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今週のHot100を見て驚いた方は多いのではないだろうか。DAOKO×米津玄師「打上花火」が返り咲きの1位というニュース性がありつつも、2位に突如チャートインした荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」には思わず間違いではないかと感じたかもしれない(【表1】)。
この曲がチャートインした理由は、御存知の通り大阪府立登美丘高校ダンス部による”バブリーダンス”の影響によるものだ。これは、女子高生たちがバブル期のボディコンファッションに身を包み、切れ味たっぷりのユニークなダンスを披露する動画で、BGMに「ダンシング・ヒーロー」が使用していたことによる。この動画は、荻野目本人や動画にも協力したバブリー・ネタで人気の平野ノラなど著名人たちのプッシュもあって拡散。YouTubeでの動画再生数が一気に870万回以上にも達したという。チャートを見てみると、先週の時点ですでに動画再生数は4位にまで上昇していたが、今週はダントツの1位となった(赤のグラフ)。そのポイント数も圧倒的だったことにより、トータルでも2位となったわけである。ツイッターのつぶやき数やセールス数も圏外ながらも多少は影響しているとはいえ、ほぼ動画再生数のみでここまで到達したのは見事。昨今はピコ太郎の例もあるが、CDの売上がなくてもヒットが生まれるという好例だろう。
そして、突然の引退報道に湧いた安室奈美恵のランクインも、通常のヒットのセオリーとはまた違う動きを見せた。「Hero」は、昨年リオデジャネイロ五輪の際にNHKのテーマソングとなった楽曲だが、おそらく歌詞の内容が今回のニュースに直接結びついたからだろう。一気に5位にまで上昇した(【表2】)。チャートの構成要素を見ていると、セールスポイントが2位ということで実際にCDの売上やダウンロードでの数字が伴っているのが特徴だ。また、ルックアップ(CDのPCでの読み取り数)が急増しているのも目立ち、一連のニュースでレンタル需要が増えたであろうことが想像できる(オレンジのグラフ)。彼女の楽曲は他にも、100位以内に12曲チャートインしており、まだまだ上昇する可能性が高い。
ヒットを生むのは、リリースタイミングだけでない。そのことが顕著に現れたのが、今週のチャートなのである。Text:栗本斉
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