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ジャネット・ジャクソンが、5年振りの来日公演【JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024】の神奈川公演を3月20日(水・祝)に Kアリーナ横浜にて開催。キャリアを総括するオールタイム・ベストのセットリストによって、90分ノンストップのパフォーマンスで大観衆を魅了した。
名古屋、大阪、横浜の3箇所で開催された今回のツアーでは、日本だけのスペシャル・ゲストとしてTLCも出演するプレミアムなライブということもあり、各地でチケットソールドアウトとなった。
最終日の会場となったKアリーナ横浜は、昨年9月29日にオープンした世界最大級2万席の音楽特化型アリーナ。まだまだ新しい会場ということもあり、今回初めて訪れた音楽リスナーも多い様子で、開演前から場内を眺めながらスマホのシャッターを切る人の姿も多かった。場内は最先端の音響設備が駆使されているほか、全席がステージ正面を向いた扇型の形状になっており、アーティストのパフォーマンスを存分に体感できるところも特徴となっている。また客席もゆっくりコンサートを鑑賞したいときには最適な心地良さだ。とはいえ、暗転するとお客さんは座席から一斉に立ち上がりスペシャル・ゲストのTLCを大歓声で迎えた。
DJが煽る「T・L・C!」のコール&レスポンスを受けて、T-ボズ、チリが4人のダンサーを従えてステージに登場してデビュー曲「エイント・2・プラウド・2ベック」からライブをスタート。T-ボズの低音ボイスにチリのコーラスが重なり、ラップパートでは2002年に不慮の事故で他界したもう1人のメンバー、レフト・アイの声が流れ掛け合うシーンも。チリはMCで大ヒットアルバム『クレイジーセクシークール』発売30周年記念をここで分かち合えることへの感謝を伝えた。DJタイムの後、再び呼び込まれてステージ上がったT-ボズ、チリは代表曲の1つ「ノー・スクラブズ」を披露して歓声を浴びると、華やかなホーンアレンジに導かれた「ウォーターフォールズ」へ。レフト・アイのラップパートに合わせてチリがダンサーと共に見事なダンスを見せて大喝采。会場中が両手でクラップして歌い、再び「T・L・C!」とコール&レスポンスで一体となって、ステージを終えた。
しばしのセット転換を経て場内が暗転すると、ステージ中央と左右に設置された四角いビジョンに「50 YEARS OF ME」と文字に続き映像がフラッシュバック。ジャネットの幼少期からの写真が次々と映し出されると、中央のビジョンが上がって行き、円形のステージ上に紫色のフード付きマントで全身を包みこんだジャネットが登場した。オープニング曲に選ばれたのは「ダミタ・ジョー」。不動の姿勢で歌い身を翻すと、紫の大きなリボンを付けた黄金のコスチューム姿となって4人のダンサーと共に重低音のシンプルなビートが響く「フィードバック」へ。客席からはポーズをキメる度に嬌声にも似た歓声がステージに向けられた。バンドはステージ向かって右手にドラム、ベース、左手にキーボード、ギター、DJが陣取った編成。スタンド席にいてもタイムラグがない音響が、よりライブへの没入感を演出している。
1993年の大ヒットアルバム『ジャネット』から、「それが愛というものだから」(ザッツ・ザ・ウェイ・ラブ・ゴーズ)が始まるとドッと湧くオーディエンス。会場には家族連れのお客さんもチラホラ。同じ時代を過ごしてきたであろう世代から若い世代へと、音楽の魅力を受け継いでいく空間にもなっていた。
ライブは4つのセクションに分かれており、オープニングからの第1セクションに続いて、第2セクションでは黒い帽子、大きな黒いスカートの衣装でステージへ。「恋するティーンエイジャー」(ホワット・ハブ・ユー・ダン・フォー・ミー・レイトリー)、「ナスティ」、「愛の法則」(ザ・プレジャー・プリンシプル)と、1986年のアルバム『コントロール』からの曲がまとめられており、ビッグ・ビートとDJのスクラッチに乗せた歌とダンスで躍動的に魅せていく。途中でスカートからパンツルックにチェンジして白い衣装のダンサーと共にパフォーマンス。「これから1986年にみなさんを連れ戻します」とのMCから、ベースのリフを呼び込んで歌いだしたのは、「あなたを想うとき」(ホエン・アイ・シンク・オブ・ユー)。ジャネットにとって初めてのBillboard Hot 100で1位を獲得したこの曲は、ポップスの女王を象徴するキャッチーなメロディが際立っている。ピアノのイントロに多くの人が反応した「アゲイン」では、ステージに腰掛けたジャネットがマイクを向けて大合唱となった。
