<ライブレポート>山本彩、15公演を巡った全国ライブハウスツアー完走「幸せな2か月間でした!」

2023年8月5日 / 18:00

 山本彩の全国ツアー【SAYAKA YAMAMOTO TOUR 2023 – & -】のファイナル公演(追加公演)が8月3日、東京・Zepp Hanedaで開催された。3年ぶりのオリジナルアルバム『&』を携えた今回のツアー。この日のライブで彼女は、観客の熱狂的な歓声を受けながら、アーティストとしての魅力をダイレクトに見せつけた。

 オープニングを飾ったのはアルバム『&』の収録曲だ。ラップを取り入れたボーカルと強靭なバンドサウンドが共鳴する「Don’t hold me back」、“私は最強だ!”という強いエモーションが突き刺さる「Bring it on」。激しくギターをかき鳴らしながら凛とした歌声を響かせる山本彩のパフォーマンスによって、観客のテンションは一気に上がっていく。アコギに持ち替えて披露されたのは、山本自身が敬愛する阿部真央の書き下ろし曲「喝采」。フロアに伸びる花道に進んだ山本は、オーディエンスとしっかり目を合わせながら、心地よい一体感へとつなげた。

 「ツアーファイナルへようこそ、山本彩です!」と挨拶すると、会場全体から凄まじい歓声が沸き起こる。「みんなの声の聞かせてもらっていいですか? 女性(限定)エリアのみんな! 男子負けてないよね!」と観客の高揚感をさらに引き上げた後、「unreachable」へ。ラテンの雰囲気を感じさせるサウンドとともに、官能性を滲ませるボーカルに強く惹きつけられる。ハンドマイクによるセクシーなステージングからは、シンガーとしての魅力がはっきりと伝わってきた。

 そして、ライブ前半でもっとも心に残ったのは、「劣等感」だった。マイナスの感情に苦しめられながらも、<ムカつく程に今日も劣等感に生かされる>というフレーズにたどり着く。自身のリアルな感情を刻み込んだ楽曲をステージで解き放つ姿は、まさに圧巻だ。

 伸びやかな歌声が印象的だった「風の日」を披露した後のMCコーナーでは、山本、バンドメンバーがツアーの思い出を語り合った。バンドメンバーの小名川高弘(Key./Gt.)、草刈浩司(Gt.)、SATOKO(Dr.)、奥野翔太(Ba.)、Ayasa(Vn.)、asami(Cho.)は、1stツアーの時期から山本を支えてきた“チームSY”。演奏の素晴らしさはもちろん、トークからも気の置けない関係性を感じることができた。
 
 「そんじゃあ、夏っぽい曲をやりたいと思います」という言葉に導かれた「蛍」(山本のギターソロも素敵!)からは、山本彩の多彩なボーカル表現を体感できるシーンが続いた。理想と現実の間で揺れながらも、“きっとなりたい自分になれる”という思い美しいファルセットとともに描いた「ゼロ ユニバース」。大切な存在だった“あなた”との別れを抒情的に映し出す「追憶の光」。そして、異国情緒漂うメロディがゆったりと広がった「ラメント」。エモーショナルなロックチューンの印象も強いが、山本の音楽性とボーカリゼーションはきわめて多彩だ。

 「まだいけるか、東京!? 後半いくぞ!」というシャウトとともに打ち鳴らされたのは、激しさと切なさを兼ね備えたロックナンバー「JOKER」。さらに「HAPPY HAPPY Party Boy,Happy Happy Party Girl」の大合唱からはじまった「Weeeekend☆」、“壁にぶつかっても、自分を信じて突き進め”というメッセージが真っ直ぐに伝わる「TRUE BLUE」とアッパーチューンを続け、ライブはクライマックスへ。本編ラストはアルバム『&』収録曲「ドラマチックに乾杯」。山本とオーディエンスがタオルを振り回しながら楽曲を共有し、圧倒的な解放感を生み出した。

