ホットスタッフ主催イベントにてドレスコーズ、GLIM SPANKY、挫・人間が激突!

2016年6月14日 / 14:00

6月10日@『HOT STUFF presents TUMBLING DICE 5』(コラボ) (okmusic UP's)

ホットスタッフがおくるロックンロール推進イベントの第5弾「HOT STUFF presents TUMBLING DICE 5」が、6月10日に恵比寿リキッドルームで開催された。

イベントタイトルよろしくローリング・ストーンズのナンバーがBGMに流れるなか、舞台が暗転。FEEL SO BADの「バリバリ最強No.1」をSEに、オープニング・アクトとして登場したのは“ナゴムの最後の遺伝子”と称される挫・人間。「今からお前らにロックが何かを教えてやる」との言葉とともにスタートした1曲め「下川VS世間」では下川リオ(vo&g)、夏目創太(g)、アベマコト(b)、サポートメンバーのタイチ(ds/爆弾ジョニー)4人全員でラップバトルを繰り広げる。この日の出演者・志磨遼平の話題を出しながら早くも下川とタイチがダイブを決めるなど、競演陣にもフロアにも堂々の宣戦布告。メンバー定位置につき、ヘビーなグルーヴでカオスを呼び起こした「人類」に続き、「セルアウト禅問答」でネガティブサイドから強烈に叫んだ愛とアンチテーゼが会場にこだまする。そして、「ロックは人生を救わない」と切り出し、5分だけMCをすると告げタイマーをセットした後、報われなかった初恋の話へ。しかしあえなく途中でタイムリミットがくると、「みんなの初恋の魂を、あがらない日常を成仏させる! 除霊したい奴は拳をあげろ!」と叫び、ラストナンバー「下川最強伝説」を披露。彼らの楽曲のなかでも振り切ったポップさと歪さをもつれさせたこの曲に、フロアから多くの拳があがった。挫・人間の音楽は、現実と妄想とネガを爆発させた報われない自分へのアイラブユーだ。全4曲約20分、短い時間ながらも十分濃厚なインパクトを残していった。

バンドを従えてメインアクト先攻に立ったのはGLIM SPANKY。空気までを一新するような赤いライトのなか、松尾レミ(vo&g)と亀本寛貴(g)がかき鳴らすイントロに歓声があがる。「ワイルド・サイドを行け」「褒めろよ」と、印象的なリフとキャッチーなメロディでロックンロールをストレートに届け、「MIDNIGHT CIRCUS」や「ダミーロックとブルース」ではどっしりしたブルージーなグルーヴを轟かす。ロックを歌うためかのような松尾のソウルフルな歌声と亀本の艶やかなギターの音色。ミドル・ナンバーでより映えるこのコントラストはGLIM SPANKYの大きな魅力だ。また、楽曲ごとにギターを持ち替えながら終始クールな表情で歌う松尾と、ときに前方に躍り出てフレーズを繰り出す亀本のステージングもロックファンを大いに魅了。古き良き音楽ルーツを糧に新世代ブルースを鳴らす彼らにとって、過剰な演出など必要ない。矢継ぎ早に8曲を披露したところで、「今日は挫・人間はオープニング・アクトだけど、3マンと言いたい。最高の3マンです」と松尾が口にした。そして、「お茶の間に出ることでロックンロールの市民権を得たいです」と話すと、7月23日(金)に公開される映画『ONE PIECE FILM GOLD』の主題歌に書き下ろした楽曲「怒りをくれよ」を披露。疾走感あふれるサウンドとパンチの効いた歌詞が、宣言どおりロックンロールを力強く王道シーンへと導いていく。サイケデリックなロックもポップなロックも同列で響かせることのできる懐の深さには、すでに貫禄の一面も。挫・人間とは高校時代からの盟友で、ともに毛皮のマリーズを聴いていたというエピソードに加え「自分たちもみんなと同じでロックが好きなだけ。みんな友達です」とのMCに続き、最後にプレイしたのは「大人になったら」。過去・現在・未来を繋ぐこの曲とロックンロールの普遍性がフロアを巻き込んで共鳴しているのが伝わって来た。

