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11月2日、いきものがかりが東京・日本武道館にて【いきものがかり 路上ライブ at 武道館】を開催した。同公演は11月3日に結成25周年を迎える彼らにとって、初となる弾き語りワンマンライブ。一夜限りのスペシャルなライブに多くのファンが熱狂していた。
「路上ライブ」を表すかのように、木や草花、ベンチ、街頭などのセットが組まれたステージに姿を現す水野良樹と吉岡聖恵。まずは、今年おこなわれた【いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2024 ~あなたと!わたしと!みんなで!歌いまSHOW!!~】のファイナル公演で披露され、フリーライブツアー【いきものがかり 路上ライブ~あなたの街でお会いしまSHOW!!~】で育ててきた楽曲「会いたい(2人ver.)」でライブをスタート。ステージを取り囲む360度の客席の隅々まで歌声を届けるかのように、吉岡は向きを変えながら歌っていく。「今日はよろしくね、みんな!」とクラップを煽ると、「SING!」へ。吉岡も水野もいい笑顔を見せたところで、「ありがとう」をたっぷりと聞かせていった。
大きな拍手に包まれながらステージの中央に集まったふたりは「いきものがかりでーす!」「どうもー!」と手を振っていく。「1回だけ言ってみたかった」と前置きした水野が「路上ライブ武道館へようこそ」と言うと、大きな声援が返っていく。さらに、定番の「こんにつあー!」のコール&レスポンスが決まると、「緊張が溶けた気がする」と水野。早速次の楽曲を披露していく。飛び出したのは、水野が初めて鍵盤で作った曲という「ラブソングはとまらないよ」。さらに吉岡が「この曲のファンです」という「Good Morning」、バスドラムの音をその場で録音して重ねながら演奏した「夏空グラフィティ」と続けて披露していった。
ここでセットのベンチに腰を掛けるふたり。そこには、25年間使っているというタンバリンケースも置いてあった。そのまま、路上ライブ時代からのレパートリーである「赤いかさ」を披露すると、天井には照明で作られた雨雲が現れる。和やかな空気で曲を披露し終えると、「路上ライブをやっていると、聴いてくださる方の集中がグッと高まる時間があって、その時は僕らも和やかな空気がガラッと変わったりする。それが路上の醍醐味。次の曲はこの路上(武道館)を全然違う空気にしたいと思います」と語り、「お客さんが立ち止まって、ここから集中してくれるかなって時に、3人で目を合わせて始めていた曲」という「くちづけ」を始めていく。その言葉の通り、今までの空気が一変。水野と吉岡の表情もがらりと変わり、情熱的な演奏で観客の目線を釘付けにしていた。25年のキャリアを見せつけた瞬間でもあったのではないだろうか。
ステージにひとり残った水野が観客と会話をしていると、ステージ上には譜面台と椅子が設置されていく。「弾き語りの枠を超えていきます」とストリングス隊を呼び込み、水野もピアノの前にスタンバイ。「季節を巡るようなイメージで、約3曲半くらい時間を過ごそうと思うんです」「ペンライト持っている人いるよね。ペンライトを白にしてみてください。最後、その白が活きる曲に繋がります」と語ると、ストリングスとともに演奏を始める。じっとステージに集中する観客の前で、インストゥルメンタルで春、そして吉岡もステージに登場し「コイスルオトメ」で夏、「あなたは」で秋、「SNOW AGAIN」で冬の景色を描いていった。
MC中にドラムセットが登場すると、「さっき言ったでしょ。(今日も)立つポイントあるよって。次だよ!」と宣言したところで、盛り上がりパートがスタート! まずは「ドラマティックおいでよ」をピョンピョンと飛び跳ねながら楽しそうに歌っていく吉岡。さらに「気まぐれロマンティック」で客席とともに歌って踊って大盛り上がり。続く「ブルーバード」では、吉岡の第一声で客席が大きく沸いていく。〈蒼い 蒼い あの空〉と観客も一緒に歌ったところで、「ここからさらに盛り上がっていけるかっ! タオル回せるかっ!」と吉岡。「じょいふる」でタオルが会場を舞っていく。〈キミノコエヲキカセテ〉を〈武道館ノコエキカセテ〉と変えて歌うと、熱狂した観客が大きな声を返していた。
