<ライブレポート>Salyuがデビュー15周年 トリオで奏でるスペシャルなアコースティックライブを大阪で開催

2019年7月6日 / 12:00

 今年デビュー15周年を迎えたSalyuが、【Salyu LIVE HOUSE TOUR 2019】の大阪公演を6月23日の吉祥寺Star Pine’s Caféに続いて、6月28日、umeda TRADにて開催した。ガットギター・羊毛(市川和則)、ウッドベース・須長和広とともに3人編成で繰り広げた、普段とひと味違うアコースティックライブの大阪公演での一夜をレポートする。

 会場は着席スタイルでゆったりとした雰囲気が漂うなか、ライブは「emergency sign」からスタート。やさしいギターの音色とどこか浮遊感をまとうようなウッドベースの音色に、Salyuの温度感あるボーカルが溶けて、特別な夜の気配が生まれる。そしてその感触は「リスク」で深い夜の怪しさへ。少女のような無邪気さが残る歌声は徐々に熱を上げてハイトーンへと変わって人々を曲の物語へと引き込み、地続きのように次の「エロティック」のムーディーな世界へと誘う。繊細に震えて鼓膜を刺激するSalyuの声は語りかけるような生々しさもあり、うつむきがちに目を閉じて放たれる〈ah〉のコーラスはたっぷりの熱量。わずか3曲で3人の作る夜景が会場に広がる。

 すると今度は音遊びのような静かなイントロから、緩急をつけた不規則さも感じさせる展開の「landmark」へ。叫びにも似た歌声が響いて波打つ曲に誰もが集中する。〈Ring Ring Ring…〉のリピートは耳に焼き付き、そのドラマチックさに3人が織り成す演劇を見ているような気分にもなる。思わず高まったファンからはかけ声がかかり、Salyuもそれに反応して「予期せぬMCとなりました(笑)」とブレイクタイムに。15周年の感謝も述べつつ、観客と言葉を交わし、まるで団らんのひと時のような温かい雰囲気で十分に会場を和ませ、後半戦に突入。

 まずはベースが刻むビートにのせ、爽快かつ軽やかに「be there」が始まると、パワーのある伸びやかなボーカルは、会場に見えないはずの青い空を見せてくれる。また、羊毛と須長との出会いを振り返り、このトリオ編成で見出した新たな音楽について語ると、そんな3人で「懐かしい歌を……」とみずみずしく「HALFWAY」を披露。そして次に「一番新しい曲です」と羊毛が仲間と手がけたという「vermilion」を演奏し、温もりある3人の音が、はかない光がさすような明るさを持つメロディを彩ってリラックスした質感を感じさせる。その後「アイニユケル」へと続け、センチメンタル&ノスタルジックなスロウナンバーで、アカペラありウィスパーありと、ほとばしらせる情熱的な瞬間をさまざまに聴かせてオーディンスを釘付けに。Salyuも「ずーっと歌っていたい(笑)」と高揚した様子でついにラスト1曲。彼女が励ましや癒しを感じずにはいられないと言う「to U」が鳴り出す。大切に歌われる〈頑張らなくてもいいよ〉〈あわてなくてもいいよ〉の詞は心にすっと浸透。穏やかな心象風景を描く楽曲は言葉どおりに癒しをもたらし、すべての人を丁寧に包み込んでライブは余韻たっぷりに終わりの時を迎えた。

 もちろん会場では拍手がやまず、アンコールも! セレクトされたのは「小林武史さんがおめでたい歌を作りたいとおっしゃって……」(Salyu)できたという「Lighthouse」。突き抜けるSalyuのボーカルが人々の背中を明日へと押し、後光さえ見えそうな感動的なラストシーンとなった。

 なおアンコール時に発表されたように、Salyuは9月13日にビルボードライブ大阪で、10月2日と3日にビルボードライブ東京でのライブが決定! さらに小林武史が書き下ろした新曲「僕らの出会った場所」が、9月6日に公開される映画『いなくなれ、群青』の主題歌になるなど、メモリアルイヤーを飾る活動はまだまだ盛りだくさん。今後も彼女から目が離せない日が続きそうだ。

Text by 服田昌子
Photo by 久田元太

◎公演情報
【Salyu LIVE HOUSE TOUR 2019】
2019年6月28日(金)大阪・umeda TRAD〈終了〉

◎今後の公演
【Salyu】
2019年9月13日(金) ビルボードライブ大阪
2019年10月2日(水)・3日(木) ビルボードライブ東京
詳細:http://www.billboard-live.com/


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