幕が張られた転換中に“イケメンベース”“ゴリラ”というキーワードがステージから漏れ聴こえ、会場をざわつかせたドレスコーズ。現在は志磨遼平のソロプロジェクトとなり、これまで様々なメンバーをバンドに迎えてきた彼だが、先のキーワードで本日のメンバーがじわりと解明されていく。そして音合わせからそのままセッションが始まり、全貌が明らかに。毛皮のマリーズをともにした西くんこと越川和磨(g)、元ドレスコーズの菅大智(ds)、そして有島コレスケ(b)という、各時代で志磨を支えてきた強力布陣の揃い踏みにフロアが沸き、赤いアイメイクを施した志磨の登場にひときわ大きな歓声があがる。ステージいっぱいに飛び跳ね回る志磨。そしてどっぷりのジャムから間髪入れずに1曲め「Lolita」へ。なんともドラマチックな幕開けだ。菅のドラミングが冴え渡る「ゴッホ」、久しぶりに演奏するというオリジナルの日本語訳詩で聴かせたザ・フーのカバー「Pictures of Lily」など鉄壁のプレイを堪能していると、まさかのナンバーがはじまった。「シスターマン」だ。志磨遼平がまだ十代の頃につくり、毛皮のマリーズで演奏されたこのナンバー。志磨がいて、越川がいて、壮大なブルースになる。そこに菅と有島が加わり、新しいブルースが生まれる。早くも大きなハイライトを迎えた一幕だった。その後もドレスコーズと毛皮のマリーズの楽曲を織り交ぜ、ステージはさらなる深みへと突き進む。スペシャルといっていいセットリストに歓喜しながら、次第にある姿が浮き彫りになる。志磨はこれまで毛皮のマリーズを自らの手で解散し、次に結成したドレスコーズでは自分以外のメンバーが脱退した。ロックンロールを愛しバンドを求めてきた彼が、求めるあまりにひとりになったその姿は、何かと闘っているようにも見えた。求めて手にしても満たされない刹那の連続が、まるで志磨の原動力であるかのように。なんとやっかいな男なのだろうか。ザ・フーのピート・タウンゼントによる「ロックンロールは、別に俺たちを苦悩から解放してもくれないし逃避させてもくれない。ただ、悩んだまま躍らせるんだ」という名言そのもののようなステージは、胸に迫り来るものがあった。

「ライブハウスっていう感じがする」と微笑んだ志磨は、音楽に対する思いを話し出した。「好きな人がいっぱい死ぬじゃん。そういう人たちに借りがあって、でも僕らはどこにその借りを返したらいいかわからない。だからみんなで分配しようと思って。ロックンロールはそうやってずっと続いてきて、みんなの共有財産だから。それを遊ばないともったいないと思って、僕らはやっていると思います」。そこから突入した「ビューティフル」の説得力たるや。ラストは「愛に気をつけてね」で大合唱を巻き起こしたドレスコーズは、終始、人生のような音楽をステージで綴ってみせた。

アンコールではGLIM SPANKYのふたりもステージに招き、なんと毛皮のマリーズのナンバー「ジャーニー」をセッション。憧れの共演に、自身のステージではクールにきめている松尾からも笑顔がこぼれ、亀本のギターもフレッシュに弾ける。志磨と松尾のかけあいのボーカルが熱を帯びていく。と、靴を脱いで予兆を見せた志磨が満を持してダイブ。ステージもフロアもロック・リスナーの熱狂と歓喜で包まれた一夜となった。

なお、本企画とリンクしたニューカマーイベント「HOT STUFF presents Ruby Tuesday 11 supported by TUMBLING DICE」が8月9日(火)に東京・新宿LOFTにて開催。挫・人間、最終少女ひかさ、空きっ腹に酒、あいみょんが出演する。また、次回開催の「TUMBLING DICE」は8月17日(水)に東京・TSUTAYA O-EASTにてザ・クロマニヨンズ、THE BACK HORN、サンボマスターを迎えて行なわれる。

Text by 秋元美乃

Photo by 板橋 淳一

【セットリスト】
■挫・人間

M1 下川VS世間

M2 人類

M3 セルアウト禅問答

M4 下川最強伝説

■GLIM SPANKY

M1 ワイルド・サイドを行け

M2 褒めろよ

M3 MIDNIGHT CIRCUS

M4 焦燥

M5 ダミーロックとブルース

M6 Flower Song

M7 話をしよう

M8 NEXT ONE

M9 怒りをくれよ

M10 大人になったら

■ドレスコーズ

M1 Lolita

M2 ゴッホ

M3 Pictures of Lily

M4 シスターマン

M5 トートロジー

M6 あん・はっぴいえんど

M7 コミックジェネレイション

M8 ビューティフル

M9 愛に気をつけてね

EN ジャーニー


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