この日いちばんの盛り上がりを見せたところで、ステージは水野と吉岡のふたりだけに。「この会場に来るまで、(お客さんが)どんな状態で待っていてくれるかわかんなかったんだけど、もらえた拍手が大きくて、降ってくるみたいで、最初から感動していました。本当にどうもありがとう!」「私たち気づいたら明日で25周年です。だからまた路上に戻ってきたんだけど、その25年の中にもみんなの生活があって、まだ生まれてない人とかもいて。自分たちもあのタンバリンケースを持って、ギターを持って、こんなに賑やかな景色が、こんなに温かい拍手があると、その時は何も想像してなかったけど、また一歩ずつ進めるって今日のライブで思えたので、またこれからもよろしくお願いします」と吉岡がメッセージを伝えていく。さらに、「路上ライブは“戻ってくる”場所でもあるんだけど、僕らとしては“前に進む”場所でもありました。今日は、いろんな細かい挑戦がいくつもあって。結成25周年で、新しいことをしようって一歩ずつ踏み込んだライブだったと思います。それを温かく迎えてくださった皆さんがいることが、僕らにとってはまた前に進む力になります。本当にありがとうございます」と水野も続ける。ここで、来年初夏にアリーナツアーを開催することを告知し、ファンを喜ばせたところで路上ライブ時代から披露していた「からくり」へ。ふたりだけでじっくり音楽を紡いでいった。
ここで天井からモニターが降りてくる。そこに映し出されたのは「会いたい」の制作風景が納められた映像だ。ムービーが終わってモニターが上がると、ステージ上には弾き語りフリーライブツアーでファンが書いた、メッセージカードで作られた桜が咲き乱れている。そしてこの1曲のためにフランスから来日したというスペシャルゲストの世武裕子を迎え、「会いたい(REC ver.)」を披露。幸せな空気に包まれながら、本編に幕を下ろした。
アンコールの声に応えて、再び姿を表す水野と吉岡。ステージ上に椅子がふたつあることに触れると、「みんな、今俺らめっちゃ緊張してんだぜ」とゲストの登場を匂わせる。そして、「尊敬する方が特別に駆けつけてくれました」と、スペシャルゲストの小田和正を呼び込んだ。会場からは「えー!」「やばい!」という驚きの声が聞こえてくる。この日いちばんの拍手と歓声の中、花束を抱えた小田が「お待たせしました!」と登場! いつまでもざわめきが止まない中、小田が手を振るたびに様々な方面から歓声が上がっていた。いきものがかりがデビューした当時、小田がデビュー曲「SAKURA」を取り上げ、『クリスマスの約束』(TBS系)に出演させてもらったことがあると、小田との出会いを水野が語っていく。吉岡が「今もなんですけど、(当時は)生意気だったんじゃないかと思うんですけど……」と問うと、「結構ね」と小田が返し、和やかな雰囲気が流れる場面も。そんな中、いきものがかり×小田和正による「SAKURA」が披露されていった。あまりの美声に虜になっていく会場。最後の一音が鳴り終えた後、一拍置いてからハッとしたように大きな拍手が会場中に鳴り響いていた。
ここで水野からひとつエピソードが。「小田さんがデビュー50周年を迎えられた日に、メールしよう!って(お祝いの)メールさせていただいたんです。そうしたら『君のメールで知りました』って……」と、小田の大物っぷりがわかるエピソードが語られた。それに、小田は「水野はね、嬉しくなるようなほっこりとしたメールを寄越すんですよ」と返す。さらに「いい歌をいっぱい書き続けて、聴かせてください」と、いきものがかりのふたりへエールを送っていった。その後、小田のオフコース時代からの楽曲「君住む街へ」を3人で披露。その色褪せない歌声で会場を魅了すると、最後は吉岡と握手、水野とハグを交わし、写真撮影をしてステージを後にした。ラストナンバーは、1stアルバム『桜咲く街物語』から「タユムコトナキナガレノナカデ」。いきものがかりのふたりだけで音を奏で、大盛況の中、スペシャルなライブに幕を下ろした。
Text:高橋梓
Photo:岸田哲平/Teppei Kishida
◎公演情報
【いきものがかり 路上ライブ at 武道館】
2024年11月2日(土) 東京・日本武道館
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