 “彩コール”に導かれて再びステージに登場した山本彩は、今回のツアーを振り返りながら、観客にゆっくりと語り掛けた。「“最高のステージだ”と思えるのは、みんなの力のおかげ。こうやって声を出して、騒いで。完璧な相思相愛だなって思います。今日もステージに立たせてくれてありがとう」「前々回のツアー(2020年)、前回のツアー(2021年)は完走できなかったんですよね。すごい悔しかったし、みんなに申し訳なくて。そんな思いも含めて、長かった霧のなかから抜け出せた気持ちがあって。ツアーが始まってからの2か月間、めちゃくちゃ幸せでした」という言葉に、会場からはこの日、いちばん大きい拍手が送られた。

 さらに「自分にはすごいものがあるとか、特別なものがあるなんて一切思ってなくて。そんな自分にもやり遂げられること、自信を持てることが、続けていれば出来るんじゃないかなって。みんなをもっと大きいところに連れていけるように、30代からもやっていきたいと思ってます。長いマラソンになると思うので、みんなもケガしないようについてきてくれたらうれしいです!」と未来に対する決意を口にした。

 「これからの旅にピッタリな曲です」という「yonder」、そして、「明日の自分に会いに行こう」というラインが響き渡った「Are You Ready?」でライブはエンディング。彼女の最高の笑顔からは、アルバム『α』と今回のツアーに対する確かな手ごたえが伝わってきた。シンガーソングライターとしての才能、ライブ・パフォーマーとしての魅力をダイレクトに証明した山本彩。この先のさらなるステップアップにつながる、きわめて意義深いツアーだったと思う。

Text by 森朋之
Photo by 佐藤祐介/半田安政

◎公演情報
【SAYAKA YAMAMOTO TOUR 2023 – & -】
2023年8月3日(木)
東京・Zepp Haneda


音楽ニュースMUSIC NEWS

Hey! Say! JUMP&Number_iが総合首位、米津新曲はNetflixシリーズ主題歌、「BBBB」今年最速で5億:今週の邦楽まとめニュース

J-POP2024年10月5日

 2024年10月2日公開(集計期間:2024年9月23日~9月29日)のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、Hey! Say! JUMPの「UMP」が首位を獲得した。本作はHey! Say … 続きを読む

ももクロ・佐々木彩夏、ソロツアーを完遂 ポールダンスやDJに初挑戦し新たな“あーりんワールド”を展開

J-POP2024年10月4日

 ももいろクローバーZの佐々木彩夏が2024年9月28日、東京のZepp Hanedaにて、ソロコンサート【AYAKA NATION Special Edition『VIP ROOM A+』】を開催し、その公式レポートが到着した。  今年は … 続きを読む

あいみょんが“兵庫県トーク”、Kiss FM KOBE特番のポッドキャスト版を期間限定配信

J-POP2024年10月4日

 あいみょんが出演したKiss FM KOBE(兵庫エフエム放送株式会社)の特別番組『兵庫県 presents あいみょんのPM6:00~くじらにジェラシー~』のポッドキャスト版が、2024年10月20日まで期間限定配信される。  9月29 … 続きを読む

櫻坂46、村井優がセンターを務めるBACKS楽曲「僕は僕を好きになれない」MV公開

J-POP2024年10月4日

 櫻坂46が、10thシングル『I want tomorrow to come』に収録される、BACKSメンバーによる楽曲「僕は僕を好きになれない」のミュージック・ビデオを公開した。  今作は、三期生・村井優が初めてセンターを務めており、和 … 続きを読む

Little Glee Monster、デビュー10周年アニバーサリーソング「Memories」先行配信

J-POP2024年10月4日

 Little Glee Monsterが、2024年10月11日に新曲「Memories」を先行配信リリースする。  新曲「Memories」は、作詞にLittle Glee Monsterのメンバーも参加した、デビュー10周年記念のアニ … 続きを読む

Willfriends

page top