<ライブレポート>安田レイ、万感の思いを込めた10周年記念ライブで感謝の涙「これからも歌っていきます!」

2023年7月8日 / 20:00

 安田レイが、2023年7月3日にソロデビュー10周年を迎え、ビルボードライブ東京にてワンマンライブ【Rei Yasuda 10th Anniversary Special Live “Turn the Page” Supported by JA全農】を開催。キャリアを振り返りつつ新曲を交えた14曲を熱唱して新たなスタートを切った。このレポートでは2ndステージの模様をお届けする。

 2013年7月3日に「Best of my Love」でデビューを飾ってから、この日でちょうど10周年を迎えた安田。会場入り口横にはたくさんの祝い花が並び、普段のビルボードライブ以上に華やかさを演出していた。また、安田自身が監修したプレート&オリジナル・カクテルが公演当日の限定メニューとして登場。石川県産米「ひゃくまん穀」と国産牛ヒレ、旬の野菜による「“Turn the Page” プレート」、鳥取県産「大栄西瓜」の生絞りスイカジュースを使用した「何飲む?カクテル!スイカあります?」を楽しみながら開演を待つお客さんの姿が見られた。

 定刻の20時30分、まずバンドメンバーがステージに上がる。向かって左からクレハリュウイチ(Key.)、江渡大悟(Gt.)、藤谷一郎(Ba.)、稲田一朗(Dr.)の4人編成。ノスタルジックなメロディと歩く靴音、ページをめくる音によるSEが場内に響くと、鮮やかな桜色の衣装を身にまとった安田が客席後方から拍手に迎えられてステージに上がった。「今日はありがとうございます! 10周年、一緒にお祝いしましょう!」と声を掛けて始まったオープニング曲は「Just for you」。“消えてしまいそうな夜も 自分を見失う朝も non-stop 時は流れてる”と、10年の月日に想いを馳せるような歌い出しが印象的だ。躍動する歌声を聴かせると、サビではキラキラと水面に光が差すような照明がステージと客席に降り注ぐ。続く「Tweedia」では、静かな歌い出しから高鳴る鼓動を表したようなドラムの4つ打ち、アコギの音色に乗せてスケールの大きなサウンドスケープを見せた。

 「(「Tweedia」の歌詞)〈ありがとう 隣にいてくれて〉そんな気持ちで胸がいっぱいです。今日はゆっくりと10周年を振り返ってみたいです。スペシャルな夜にしましょう」

 軽快なギターのカッティングがリードする「us」を身振り手振りを交えて歌い、「みんな声を聴かせて!」とオーディエンスの歌声を求める安田。ファンキーな16ビートとパワフルな熱唱が会場を熱くする。デビューシングルに収録された「フォゲミナ」(“forget me not”の意)ではメンバーも客席を煽って、大きな手拍子と演奏に乗った歌声もより力が入る。会場全体を見まわしてカジュアルエリアを笑顔で見上げながら手を振って歌うなど、リラックスしてライブを楽しんでいる様子だ。疾走感溢れるロックチューン「blooming」まで、一気に畳みかける選曲でライブ序盤を駆け抜けた。

 「やんちゃな曲が続きました(笑)。懐かしい曲が続いてますけど、覚えてますか?私はまだ20代前半でした。いろいろと思い出しながらステージに立っています。20代の頃は今とステージへの向き合い方が違って、とにかく完璧を求めることを意識していました。でも人間ですからそんな完璧に歌うことなんて不可能。それを知ったのが28、29歳ぐらいです。そこからだいぶ気持ちが楽になりました。みんなもきっと、安田レイの完璧な姿を見たいために来てるんじゃなくて、その日のその瞬間を一緒に体験したいんだよね?」

 と語り掛けると、客席からは大きく頷きながら拍手する人の姿も。続いて披露された曲は「赤信号」。赤い照明で染まったステージ上、ジャジーに始まりロック色が強くなる演奏に合わせた変幻自在な歌い回しが、ライブ前半のイメージと全く違う。泣きのギターソロ、終盤の迫力のシャウトでどっぷりと歌の世界観に引きずり込まれた。余韻を残したまま始まった代表曲のひとつ「Not the End」では、張り詰めた緊張感のあるサウンドと、身をよじりながら情念の籠った歌声を聴かせる姿がドラマティックに映った。ガラリと空気感を変えたミディアムバラード「きみのうた」では優しくもエモーショナルに歌い上げる。曲ごとに歌詞が描く心情に没入する多彩な表現を聴かせながらも、一本芯が通ったパーソナリティが伝わってくるところが、彼女のアーティストとしての魅力だ。それは、大勢の豪華アーティストとコラボしたアルバム『Circle』からも感じることができる。

