“人生かけて埋め合わせする”ジョン・メイヤー、NY公演レポート

2013年8月30日 / 14:47

 ニューアルバムをプロモーションする際、ミュージシャンはたいてい“アルバムの中のお気に入りは?”との質問に、「うーん、難しいね。自分の子の誰が一番好きか訊かれているようなものだからね。全員僕の子供たちなんだ」といった反応を見せる。しかし、どの子が一番かわいがられ、育まれていくのかは時間が明らかにしていく。8月28日、ジョン・メイヤーは【ボーン・アンド・レイズド・ワールド・ツアー】のニコン・アット・ジョーンズ・ビーチ・シアター公演にて、“曲育て”に長けているところをみせつけた。

 「サムシング・ライク・オリヴィア」や「フー・セイズ」、「ヴァルチャーズ」のような曲を、小さな子供たちの能力を披露する誇らしげな親のようにパフォーマンスしたメイヤーは、「“オリヴィア”が今どんなにファンキーになったか聴いてくれよ!」、「これが“イフ・アイ・エヴァー・ゲット・アラウンド・トゥ・リヴィング”の3部構成バージョンだ。どんなふうに広がっていくのが好きかい?」などと話す。

 一方の観客は、まるで孫を見守る祖父母のように受け止め、「おやおや、前回はそんなギターソロなかったじゃないの!」といった調子だ。この喜びに満ちた時間は2時間続き、メイヤーは興奮しながら生まれたての曲達を披露する。

 声帯手術により沈黙を強いられた2年間を経て、ついに2012年のアルバム『ボーン・アンド・レイズド』と先週リリースしたばかりのアルバム『パラダイス・バレー』をライブ披露することができたメイヤーは、そこからの「クイーン・オブ・カリフォルニア」や「ペーパー・ドール」、「ディア・マリー」を早々にプレイ。デジタル・ディスプレイの真ん中には、ここ数年療養のために彼が住んでいたモンタナに似た、星に照らされる山あいの地域が映し出されており、とても合っていた。

 また、他に特筆すべきことは、「なんでジョン・メイヤーなんて聴いてるの?」と戸惑う友達から質問された際、彼を支持してくれた観客に感謝したことだ。タブロイド紙で悪く言われていることや、彼が未だに抜け出さなければいけない穴にハマっていることを認識しているメイヤーは、「残りの人生をかけて、みんなに埋め合わせするよ」と話していた。

 ジョン・メイヤーが謝らなければならないことなんて何もない。アンコールで披露された「ロスト・アット・シー」や「ウェイティング・オン・ザ・ワールド・トゥ・チェンジ」を筆頭に、同夜の彼のパフォーマンスと成熟したセットリストには感謝しきりだ。彼の楽曲たちは順調に育っている様子であった。


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