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石野卓球がデペッシュ・モードの来日“祈念”盤12タイトルを語る!

4月23日にオリジナル・アルバム12枚を特別仕様で一挙再発売したデペッシュ・モード。これらの『祈念盤』発売を祝して、電気グルーヴの石野卓球がコメントを寄せている。

今回再発売されたオリジナル・アルバム12枚は、世界初となる英オリジナルLPに準じた紙ジャケット仕様、高品質なBlu-spec CD2仕様が採用された、来日「祈念」盤となっている。

これらの祈念盤発売を祝して、電気グルーヴの石野卓球が2013年発表の最新作『デルタ・マシーン』を含むデペッシュ・モードの13枚のオリジナル・アルバムのひとつひとつへコメントを寄せた。石野卓球は、中学生時代からの筋金入りのデペッシュ・モードのファン。彼が音楽をはじめたきっかけの一つにもなっている。いち音楽ファンとして聴いた初期の作品、自身も音楽のプロとして聴いた中期以降の作品、そして30余年の時を共に歩んで受け止める最近の作品。それぞれに対して、時代を並走してきたリアル・タイムのリスナーならではのコメントを寄せている。

本記事では1981年に発売された『ニュー・ライフ』と1986年発売の『ブラック・セレブレーション』へのコメントを記載。全13作品へのコメントはソニー・ミュージックのデペッシュ・モードオフィシャルサイトに掲載されているので、気になる方は是非チェックを。

デペッシュ・モード アーティスト写真 撮影:Antonn Corbijn

【石野卓球 アルバム『ニュー・ライフ』へのコメント 】
リアルタイムで聴いたのはこのアルバムから。聴いたときは、とにかく「急に大人になったなあ」という印象が強かった。いま聴くとそれほどでもないのだけど、当時はとにかくそう思った。東京の輸入盤店に通販のオーダーを入れてから、中学校から帰る毎日「きょうこそ届いてるんじゃないか」ってそわそわしちゃって、バイトや部活とか休んで帰っちゃったり(笑)。12インチも買うようになって、「ミーニング・オブ・ラヴ」とか買ったな。曲をマーティン・ゴアが書くようになったという変化と同時に、音も変わった。まず、このアルバムからドラムの音が圧倒的に変わったんだよね。そしてそれまでアナログ・シンセサイザーのみだったのに、ここからデジタル・シンセサイザーのPPGも使いだして、音色の深みもまったく変わった。前作がカラフルな原色だとすると、こちらは油絵。深みが出ている。そして暗い。そこが好きだった。瑣末な話になるけど、アルバムに未収録の「ゲット・ザ・バランス・ライト」がこの後に出るけど、あれだけドラムの音が『ニュー・ライフ』の頃に戻ってて、それが不思議だった。「ア・フォトグラフ・オブ・ユー」みたいな、いまでは本人たちがギャグにしているような曲も入っていて、いまのデペッシュ・モードとは大きくちがうんだけど、前作が幼虫だったら、これはサナギのアルバムかも。メインのソング・ライターのヴィンス・クラークがやめた後で、よくここまでちゃんとしたアルバムを作れたなあって感心します。

【石野卓球 アルバム『ブラック・セレブレーション』へのコメント】
本当の意味でいまのデペッシュ・モードのスタートとなったアルバムがこれかもしれない。このときも来日して、テレビの歌番組に出てたことも憶えている。この頃からレコーディングがデジタルになったのかな? 80年代半ばは機材も録音方法も日進月歩で、いまの耳で聞くと違和感のあるところもあるけど、そのぶん時代の音になってる。そして曲がいい。いまだにライヴでやる曲が複数あるし、確実にいまのデペッシュ・モードの基礎になっているアルバム。実質的なファースト・アルバムと言っていいかもしれない。レザーの衣装みたいな、エレクトロニックだけどゴシックっていうデペッシュ・モードのイメージも確立されている。それまで、そういう要素を小出しにしていたけど、ここでそれががっちりまとまった気もする。

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