  「ごはん食べた!? 美味しかった? ありがとう!」

  と客席に話しかけると、「何飲む?カクテル!スイカあります?」が“あの曲”の歌詞の引用から名付けられたメニューであることに触れ、「何飲む?」「カクテル!」とコール&レスポンスから、「HOME THERAPY」がスタート。ミラーボールが回り、ひと際ポップでダンサブルな歌と演奏により一気に華やいだ雰囲気に包まれた。“家 家 家呑み”と歌うサビでは、ステージ前に出て煽り、2番のパートではこの曲をコラボした熊木幸丸(Lucky Kilimanjaro)の声が流れて掛け合うなど、ホームパーティさながらの楽しい盛り上がりとなった。間髪入れず始まったアルバムタイトル曲「Circle」ではさらにテンション高く、激しいアクションを見せながらバンドと一丸となったパフォーマンス。「知ってたら是非一緒に歌ってください!」と呼び掛けた「Brand New Day」では、大きく手を振りながら歌う安田に客席も応えて盛り上がる。その熱をクールダウンするように、静かなピアノの旋律と共に歌い出したのは「each day each night」。徐々に感情が昂り空に昇って行くようなボーカルは震えるような迫力だった。

 「10周年、その前の活動を入れるともっと前から歌を歌っているんですけど、この世界の厳しさもこの10年ですごくわかったし、何度か、“私はここにいるべき人じゃないのかもしれないな”と思った瞬間もありました。でも、いつも戻るきっかけが何か起きて、気付いたらまたこうやってステージに立ってみんなといるんですけど……」

 そう語りながら、涙をこらえ切れない安田を拍手で讃える観客たち。

 「ありがとうございます。そういうとき、“まだ歌える”っていう何かからのメッセージなのかなっていつも思うんです。まだまだ、歌っていきたいです。いいですか!?」

 そう語り掛けると、さらに大きな拍手がステージに贈られた。「最後に大事なこの曲を聴いてください。ちょうど10年前の今日、この曲で私は安田レイとして歌を始めました」との曲紹介から、デビュー曲「Best of my Love」へ。オリジナルよりもゆったりと、穏やかに包み込むような柔らかいアレンジの演奏に寄り添うような丁寧な歌い方から、メンバー紹介を挟んでエンディングを迎えた。

 アンコールのMCでは、SACRA MUSICへのレーベル移籍に関しての発表があり、海外での活動に対しての意欲を語った。また、安田のルーツや尊敬するアーティストの楽曲をカバーしていく動画企画「through my VOICE」、「Best of my Love」をはじめショートサイズのみでの公開だったMVをすべてフルサイズで公開、オフィシャルTikTok開設と、10周年を機にスタートさせるさまざまな取り組みが発表された。

 そして最後に歌われたのは、「初めて歌う曲だけど、みんなと一緒に歌いたい」と、コーラスパートを練習してからの、新曲「Turn the Page」。ライブのタイトルとなったこの曲は、ソウルフルな歌唱が印象的な楽曲。ステージ後方のカーテンが開き、「ラララララ~」と会場一体となったコーラス、ハンドクラップによりゴスペルチックな感動のフィナーレとなった。

 「ありがとう! 幸せすぎるよ! 素晴らしいね。これからも歌っていきます! また会いに来てください。ありがとうございました!」と客席に感謝の一礼をすると、「帰りたくないなあ」と、名残惜しそうにステージを降りて行った安田。その表情は、歌うことへの喜びに満ち溢れていた。

Text:岡本貴之 

◎公演情報
【Rei Yasuda 10th Anniversary Special Live “Turn the Page”Supported by JA全農】
2023年7月3日(月)  東京・ビルボードライブ東京 

2ndステージ
<セットリスト>
1. Just for you
2. Tweedia
3. us
4. フォゲミナ
5. blooming
6. 赤信号
7. Not the End
8. きみのうた
9. HOME THERAPY
10. Circle
11. Brand New Day
12. each day each night
13. Best of my Love
EN1. Turn the Page


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