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布袋寅泰が、2024年12月6日と7日の2日間、東京・日本武道館にて【LIVE IN BUDOKAN ~The HOTEI~ “Super Hits & History”】を開催しオフィシャルライブレポートが到着。今回は、2日目”The HISTORY”のレポートを紹介する。
<Day 2 The HISTORY>
大歓声に包まれながらバンドメンバーが登場。それぞれの持ち場につくと、1日目とは打って変わり、ブラックレザーのスーツでシックにキメた布袋がステージのセンターに立った。
不意を突くように「NO. NEW YORK」でスタート。のっけからボルテージ全開のステージに応えるよう、オーディエンスも全力で拳を上げ、武道館を揺らすほどのシンガロングを轟かせる。間奏で布袋は右手を旋回させるウィンドミル奏法でオーディエンスを鼓舞し、さらなる昂揚へと導いていく。前日より明らかにソリッドになった「Marionette」、ギターキッズがどんなに頑張ってコピーしても、ああは弾けないカッティングリフが虚空を斬り裂く「BAD FEELING」と、BOØWY ナンバーで立て続けに攻めていく。
「今日は“HISTORY”と題して懐かしい曲はもちろん交えながら、後ろ向きな気持ちではなく、今日新しい“HISTORY”を作るぜ!というそんな想いでみんなと楽しみたいと思います!」
「BE MY BABY」では、H ZETT Mのピアノとホーンアレンジが絡むアウトロのアレンジがパーティー要素をさらに加速させていき、ザッカリーのフィルによって導かれた高鳴るホーンが煌々と響く「PROPAGANDA」へ。伸び縮みするリズムと“偽りのビート”で踊り狂う大人たち(=オーディエンス)。スティーヴのメタルパーカッションも楽曲のインダストリアルな雰囲気を強調させる。さらにガットギターから、サスティナーを使ったトリッキーなフレーズに流れるギターソロが同曲の無機的世界を演出。その世界観のままにピッキングハーモニクスを加えた鋭利なリフが強襲する「MATERIALS」へ突入。デジタルロックなんて言葉がまだ生まれていない時代に布袋が作り上げた『GUITARHYTHM』を象徴する曲だ。デジタルで退廃的な中で突如、流麗なピアノソロからのギターソロへと繋がっていく、ドラマチックな間奏のアレンジが印象的だ。そして無数の光が交わる照明も美しい。LEDモニターも大掛かりなセットもないシンプルなステージだが、多くの閃光が創りだす空間演出が見事である。
一変して、「MEMORY」の幻想的な世界が広がった。布袋が手にするギターは白地に黒ラインのHOTEI MODEL。BOØWYが解散宣言をした1987年12月24日の渋谷公会堂において、同曲で手にしていたのがこのカラーリングのモデルだった。旅立ちを綴った詞を歌いあげる優しいボーカルに耳を傾け、それぞれの想いに浸るオーディエンス。あの日と同じように感情の赴くままアウトロのギターソロを弾く布袋。あのときの緊迫した表情も印象的であったが、今はどこか優しい表情で旋律を奏でているように見えた。そうしたノスタルジックな空気は「DANCING WITH THE MOONLIGHT」へ引き継がれる。光が交差していく夜空のようなステージをハンドマイクで歌う布袋がゆっくりと回廊していく。スティーヴもジャンベを抱え、トライバルなリズムを刻みながらステージ前方へと躍り出る。
布袋が穏やかに口を開く。「いろんな仲間との出会いによって重ねられて“HISTORY”になっていく」ゆえに“最新型のHOTEI”が今ここにいると。「人生はいいことばかりじゃない、いろんなストーリーを掲げてここに集まってくれている。会いたくても会えなくなってしまった人、伝えたくても伝えられない想い、平和への願い、いろんな優しくて熱い想いを抱いて集まってくれた方々へ送ります」と言って、情感たっぷりに歌われたのは「FLY INTO YOUR DREAM」。咽び泣き、叫び、怒り、笑い……感情のすべてを叩きつけるようにギターで表現するドラマチックでエモーショナルなギターソロはこの日の大きなハイライトだった。テクニック云々という次元ではない表現を音で奏でるギタリストなんて、世界中探してもそうはいないだろう。
エンジン音にギターリフが重なって始まった「SUPERSONIC GENERATION」、黒田との掛け合いギターバトルを展開した「GOOD SAVAGE」と、ソリッドでアッパーなナンバーを畳み掛け、「DIVING WITH MY CAR」では熱い歌を聴かせる。
「楽しんでる? 懐かしい曲を聴くとさ、あの時の自分、あの時の景色、時代、相棒、恋人……いろんなこと思い出すよな。次の曲もかなり懐かしい曲です。覚えてるヤツは一緒に拳をあげてください!」そう言って徐に始めた「TEENAGE EMOTION」。続く曲はもちろん「LONDON GAME」だ。2011年の武道館公演『30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY “創世記”』での誰も予想しなかったオープニングを思い出しながら、オーディエンスは狂喜乱舞の盛り上がりを見せた。
皆が頭上にあげた右手で“人生を指で回す”「MERRY-GO-ROUND」。曲の終盤ではマシンガンギターが炸裂し、布袋はオーディエンスのシンガロングを自在に操りながら、そのまま「C’MON EVERYBODY」、「GLORIOUS DAYS」と『GUITARHYTHM』からのナンバーを立て続けにドロップ。<We walked the streets of “BUDOKAN”>からの、ラストナンバー「Dreamin’」で、本編は絶頂を迎えた。
「Stereocaster」で始まったアンコール。2024年、怒涛の快進撃で日本シリーズを制した横浜DeNAベイスターズの開幕戦セレモニー、そしてボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥の防衛戦で生演奏を披露した「Battle Without Honor or Humanity」へ。
「昨日今日と、最高の武道館、そして最高の2024年の締めくくりとなりました。本当に感謝しています、ありがとう! 毎日を大切に俺たちの“HISTORY”を更新していきましょう!」と感謝の意を述べると、「LONELY★WILD」をワイルドに、「POISON」をエレガントに届けた。これで終了と思いきや、鳴り止まぬ“HOTEI”コールにバンドメンバーとアイコンタクトする布袋。最後の最後に始まったのは「バンビーナ」だ。曲終わりで唐突に始まった最高のバンドメンバーで行われる大セッションで大団円。まごうことなき宇宙一のロックンロールショウを存分に魅せつけて、2デイズのパーティーを終えた。
最新のHOTEIが最高のHOTEI——。その言葉を大きく更新した2日間だった。MCで布袋自身が語っていたが、現在ニューアルバム『GUITARHYTHM VIII』の制作中であるという。来年2025年のリリース、そして全国ツアーの約束をした。布袋寅泰の進化はとどまることを知らない。
TEXT:冬将軍(fuyu-showgun)
PHOTO:Michiko Yamamoto
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