ニック・ロウ来日公演 いつまでも歌い続けてほしい、そんな想いに駆られるハートウォーミングな一夜。

2013年11月8日 / 12:27

 60年代よりバンド、ソロ、そしてプロデューサーとして、UKロック界をリードしてきたニック・ロウの約2年振りとなる来日公演が11月5日、6日、ビルボードライブ東京にて行われた。

 以前にある記事の中でニック・ロウのことを“庶民派のポール・マッカートニー”と書いて、その雑誌の編集長さんに褒めていただいたことがある。それだけメロディアスでフレンドリーな曲を書くという意味だったのだが、今回のライヴも、ニックの歌の温かさとか切なさとか、そんなものが存分に伝わってくる文句なしの内容だった。

 2年前のビルボードライブ東京公演は久しぶりにバンドと一緒の来日だったけれども、今回はまたアコースティック・ギターの弾き語り。声とギターだけ、しかも何か変わったことをするわけでもないのに、会場をハートウォーミングな空気がふんわりと包んでいく。

 前半のハイライトは、最新作になるクリスマス・アルバムの『クオリティ・ストリート』に収められているライ・クーダーとの共作曲「ア・ダラー・ショート・オブ・ハッピー」に続いて歌われた、「クルエル・トゥ・ビー・カインド」だろう。もう何度聴いたか判らない曲だけれど、何度聴いても素晴らしい――そんな笑顔が会場中にこぼれる。

 また、日本に来る度に、近年のアルバムからの曲が増えていく様には、今のニックの充実を感じずにはいられない。この夜にはライヴの後半に「センシティヴ・マン」など前作の『ジ・オールド・マジック』からの3曲が立て続けに歌われていった。

 アンコールでは、「ホエン・アイ・ライト・ザ・ブック」「ピース、ラヴ・アンド・アンダースタンディング」と、ニックのキャリアを代表する名曲が登場。続いて、2年前の来日公演の思い出を描いたという新曲「トーキョー・ベイ」が披露される。本編のラストに歌われた「アイ・ニュー・ザ・ブライド」を思わせる軽快なロックンロールだ。

 そしてエンディングは、なんとエルヴィス・コステロの「アリソン」。折に触れてコステロ作品を取り上げてきているニックだが、ニックが歌う「アリソン」というのはこの夜に初めて聴いた。

 決して枯れることのないメロディー・ラインと、優しく、味わいの深い歌声。ニック・ロウには、もう、いつまでも歌い続けてほしい。そんな想いで胸がいっぱいになる夜だった。

TEXT:宮子和眞 / PHOTO:JUN2

◎公演情報
日時:2013年11月5日(火)、6日(水)
会場:ビルボードライブ東京

セットリスト※公演により一部異なる
01. Where Is My Everything
02. Heart
03. Long Limbed Girl
04. Raging Eyes
05. Rome Wasn’t Built In A Day
06. She’s Got Soul
07. Lately I’ve Let Things Slide
08. Has She Got A Friend
09. I Trained Her To Love Me
10. I Live On A Battlefield
11. A Dollar Short of Happy ※新曲
12. Cruel To Be Kind
13. Shelley My Love
14. Travelling Light
15. Stoplight Roses
16. Sensitive Man
17. House For Sale
18. Without Love
19. I Knew The Bride

E-1 Peace Love And Understanding
E-2 Tokyo Day※新曲
E-3 Alison


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