<ライブレポート>TiU(藤原大祐)、初ライブで魅せた生来の“ショーマン”の姿

2023年10月6日 / 19:00

 “彗星のごとく現れた若きショーマン”がついに降臨――。

 TiU(俳優・藤原大祐の音楽プロジェクト)が10月5日、東京・ビルボードライブ東京で初ライブ【POP SHOW ~THE FiRST~】を開催した。

 昨年12月にJQ(Nulbarich)を共同プロデューサーに迎えた配信シングル「HAPPY HUMAN」をリリース。さらに「NBDK feat.梅田サイファー(peko, KOPERU & KennyDoes)」「PLEASURE SONG」を発表し、10代最後の日(10月4日)に1st EP『SHOW TiME』でメジャーデビューを果たしたTiU。20歳の誕生日に行われた初ライブで彼は、80~90年代のポップミュージックを独創的なスタイルでアップデートさせた楽曲、そして、生来のショーマンと呼ぶにふさわしい華やかなステージングによって、オーディエンスを魅了した。

 黒のジャケット姿で登場したTiUは観客に一礼し、ピアノの前へ。自らコードを響かせながら、〈I wanna know just something beautiful〉というフレーズを歌い上げる。EP『SHOW TiME』の1曲目に収められたこの曲は、“僕らはただ美しい何かを求めている”というメッセージを込めた楽曲。ドラマー・岸田容男のビート、キーボード・Gakushiのきらびやかなサウンドとともに、しなやかなボーカルが響き渡り、ライブは幕を開けた。

「この場所が僕の夢でした。何年も前からこの場所に立つために生きてきたし、今日、この日を迎えられて本当に幸せです」。

「Are you ready?!」というシャウトに導かれた「POP SHOW」は、ダンサブルなアッパーチューン。観客のハンドクラップが鳴り、〈君のために歌うから〉〈僕のために踊ってよ〉というラインを描き出す。観る者を強く惹きつける歌声と存在感からは、パフォーマーとしての高い資質が伝わってきた。

 ここからは彼の豊かな音楽性が感じられるシーンが続く。再びピアノの前に座ったTiUは、ジャズのスタンダードナンバー「ブルー・ボッサ」のメインテーマを演奏。その雰囲気を活かしながら、音楽活動の起点となった「HAPPY HUMAN」へとつなげる。オーセンティックなジャズを現代的なポップスに結び付けたサウンド、そして、“すべての人の個性を認め合い、幸せを見つけよう”という思いを込めたリリックは、アーティストとしての原点と言っていいだろう。ハンドマイクで観客の一人ひとりに歌を届けながら、間奏パートではピアノを響かせるステージングも独創的だ。

 続いては「NBDK feat.梅田サイファー(peko, KOPERU & KennyDoes)」。原曲はラッパー3人をフィーチャーした軽快なナンバーなのだが、この日はBPMを落とし、バラード的な佇まいにリアレンジ。重厚さをたたえたサウンドのなかで、TiUのボーカリゼーションをたっぷりと味わうことができた。ゆったりしたテンポでも心地よいグルーヴを生み出すことができるのも、シンガーとして彼の魅力だと思う。

「今の2曲(「HAPPY HUMAN」「NBDK feat.梅田サイファー(peko, KOPERU & KennyDoes)」)はリリースしたのがちょっと前というのもあって、アレンジしてお届けしました。ビックリした方も多いと思うんですけど、こんなこともしちゃいます」という言葉も心に残った。それはおそらく「常に最新の音楽を届けたい」という思いだろう。

 そして「LONELY」は未発表の新曲。「この曲は、僕の人生でいちばんつらかったことを歌にしました。みなさんも、好きなもの、好きな人が離れていってしまうこともあると思います。そんなときにこの曲を聴いて、前を向いてもらえたらなと思って作りました」。そんな真摯な言葉からはじまったこの曲は、ピアノの弾き語りで披露された。悲しい記憶や孤独を抱えながらも、それでも自分の人生を歩んでいく――切実な思いを刻んだこの曲は、観客ひとりひとりの心を強く揺さぶったはずだ。

 ギターリフを軸にしたアレンジ、“飾ることなく自分自身をそのまま見せたい”という強い意志を込めたリリックが響き合う「TAKE IT OFF ALREADY」からライブは後半へ。「今日、20歳の誕生日なので、お酒を飲む姿をみんなに見てもらおうと思って」とグラスを掲げて「カンパーイ!」と挨拶した後は「PLEASURE SONG」。ホーンセクションの音色、ゴスペル風のコーラスが響き、フロアは一気に開放的なムードへ。 ベートーヴェンの「歓喜の歌」(交響曲第9番・第4楽章)のメロディを取り入れたパートを含め、まさに喜びに溢れたステージが繰り広げられた。

 ラストの「NAA-NA-NAA」では、TiUが客席に降り、観客のすぐそばでパフォーマンス。上階にも上がり、間近でコミュニケーションを取る姿からは、“1対1で向き合いたい”という真っ直ぐな思いが感じられた。メロディに乗せて「ありがとう!」という感謝を響かせたTiU。「ありがとうございました。僕は幸せです!」という言葉に対し、客席から大きな拍手が送られた。

 2024年2月22日には東京・ Zepp DiverCity(TOKYO)、2024年3月1日には大阪・Zepp Osaka Baysideでワンマンライブが決定。メジャーデビューEP『SHOW TiME』のリリース、ファースト・ライブを経て、次のステップへ。その先にあるのは、世界を視野にいれた“ショーマン”の輝かしい未来だ。

Text:森朋之
Photo:横山マサト

◎公演情報
【TiU 「POP SHOW ~THE FiRST~」】
2023年10月5日(木) 東京・ビルボードライブ東京

◎リリース情報
EP『SHOW TiME』
2023/10/4 RELEASE


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