レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、11年ぶりのライブでブランクを感じさせない挑発的なステージを披露

2022年7月12日 / 14:30

 2022年7月9日に米ウィスコンシン州イースト・トロイで、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(RATM)が11年ぶりとなるライブを行った。再結成した過激なロッカーたちは長年のブランクを一切感じさせず、完売したアルパイン・バレー・ミュージック・シアターの3万人以上の観客に向け、バンドの特徴である断固としたメッセージ性が盛り込まれた名曲の数々が並んだ激しいセットを届けた。

 RATMの帰還は新型コロナウイルスの流行により何度も延期されていたが、服従や集団思考、そして人種差別の遺産を一蹴する楽曲を多く持つ彼らがこの瞬間に戻ってきたことは、真実の意味すら議論の対象となって引き裂かれている国の著しい分裂に挑む態勢が完璧に整ったからであろう。

 ラップ、ロック、メタル、そしてストリート・レベルのルポルタージュの混在が特徴的なこのバンドは、2000年の解散以来2度の長期休止を経ていたにもかかわらず、アリーナ級の会場でのヘッドライナーを務められるほどの地位を保っていた。米ローリング・ストーンによると、コンサートは1992年の「Bombtrack」で幕を開け、後ろのスクリーンに“Fear is Your Only God”(恐れが唯一の神)の文字が光る中、RATMらしい激しさで、「People of the Sun」や「Bulls on Parade」などの地響きのような名曲が続いた。

 90分のこのライブではもちろん、RATMお決まりの挑発も盛り込まれ、ステージのスクリーンには炎上するエルパソのパトカーや、ボートに乗った難民の一団にズームインするヘリコプター映像などが映し出されたほか、保守寄りの米最高裁判事たちが1973年の「ロー対ウェイド裁判」判決を破棄してからわずか数週間後のこのタイミングで、“最高裁判所を中絶せよ”という刺激的な文言も表示された(米最高裁による判断後、ウィスコンシン州では170年以上前の中絶禁止法が復活している)。

 また、ギタリストのトム・モレロは、ショーの最後の数曲で“I Love CRT”と書かれたTシャツを着ていた。CRTとはCritical Race Theory(批判的人種理論)の頭文字で、共和党議員や保守派の親たちが、“人種差別の根源は社会の仕組みや法律などに組み込まれている”と考える大学レベルの批判的人種理論が小学生に教えられていると主張しているものの、実際にはその証拠はどこにもないという、最近米国で激しさを増している文化論争だ。

 また、2000年の最終公演以来演奏していなかったブルース・スプリングスティーンの「The Ghost of Tom Joad」のカバーや、「Killing in the Name」、「Bullet in the Head」、「Know Your Enemy」、「Testify」、「Guerrilla Radio」、「Sleep Now in the Fire」、「War Within a Breath」など、ファンから人気の高い曲が演奏された。この公演はRATMにとって、2011年7月30日の【LA Rising】以来となるライブだった。彼らの【パブリック・サーヴィス・アナウンスメント・ツアー】は、7月11日にシカゴのユナイテッド・センター公演へと続いた。

◎レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン 2022年7月9日公演セットリスト
Bombtrack
People Of The Sun
Bulls On Parade
Bullet In The Head
Testify
Tire Me
Wake Up
Guerrilla Radio
Without A Face
Know Your Enemy
Calm Like A Bomb
Sleep Now In The Fire
War Within A Breath
The Ghost Of Tom Joad
Freedom
Killing In The Name


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