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先日テレビで10代・20代の人たちがインタビューされて“テレビはほとんど観ない”、なんなら“家にテレビありません”と答えていたのを観てびっくり! がっつりテレビ黄金世代にとっては、CMやドラマのタイアップで知る曲がたくさんあったけど、そうか今はもっといろんな情報入手手段があるのか…とはいえ、現クールのドラマ主題歌を書こうと思って、10月からチョイスしてドラマを観ていました。やっぱりストーリーと曲の相乗効果ってあるよね♪
「花」(’23)/藤井 風
多部未華子・松下洸平・今田美桜・神尾楓珠という、主演が4人のフジテレビ系ドラマ『いちばんすきな花』。“変わってるね”と人から言われる人の中で、自分がそれを自覚している人って案外少ないんだなと思ったことがある。分かっているからその差分に“生きずらさ”を感じながら毎日を過ごしている、そんな人たちの話。初めて観た時そう思って、派手さはないけれど同じように日々を生きている人たちにとってはすごく刺さるのではないかと思った。現に救われたような気がした人がここにいる。主題歌である藤井 風の「花」は、台本を読みながら飛行機の中で楽器もなく作詞作曲を行なったという。軽快で心地の良いリズムとサビへの展開が情景を思い起こさせ、主人公たちの気持ちに寄り添った歌詞が染みる。“内なる花”は“内なる花”のままで、そっと咲いたらそれでいい。
「最強の推し!」(’23)/鈴木愛理
“推し”という言葉は2011年の新語・流行語大賞にノミネートされていたらしいが、個人的感覚としてはここ4年くらいで急激に日常にあふれ出したような気がしている。そんな、推しとの誰もが夢見るような胸キュンストーリーを、元ハロー!プロジェクトの℃-uteのメンバー・鈴木愛理とGENERATIONSの片寄涼太が演じている、テレビ東京系ドラマ『推しが上司になりまして』。主題歌は役柄の中条瞳がそのまま歌っているかのような、“推し”に対するとても健やかな愛情と、推し活効果による人生の潤いにあふれ返っている。《世知辛い社会に飲まれないための心の安定剤》《確かに側から見たなら私は正気の沙汰ではない》《自分の「好き」は自分で守る》など、推す人がいる人には心当たりのある言葉たちのオンパレード! 決して歌いやすい曲ではないが、なんてことなさそうに歌うその美しい歌声×表現力×笑顔は、聴く人をひとり残らず元気にするような、そして普段は推される側の彼女が歌う推し活ハッピーソング♪
「となり」(’23)/HiHi Jets
デビュー前でありながら、すでにたくさんのオリジナル曲を持っているHiHi Jetsだが、これほどストレートなラヴソンクは初めてだという「となり」。メンバーの高橋優斗・井上瑞稀が主演を務めている日本テレビ系ドラマ『君が死ぬまであと100日』の主題歌である。そのタイトル通り一見重いテーマを扱いながらも青春ラヴストーリーらしい、優しさでふわっと包んでくれるナンバー。主人公の林太郎とうみのやりとりを聞いているかのような歌詞から、お互いを思いやると同時に未来さえも変えられると心から信じている、そんなキラキラした無垢な想いを感じ取ることができる。いつまでもずっと“となり”で生きてゆきたい人を、思い浮かべながら聴いてみてください。ほら、ちょっと遠回りして帰りたくなっちゃった。
「ダメ男数え唄」(’23)/石川さゆり
小池栄子演じるブライダル会社社長兼やり手ウェディングプランナーが、ともに暮らす3人のダメ男たちへ愛ある奮闘を繰り広げるネオ・ホームコメディ、日本テレビ系ドラマ『コタツがない家』。実写版ならぬ漫画版に描き落とされた、漫画家・関口かんこのコミカルなアニメーションとともに、インパクトのあるメロディーとパンチがありながら透明感のある歌声に“これは誰?”と気になって調べたところ、なんと歌っているのは石川さゆり! これまでもジャンルを問わない楽曲やコラボを行なってきた彼女の、新境地となるであろうこの「ダメ男数え唄」は、歌詞を脚本家が担当しているという、ドラマ主題歌として最高にリアリティーのある作品となっている。1番は夫、2番は息子、3番は父親に向けて《ひとりじゃなんにもできねぇくせに》と爽快に言い放ってくれるところに、世の妻・母・娘の共感を誘う。そして最後はダメ男をひとりまたひとりと背中に乗せて、たくましく空を飛ぶ主人公に女性の強さと奥深い愛情を感じる一曲。
「幸せのまわり道」(’23)/ BIALYSTOCKS
劇中で登場する料理のレシピなども話題を集め、人気の理由はいろいろあるとは思うが、やはり一番は“何気ない日常”の中にある幸せを感じられるところにあるのではないだろうか。2019年に放送され2021年には続編の劇場版も公開された、テレビ東京系ドラマ『きのう何食べた?』のseason2が現在放送中。ドラマ初回放送日に配信リリースされたエンディングテーマ「幸せのまわり道」は、BIALYSTOCKSがこの番組のために書き下ろした曲。Vo. 甫木元の温かく伸びやかな歌声が、ささやかな毎日の尊さを穏やかな気持ちで感じさせてくれる、そんな一日の終わりの情景が浮かぶナンバー。本当の幸せって、こんなふうにゆるやかに噛みしめるものなのかもしれない。シロさんとケンジの鼓動が、踊りながらいつまでも一緒に響き合ってゆけますように。
TEXT:K子。
K子。 プロフィール:神奈川・湘南育ち。“音楽=音を楽しむ”ことを知り、好きな音楽の仕事がしたい!とOLをやめてオリコン株式会社に9年所属。旅行業界に転職後、副業で旅・エンタメ関連のWEBで執筆するも、音楽への愛が止められず出戻り人に。愛情込めまくりのレビューやライヴレポを得意とし、ライヴシチュエーション(ライヴハウス、ホール、アリーナクラス、野外、フェス、海外)による魅え方の違いにやけに興味を示す、体感型邦楽ロック好き。最愛のバンドが胸に空けた大きな穴とこれからも生きていく。
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