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2023年6月のうららかな晴天の午後、エルトン・ジョンが、自身の名前があしらわれたサーモン・ピンクのピンストライプ・スーツに身を包み、英ウィンザーにある優雅で広大な邸宅の庭で、長年のバンドやスタッフ、ツアー・プロモーターたちと歓談している。エルトンと彼のバンドが最近達成した歴史的なチャートの節目を祝うために、AEGの会長兼CEOジェイ・マルシアーノが企画した特別な集まりだ。
5年前に始まった【フェアウェル・イエロー・ブリック・ロード・ツアー】も残すところあと15公演となった。米ビルボード・ツアー・チャート“Billboard Boxscore”によると、このツアーは20か国に及ぶ300以上の公演で、8億8700万ドル(約1,250億円)以上の興行収入と570万枚のチケットを売り上げ、歴代トップとなった。また、Billboard Boxscoreが40年前にデータ追跡を始めて以来、エルトン・ジョンがソロ・アーティストとして史上最高の興行収入を上げ、チケット販売枚数でもトップになった。
米ビルボードのエディトリアル・ディレクターのハンナ・カープとチャート・データ・パートナーシップ担当副社長のシルヴィオ・ピエトロルオンゴから二つの賞を受け取ったエルトンは、「音楽を始めた時、僕はただ音楽を演奏したかっただけでした。歴代最高の興行収入を上げるツアーをやろうとは思っていませんでした」とコメントし、「エド・シーランはすごく気分を害するだろうな」とジョークを飛ばした。エルトンの友人であり教え子でもあるエドの【ディバイド・ツアー】が、以前の歴代最高興行収入記録を保持していたからだ。
エルトンの気前の良さは、夫でありマネージャーでもあるデヴィッド・ファーニッシュとの自宅の庭での集まりに皆を招待するだけにとどまらなかった。彼は、マルシアーノやツアー・ディレクターのキース・ブラッドリー、長年のエージェントであるハワード・ローズなど、記録達成を可能にした多くの裏方たちを称賛した。そして、トニー・リデル料理長へのスタンディング・オベーションを促し、半世紀以上にわたって世界中を旅してきた中で“このツアーの食事が過去最高だった”と断言した。タトゥーだらけのローディーやシックなデザイナー、きちんとした身なりのビジネス関係者を含む聴衆は心からの同意を大きな拍手で表しているようだった。
そしてもちろんエルトンは、デイヴィー・ジョンストン、ナイジェル・オルソン、マット・ビソネット、ジョン・マホン、キム・ブラード、レイ・クーパーからなるバンドも称賛し、Billboard Boxscore史上最高の売上を記録したツアーに参加したメンバーとしてそれぞれに洗練された楯が贈られた。また、長年エルトンと共同作業してきた作詞家のバーニー・トーピンにも、エルトンの業績への貢献に対して賞が授与された。
エルトンは、「人々が報われるのを見るのはとても素晴らしいことですし、バンドが楯を手にするのを見るのも素晴らしいことです。バンドなしでは成し遂げられませんでした。彼らは(受賞に)値する。僕には世界最高のクルーと最高のバンドがいる。君に言ってるんだよ、ブルース・スプリングスティーン」と、ウィンクしながら言った。
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