【DAOKO】 自分の美しいと思えるものを作れるのが アーティストにとって一番重要なこと

2017年8月15日 / 10:00

(okmusic UP's)

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌「打上花火」は、米津玄師がプロデュース。さまざまな挑戦と発見があったという今作について、語ってもらった。
──映画主題歌の「打上花火」は米津玄師さんプロデュースの曲ですが、どのようなことイメージしながら表現しました?
「ヒロインのなずなの気持ちになって、典道くんとふたりで見ている情景や想いを想像しながら演じるように歌いました。DAOKOを形成する最大要素である“声”と“詞”が今回は“声”のみだったので、米津さんの歌詞と物語を照らし合わせながら自分なりの解釈で詞を声で表現しました。レコーディングの時、最初は情緒的に歌っていたのですが、米津さんから淡々と歌ってほしいというリクエストがあったので、淡々とした中にもふたりの想いが燃えているように。それが物語の雰囲気や色合いにマッチしていたんです。淡々としていることによって、エモーショナルに聴こえるようになったので、流石のディレクションだなと感動しました。」
──米津さんが作るメロディー、歌詞の魅力については、どのようなことを感じています?
「米津さんは天才的なメロディーメーカーですね。独自の唯一無二のメロディーラインを持ちながらもポップスとしてデザインされていて秀逸という。歌詞の世界観もユーモアにあふれていて。個人的に今回の歌詞は典道くん側から切り取った言葉たちだと感じました。」
──映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観て、昔のことを思い出したりもしたのでは?
「はい。中学の同級生の男の子ってこんな感じだったなと懐かしくなりました。女の子のほうがちょっぴり大人びているところとか、リアリティーがありましたね。大人でも子供でもないティーンの複雑で繊細なかたちが表現されていたり、どのキャラクターも生々しいんですが、背景はどこかメルヘンチックだったり。現実離れした描写が多々あって、妄想しがちだった10代のあの頃を思い出す作品です。プールサイドの塩素の匂いとか、教室の匂いなど、いろいろな夏の“匂い”が香ってくるような切り取り方や描写に感動しました。」
──夏はお好きですか?
「四季の中で一番夏が好きです。暑いより寒いほうが苦手だし、何より夏の空気感が好きです。青が際立って美しい季節だと思っていて、海や空に浮かぶ雲の近さや質感がたまらなく好きですね。クーラーを効かせた部屋の冷えたフローリングに横たわってアイスを食べるのが夏の醍醐味です。」
──カップリングの「Forever Friends」は同映画の挿入歌ですが、1993年に放送されたテレビドラマ版で使われた曲のカバーですね。
「はい。あのドラマで一番印象に残ったのが、この挿入歌が使われているプールのシーンでした。岩井俊二さんの表現する青の中で鳴り響く、この曲が映像のエモーショナルさを際立たせていたので、あのシーンを思い出しながら自分が声でできる最大限の表現を込めました。初の英語詞とカバー作品だったので、自分で詞を訳したり、発音指導を受けたりと、今までにない表現についての研究をたくさんした曲です。たくさん歌う中で、オリジナリティーのある発音と自分なりの解釈を見つけることができたのもひとつ発見でしたね。」
──通常盤に収録される「Cinderella step」の作詞作曲はDAOKOさんですね。まず絵を描いてから曲作りに取り組んだそうですが、どのような世界、ストーリー、色彩、色味をイメージしながら制作を進めましたか?
「まずアニメの内容に寄り添って、ふたりの男女が踊っている姿を想像した時、メルヘンチックなシーサイドで踊っている風景が浮かんできたんです。これは絵にしたほうが伝わるなと思って、初めての共有の仕方として絵を用いました。」
──編曲を手掛けたサカナクションの江島啓一さんにも、その絵を通じてイメージを伝えて?
「はい。私が作ったデモと、あとは全て絵に込めました。青や紫やピンクの色味も人それぞれ思い浮かべるものは違うと思うので、実際に描くことによって、その色味やトーンを共有できました。私の想像を遥かに超えるミニマルでエモーショナルなダンスアレンジに仕上げていただき、あまりにも秀逸で感動して、初めて聴いた時は涙が出そうでした。」
──今回の3曲もまさにそうですが、最近のDAOKOさんはメロディアスな曲を表現する機会が増えていますね。
「そうですね。もともとラップという表現と出会ったのも偶然的なもので、それが運命でもあったのですが、そもそも自己表現の方法を探していた中で需要と供給が合致したのがラップなんだと思います。なりたいラッパーやラップに影響を受けて育っていなかったので、オリジナルのスタイルが形成されたのだと思うのですが。その他にも絵や写真や詩など、さまざまな自己表現が好きな中で、やはり私は音楽を心から愛していて、日々音楽に救われているんですね。聴いている音楽は多種多様なので、自分もジャンルにとらわれない表現をしたいなと。私が今好きな音楽を混ぜ合わせて自分の音楽にできたら、新しい音楽を生み出すことができると思うんです。なので、今一番やりたいこと、美しいと思うことを、創作活動に反映させていくことが私の幸せであり目標ですね。自分の美しいと思えるものを作れるのが、アーティストにとって一番重要なことだと思います。方法は限らず、自分の表現の可能性を広げ続けていきたいです。」
──小説『ワンルーム・シーサイド・ステップ』も書籍化されましたし、表現の幅は着々と広がっていますね。
「小説を書くのは初めてだったのですが、こんなに自分は言葉を持っているのかと感動したし、またひとつ表現の扉を開いた実感があるので、面白そうだなと思うことは何でもトライして、救い救われるような美しい作品を生きている限りたくさん残したいです。」
取材:田中 大
シングル「打上花火」
2017年8月16日発売

TOY’S FACTORY

【初回限定盤(DVD付)】

TFCC-89631 ¥1,620(税込)

※イラスト描き下ろしジャケット

【通常盤】

TFCC-89632 ¥1,296(税込)
DAOKO
1997年生まれ、東京都出身。ラップシンガー。15歳の時にニコニコ動画へ投稿した楽曲で注目を集め、12 年に1stアルバム『HYPER GIRL- 向こう側の女の子 -』を発売。15年3月に女子高生にしてアルバム『DAOKO』にてメジャーデビュー。同年8月17日には渋谷WWW での初ワンマンライブを行ない、チケットは即日完売となる。16年に開催したツアー『青色主義』は東京・大阪・韓国4デイズの公演を行ない、大成功を収めた。


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