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Petit Brabanconが2024年1月に東京と大阪で合計4公演から成る【Petit Brabancon EXPLODE-02-】を開催した。公演ごとのサブタイトルも付けられ、それぞれ異なる内容でオーディエンスを激しく揺らした。
そんなライブの3公演目となったのが、1月7日の大阪・なんばHatch。シリーズライブ<EXPLODE>を通して、唯一の対バン形式のライブとなり、これはPetit Brabanconにとっての初の対バンライブでもある。付けたタイトルも【Petit Brabancon EXPLODE -02- 暴獣】。そして対バン相手はROTTENGRAFFTYである。組み合わせからして、血の気の荒さしか感じない、まさに暴れる獣たちの狂宴となるに違いない。
「ナニワ、大阪! 型にハマったルールは無用! ROTTENGRAFFTY!!」18時ジャスト、SE「610行進曲」と共にステージに現れたROTTENGRAFFTY。N∀OKIが矢継ぎ早に次から次へと煽り文句を決め、直後、「ブッ跳べ!!」と叫び「PLAYBACK」へ。ライトで真っ赤に染まったステージからROTTENGRAFFTYが放つのは、しなやかで力強くグルーヴするバンドサウンド。NOBUYAもオーディエンスを指差しながら「好きなようにやってくれ!」と煽りを喰らわせる。その勢いのまま「秋桜」が続くと、人の上で人が転がるクラウドサーフも。2024年の初泳ぎを嬉々としながら楽しみまくるオーディエンスが続出である。さすが、数々のフェスでもメインステージを任されるROTTENGRAFFTYだ。彼らのサウンド、曲、言霊は、オーディエンスの心もカラダも激しく突き動かす。“KYOTO 610”と描かれたTシャツ姿のロットン・ファン、そしてプチブラ・ファン。両者が混じり合いながら激しい波をフロアに作り出していった。
「まいど、あけおめ! 対バン、俺らだけやろ? しかも“暴獣”って書いてるやろ? 読んで字のごとく! 大阪、ナニワ、なんぼのもんじゃい!」N∀OKIの威勢のいい啖呵と共に「ハレルヤ」、さらにダンサブルな「D.A.N.C.E.」など、キラーチューンをたたみ掛けていくROTTENGRAFFTY。「THIS WORLD」では、NOBUYAとN∀OKIはフロアに降り、オーディエンスの上に立ち上がって歌う。
結成から25年のキャリアに裏打ちされた抜群のバンドアンサンブルやフォーメーション、えげつないほどの底力が頼もしい。長らくサポートを務めてきたギターのMASAHIKOも、去年12月から正式メンバーとなり、バンドのボルテージも高まり続けている現在でもある。初めてROTTENGRAFFTYを観るオーディエンスも少なくなかったが、誰もが大暴れしながら楽しみ、良質のエネルギーが会場に渦巻く。
そして「ハロー、ハロー」からはROTTENGRAFFTYに魅了されていった。決して順風満帆ではなかった25年間でもあり、紆余曲折を経験してきたROTTENGRAFFTY。だが全てが血となり肉となり力にもなっている。そんな自分たち自身のストーリーも描きながら、歌心を持って響かせていく侑威地、HIROSHI、MASAHIKO。感情の向こうに、常に説得力もある歌で震わせてくれるNOBUYAとN∀OKI。想いの溢れる音と歌に感動も広がっていった。
しかし、その雰囲気のままエンディングに向かわないのがROTTENGRAFFTYでもある。彼ら流の祭りばやし「響く都」では、“Petit Brabancon”や“響け大阪”などコール&レスポンスも巻き起こす。さらにラストの「金色グラフティー」はオーディエンスの大合唱と共に突入。NOBUYAの「攻撃的にやり上げてくれ!」を合図に、ダイブもクラウドサーフもサークルモッシュも巻き起こるフロア。ライブハウス最強のバンド=ROTTENGRAFFTYの本領を発揮したステージとなった。
最高のカオスの余韻が続く中、会場に流れ始めたのはトライバルなムードも漂うopening「mind-blow」。それに合わせてライトで青白く光るPetit Brabanconのバックドロップ。光を帯びたステージにシルエット状に浮かび上がるように登場したyukihiro、高松浩史、antz、ミヤ。openingをかき消すほどの大歓声も響いた。そして最後にゆっくりと姿を現わすのは京。両腕をグイッと挙げ、身振りで煽りをまず喰らわせる。それを合図に呪術的なフレーズとラウドなバンドサウンドがとどろいた。
