今の時代に聴きたくなる5曲

2022年2月28日 / 18:00

今の時代に聴きたくなる5曲 (okmusic UP's)

2022年も世界でパンデミックが続く中、ロシアがウクライナに対して軍事侵攻に踏み切る様子がニュースで流れたりと、とんでもない時代に突入しました。ふと自宅で音楽を聴きながら、ふとライヴハウスでバンドの演奏を浴びながら、平和であるからこそ音楽が楽しめるんだなと日々痛感しています。毎日、目に見えないものに怯えながら、前向きに生きていくためには日々のストレスを解消してくれる娯楽は不可欠だと思います。本や漫画、音楽や映画など、何かに没頭できる時間はかけがえのないものです。では、今の時代に寄り添った5曲を選んでみました。
「Stop The War」(’16) /HEY-SMITH

反戦歌はたくさんあるが、個人的に真っ先に脳裏に浮かんできたのはこの曲。ド直球の曲名でメッセージを叩きつける潔さといい、今の時代においても世界中の人たちの心を代弁した言葉と言っていいだろう。簡潔だが、これ以上の言葉は必要ない。メタリックなヘヴィリフ、爽快なホーンセクションが鳴り響き、緊張感を帯びたサウンドが心の奥底に響き渡る。人間は進化しているどころか、どんどん退化しているのではないか。この曲が現代も有効性を発揮しているということは、悲しいけれど、そういうことなのだ。
「夜明け前」(’21)/人間椅子

昨年出た現時点での最新作にあたる22thアルバム『苦楽』のラストを飾るナンバーだ。アルバム名も素晴らしく、“楽あれば苦あり、苦があれば楽あり”と、どちらも表裏の関係であり、どちらが欠けても人間性を損なってしまう。まさに真理だと思う。《明けない闇夜はない》と言い切る歌詞もそうだが、聴き手の背中を押してくれる重厚なハードロックに心がじわじわと燃え上がってくるようだ。約7分半に及ぶ長尺曲だが、無駄なパートはまったくなく、後半になるにつれてドラマチックに盛り上がるパートもカッコ良い。
「世界の終わりと夜明け前」(’22) /東京初期衝動

今年2月2日に2ndアルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』を発表したばかりのガールズ・バンド4人組、東京初期衝動。従来のパンクロックはより獰猛に、キュートなポップセンスを一気に押し広げた本作はバラエティーあふれる楽曲を揃えた傑作である。この曲は《不毛な世界が今 僕を全て崩してる》と歌詞で綴っているけれど、そこに乗る歌とメロディーはどこか勇壮な雰囲気にあふれ、懸命に前に進もうとする姿が頭に浮かんでくる。心の内側から沸々とパワーが漲ってくる楽曲だ。
「東京」(’22)/SUPER BEAVER

約1年という短いスパンで届いたニューアルバム『東京』は、またしてもSUPER BEAVERらしさが濃縮された作品に仕上がった。その表題曲はアサヒスーパードライ×THE FIRST TAKE WEBCMタイアップソングにもなり、ビーバー・渋谷龍太と緑黄色社会の長屋晴子の両ヴォーカリストが共演した映像を観た人も多いに違いない(素晴らしかった!)。本作の中でもスケールの大きな名曲に仕上がっており、《生きる人 今日 生きる人に 歌いたい 歌が 生まれるんだ》と呼びかける歌詞に胸を突かれる。
「Start The Healing」(’22)/KORN

前作『THE NOTHING』も強烈なインパクトを与えてくれたが、それに続く最新14thアルバム『Requiem』はまた新たなフェーズに突入したKORNの表情を刻みつけた力作。アルバム名からも分かる通り、パンデミックやメンバー自身の身の周りの人たちの死などを経験し、この曲では「癒しから始めよう!」と訴えている。重厚なヘヴィリフを特徴に、ジョナサン・デイヴィスのメロディアスな歌声が印象深く、激しさと柔らかな質感が溶け合ったキャッチーな聴き応えをもたらす。作品自体も無駄を削ぎ落としたソリッドな楽曲が並び、これからKORNを聴いてみよう!という人にも入りやすい内容になっている。
TEXT:荒金良介

荒金良介 プロフィール:99年からフリーの音楽ライターとして執筆開始。愛読していた漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(登場人物に洋楽アーティスト名が使用されていたため)をきっかけに、いきなりレッド・ツェッペリンの音源を全作品揃える。それからハード・ロック/ヘヴィ・メタルにどっぷり浸かり、その後は洋邦問わずラウド、ミクスチャー、パンクなど、激しめの音楽を中心に仕事をしてます。趣味は偏ってますが(笑)、わりと何でも聴きます。


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