲気を出していたフロアも、曲が重なるにつれて次第に躍動し始めた。先ほどの宣言通り、誰よりも楽しんでいる感じがきっとみんなにも伝わっているのだろう。音源よりも数倍グルーヴィに響いた「more than words」を終えると、ラストは「Addiction」。最後までこのバンドらしいやり方で爪痕を残し、Saucy Dogへとバトンを引き継いだ。

 Saucy Dogは対バンだからといって肩肘張ることなく、いつものSEに乗ってせとゆいか、秋澤和貴、そして石原慎也の順に登場。そして石原の咳払いを合図に始まる「馬鹿みたい。」でライブをスタートさせた。秋澤が手を叩くのに合わせてフロアに手拍子が広がり、あたたかな一体感が生まれていく。そして2曲目「現在を生きるのだ。」へ。「羽田!」という絶叫で曲を始めた石原が「歌える? 自分自身に歌ってあげて!」と呼びかけると、一面にシンガロングが広がった。さらに石原の「この時間だけは、あなたのヒーローになりたいや!」という言葉とメンバー全員で声を揃えての「ワン、ツー」のカウントから繰り出されたのは「夢みるスーパーマン」。ここまでの3曲、3人の鳴らす音にいつにも増して熱がこもっているように感じるのは、やはり対バンマジックだろうか?

 「自分たちが本当に呼びたいバンドを呼んで、各地2デイズやらせてもらった」。3曲を終えてのMCでせとが今回の「こいこい」を振り返る。そしてこの2日間ステージをともにした羊文学に「近づけば近づくほど好きになっちゃうバンドやなと思う」と賛辞を送ると、石原は先ほど塩塚が口にしていたリハーサルでのエピソードに触れて、エフェクターの話で盛り上がったことに「なちい(懐かしい)と思った」と笑顔を見せた。「あんなにかっこいいライブして、しゃべるとあんなかわいいなんてズルい」とせと。出会えてよかった、と羊文学への愛が全開である。

 そんな和やかなムードのなか、石原が「季節外れの歌を」と「シーグラス」を届けていく。イントロからわあっと歓声が上がり、手拍子が湧き起こった。美しいメロディが力強いサウンドによってぐいぐいと心に入り込んでくる。秋澤の弾くベースがとてもパワフルで、やはりいつもとは一味違うSaucy Dogだという気がする。ホールやアリーナで観ることが増えて、ライブハウスの彼らが新鮮に映るというのもあるのかもしれない。続く「くせげ」でも3人の音がはっきりと聞こえてくる。きっとメンバー3人もどこか懐かしいような気分でステージに立っていたはずで、そこから披露された「いつか」と「煙」というファーストミニアルバムからの楽曲にはひときわ気持ちが乗っているように感じられた。最後のサビにかけて一気に加速していく「煙」のアウトロで「真っ向勝負? 望むところや!」と叫んだ石原が「こいこい!」とまさに「勝負」の掛け声を上げると、鋭いロックサウンドが鳴り響く「poi」が始まっていく。「ま、勝負じゃないか」とは言っていたが、その音と歌は勝負する気まんまん。ここからライブは一気に興奮の度合いを高め、演奏もオーディエンスの反応もどんどん熱くなっていった。

 せとと秋澤によるセッションに石原が加わって「ゴーストバスター」が始まると、3人の演奏はますます前のめりになっていく。石原のヴォーカルはほとんどシャウトのようになり、かき鳴らされるギターもテンションが高い。続く「よくできました」もその勢いのままパワフルかつ軽やかに届けると、あっという間にライブは終盤。一呼吸おいた石原が口を開いてフロアに語りかける。「やっぱり人間だからさ、お互いのお客さん同士、仲間になれるのかなって心配しちゃったりするんです。でも心配いらんかったね。すごいあったかい空間だなと思いました。やってよかった」。そして「優しくなろうね、みんな」と「怪物たちよ」を届けるといよいよ最後の曲へ。「学校がんばってる人! 家事・育児がんばってくれてる人! 仕事がんばってる人! 生きるのがんばってる人!」と呼びかけて鳴らされた「優しさに溢れた世界で」の大合唱が会場中にこだまし、ライブは大団円を迎えた。

 対バンだからこそ、ライブハウスだからこそのSaucy Dogがしっかりと見えた一夜。春からは新たなホールツアーも始まっていくが、この対バン企画で新たな刺激を得た3人は、そこでもきっと熱いライブを繰り広げてくれるだろう。

Text:Tomohiro Ogawa
Photo:toya(@__tpwbo)

◎リリース情報
ミニアルバム『ニューゲート』
2024/12/18 RELEASE

◎ツアー情報
【Saucy Dog HALL TOUR 2025】
2025年4月9日 (水) 石川・金沢歌劇座
2025年4月10日 (木) 石川・金沢歌劇座
2025年4月22日 (火) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール
2025年4月23日 (水) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール
2025年5月21日 (水) 香川・レクザムホール 大ホール
2025年5月22日 (木) 香川・レクザムホール 大ホール
2025年5月27日 (火) 広島・広島文化学園HBGホール
2025年5月28日 (水) 広島・広島文化学園HBGホール
2025年6月3日 (火) 宮城・仙台サンプラザホール
2025年6月4日 (水) 宮城・仙台サンプラザホール
2025年6月10日 (火) 福岡・福岡サンパレス
2025年6月11日 (水) 福岡・福岡サンパレス
2025年6月17日 (火) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2025年6月18日 (水) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2025年7月2日 (水) 大阪・オリックス劇場
2025年7月3日 (木) 大阪・オリックス劇場
2025年7月10日 (木) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
2025年7月11日 (金) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
2025年7月15日 (火) 東京・東京ガーデンシアター
2025年7月16日 (水) 東京・東京ガーデンシアター
2025年8月2日 (土) 沖縄・那覇文化芸術劇場 なはーと 大劇場
2025年8月3日 (日) 沖縄・那覇文化芸術劇場 なはーと 大劇場


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