「Common destiny」から始まったPetit Brabanconのステージ。犬のプチブラバンソンはかわいらしいが、目の前のPetit Brabanconは獰猛な牙を持つ。ズルズルと引きずるようなヘヴィネスを繰り出したと思えば、シーケンスを凌駕するマシーナリーなバンドサウンドを決めたり、次の瞬間には鋭い音で噛みついてくる。初見ではないオーディエンスがほとんどだろう。だが何度、体感してもヒリヒリするようなスリリングさと、不気味なほどの恐怖感とヘヴィさ、そして常軌を狂わせる世界をPetit Brabanconは作り上げる。全てを捧げるようにバンドと一体化するオーディエンスの姿がフロアに広がっていく。
しかし今日は単独ライブではなく対バン。相手のROTTENGRAFFTYは騒ぎを起こしまくった。そして会場はスタンディングのでかいライブハウス。そうした要素は、無意識のうちにPetit Brabanconに何らかの作用を及ぼしたのかもしれない。遠慮なく振り切る5人がステージにいる。
重心の低いドラムサウンドにパーカッシヴなフレージングも絡ませ、フロントに立つ4人を煽るようにドラミングを決め続けるyukihiro。ストイックに演奏するイメージの強かった高松浩史も前に出て豪快にベースフレーズを弾き倒す。激しく立ち位置も入れ替わりながら、オーディエンスを挑発するように弾くのはantzとミヤ。狂ったようにツーステップを踏んだり、鋭い眼光や形相で煽るミヤでもある。そして感情を激しく起伏させながら、グロウル、スクリーム、シャウト、ファルセットなど、次々に決めるのは京。しかも曲中や曲間では「オマエら、おとなしいな」とか「噛みついてこい!」など、完全に狂犬と化している。
ライブ序盤ではラウドな音に陶酔していたオーディエンスも、4曲目「Don’t forget」に差し掛かったときには、ステージの5人によってすっかり覚醒されていた。腕を振り上げながらモッシュを繰り返し、クラウドサーフも起こし続ける。それでもなお火に油を注ぐように音でも言葉でも煽り続ける5人。猛烈なやり取りは曲を重ねるごとに激化していくばかり。「a humble border」ではフロントの4人全員がステージ最前にベタ付きになり、気合いの凄さで全身を震わせながらリフを刻んだり、強烈に頭を振りながら歌い吠える。荒々しいエネルギーを炸裂させ続けるPetit Brabanconである。
絶え間なく続く激しさ。だが、「非人間、独白に在らず」では壁のように音を敷き詰め、人間のツラの皮の向こうに隠された憎悪や絶望感を露わにした歌が響く。それを浴びてオーディエンスは圧倒されながら恐怖感も味わい続けた。かと思えば「無秩序は無口と謳う」では全身をうねらせるグルーヴでオーディエンスを快楽へ引きずり込むことも。そして「Loser」の直後のこと。京が上半身ハダカになって威嚇する。「狂っちまえ、大阪!」
そこから続いたラストナンバーの「疑音」は、まさに狂った躍動感と衝動ばかりが会場をゆるがす。曲と音に煽られ続け、ついにはオーディエンスがウォール・オブ・デスまで起こすという凄まじい光景も広がった。それを目にして不敵な笑みも浮かべながらライブを続ける5人。自らだけでなく、オーディエンス全員を暴獣へと豹変させるPetit Brabanconである。終わったとき、オーディエンスを賞賛するように手を叩き、満足そうにうなずく京の姿がステージにいた。
ROTTENGRAFFTY との狂宴“暴獣”を経て、Petit Brabanconはさらに獰猛な“獣”へと進化した。Petit Brabanconは9月からの全国のライブハウスツアー<Petit Brabancon Tour 2024 「BURST CITY」>の開催を発表しており、さらに鋭く研ぎ澄まされた牙で全国の都市を“爆裂”させるだろう。
Text:長谷川幸信
Photos:青木カズロー&河本悠貴(Petit Brabancon)、toya(ROTTENGRAFFTY)
◎公演情報
【Petit Brabancon Tour 2024 「BURST CITY」】
2024年9月5日(木)東京・Spotify O-EAST
2024年9月6日(金)東京・Spotify O-EAST
2024年9月12日(木)広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
2024年9月13日(金)福岡・FUKUOKA BEAT STATION
2024年9月15日(日)大阪・GORILLA HALL OSAKA
2024年9月20日(金)神奈川・CLUB CITTA’
2024年9月21日(土)愛知・DIAMOND HALL
<チケット料金>
スタンディング : 6,500円(税込・整理番号付・ドリンク代別)
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