第3セクションでは、鮮やかなオレンジカラーの衣装と共に「オール・フォー・ユー」でスタート。ブラックストリートとの「ガールフレンド/ボーイフレンド」、ダンサーと共にアグレッシブな動きを見せながら歌う「ドゥ・イット・2・ミー」と、ほとんど止まることなく歌い踊り続けるジャネット。ライブ始まって1時間ほど経つがそのパフォーマンスは驚異的だ。
ストリートに出たようにTシャツ、デニムパンツで第4セクションをスタートさせたジャネットは、『リズム・ネイション1814』収録曲を次々とパフォーマンス。「ミス・ユー・マッチ」、「ラヴ・ウィル・ネヴァー・ドゥー」、「オールライト」と、メロディの繊細さとエッヂの効いたサウンドが結びついた楽曲はまったく色褪せることなくダイナミックに観るものの心と体を揺さぶる。
すると突然、場内が暗転しビジョンにノイズが映し出される。叫び声を合図にバンドが激しいロックサウンドを奏でると、歌声と共にビジョンに映し出されたのは、マイケル・ジャクソンの雄姿だ。会場は怒涛の大歓声に包まれて、兄・マイケルと妹・ジャネットによるデュエット曲「スクリーム」が始まった。SFチックなモノクロの映像の中でスクリームするマイケル。歌唱パートになりステージに飛び込んできたジャネットとマイケルの声が重なると、曲の終わりにはマイケルへのオマージュを思わせるギタリストと向かい合うアクションもあり、Kアリーナ横浜は興奮の坩堝と化した。そのまま「リズム・ネイション」へと雪崩込み、激しいライティングとビートに包まれながら、圧巻のシャウトを響かせてステージを後にした。アンコールを求める声にすぐさま応えたジャネットが最後に歌ったのは、ツアータイトルでもある「トゥゲザー・アゲイン」。ステージの端から端まで移動しながらオーディエンスと共に歌うと、自ら飛び跳ねながら「ジャンプ!ジャンプ!」と煽って会場一体となるハッピーエンドに。「ヨコハマ!今日が私たちのツアーで最後のショーです。楽しんでもらえたならうれしいです。愛してます!」最後に客席にそう語り掛けてライブは終了となった。ほぼノンストップでダンスと歌を届けた、圧巻の90分。時代をリードする音楽を創り上げてきたアーティストの、今なお衰えないライブ・パフォーマンスへの情熱に尊敬の念を抱いたライブだった。
Text:岡本貴之 Photo:Solaiman Fazel(ジャネット・ジャクソン)/Masanori Naruse(TLC)
◎公演情報
【JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024】
スペシャル・ゲスト:TLC
2024年3月20日(水・祝)Kアリーナ横浜
◎セットリスト(TLC)
・エイント・2・プラウド・2ベック
・ワット・アバウト・ユア・フレンズ
・ベイビー・ベイビー・ベイビー
・レッド・ライト・スペシャル
・アンプリティ
・クリープ
・ディギン・オン・ユー
・ノー・スクラブズ
・ウォーターフォールズ
◎セットリスト(ジャネット・ジャクソン)
イントロ-ラブ・ミー
・ダミタ・ジョー
・トゥギャザー・アゲイン(DJ Premier)
・フィードバック
・ソーマッチ・ベタ
・イフ
・ノースリープ
・ゴット・ティル・イッツ・ゴーン
・それが愛というものだから
・エンジョイ
・9恋するティーンエイジャー
・ナスティ
・愛の法則
・ビコーズ・オブ・ラブ
・あなたを想うとき
・ダイヤモンズ
・ ザ・ベストシングス・イン・ライフ・アー・フリー
・コントロール
・ホエン・ウィ・ウー
・トゥギャザー・アゲイン(Deeper Remix)
・カムバック・トゥ・ミー
・急がせないで
・アイ・ゲット・ロンリー/ファニーなひととき
・アゲイン
・どんなときも、どこにいても
・アイ・ゲット・ロンリー(Remix Version)
・オール・フォー・ユー
・カモン・ゲット・アップ
・フリー・ゾーン/スロッブ(Mash Up)
・ガールフレンド/ボーイフレンド
・ライク・ユー・ドント・ラブ・ミー
・ドゥ・イット・2・ミー
・ソー・エクサイティッド
・ザ・ナレッジ
・ミス・ユー・マッチ
・ラブ・ウィル・ネバー・ドゥー
・オールライト
・エスケープ
・スクリーム/ブラック・キャット
・リズム・ネイション
EN1. トゥゲザー・アゲイン
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