時雨、9mm、ムックら武道館で共演、5500人が熱狂

2012年12月30日 / 21:30

 12月27日に日本武道館でオムニバスライブイベント【DECEMBER’S CHILDREN】が行われ、凛として時雨や9mm Parabellum Bullet、ムック、ドレスコーズらがそれぞれに強烈なライブを繰り広げて5500人の観衆を熱狂させた。

 年末ということもあり、平日昼過ぎの開演ながら会場には早くから観衆が集結。安部コウセイと伊東真一(共にHINTO、ex.SPARTA LOCALS)によるアコースティックユニット 堕落モーションFOLK2のオープニングアクトで幕を開けると、本編は百々和宏(MO’SOME TONEBENDER)、345(凛として時雨)、yukihiro(L’Arc~en~Ciel)が結成した新バンド geek sleep sheep(ギーク スリープ シープ)よりスタートした。

 お揃いの白衣を着て現れた3人は、浮遊感のあるオルタナティヴなインストナンバーを皮切りに、それぞれのバンドとは一線を画すストレートなサウンドを畳み掛けていく。中でもyukihiroは非常にシンプルなドラムセットを前に、一心不乱にビートを刻んでいる。また、このバンドでは345がメインボーカルを担当する楽曲も多い。ラストを飾った壮大なミディアムナンバーでは、彼女の透明感ある歌声と、百々の奏でる印象的なギターフレーズが会場に響き渡った。

 2番手のムックは、この日唯一のヴィジュアル系バンドだ。近年はロックシーンからの評価も高く、11月リリースの最新アルバム『シャングリラ』では、エレクトロビートにメタルを掛け合わせた独自のサウンドでリスナーを驚かせた。もちろん今回のステージは同作からのナンバーが多く、逹瑯(vo)は「せっかくなんで楽しんで帰ってねー!」と「MOTHER」を熱唱。その後も代表曲を交えながらダンサブルなアクトが続き、最後に壮大な轟音が吹き荒ぶ「シャングリラ」で次のバンドへバトンを渡した。

 今回のライブでは、続いて登場のドレスコーズもアウェイに近い状況だっただろう。うなだれるようにしてステージ中央までやってきた志磨遼平(vo)は、先日リリースした1stアルバム『the dresscodes』からのチューンを続けて「こんばんは、武道館!」とご挨拶。激しいテンションがループする凶悪なグルーヴで圧倒する「Automatic Punk」、様々なアクションで楽曲を体現する菅大智(dr)のタイトなリズムが心地よい「(This Is Not A)Sad Song」と、アグレッシヴなアクトで歓声を集めた。

 バンドでの出演に先んじて一人で登場したピエール中野(凛として時雨)は、ある意味衝撃的なステージで度肝を抜いた。テクニカルなドラムソロから、Perfume「レーザービーム」に合わせてのドラムプレイ。先に出演のムックからミヤ(g)を招いてのセッションと続ければ、今度はステージに設置されたDJブースへ。嵐「A・RA・SHI」をかけて自らマイクを持てば、最後にはあのBABYMETALを登場させるビッグサプライズもと、カオティックな進行で場を盛り上げる。

 そんな前半戦を締め括ったのが、意外にも初の武道館ライブとなったギターウルフだ。いつも通り「仁義なき戦い」をSEにセイジ(ギターウルフ)が缶ビールをあおると、いつも通り爆音に次ぐ爆音の連続。多くの観衆があっけに取られ、苦笑しながら席に座ってしまう者までいる。するとU.G(ベースウルフ)は「音が全然聞こえないんだけどォ!?」と牙を剥き始め、3人の爆音はより獰猛に。トオル(ドラムウルフ)は革ジャンを脱ぎ捨て、色鮮やかな裸体を汗で輝かせている。馴れ合いもMCも一切なし。こうしてギターウルフの初武道館は、完璧な形で幕を下ろした。

 日向秀和(b)とBOBO(dr)。国内最強としても何ら相違ないリズム隊を引き連れて後半戦の幕開けを飾るのは、今年の夏に最高傑作『flowering』をリリースしたTK from 凛として時雨だ。ヴァイオリンとキーボードを加えた5人編成で、この日演奏したのは同作収録曲に新曲1曲を加えた計7曲。TK(g,vo)はアコギとエレキを頻繁に持ち替えながら、時にライトハンド奏法なども駆使して、巧者たちが織り成す超絶的なサウンドレイヤーにさらなる衝撃を加えていく。幾重にも折り重なって押し寄せる激音の洪水は、たった30分間で唯一無二の空間を作り上げた。

 オーラスの一つ前、菅原卓郎(vo,g)曰く“属に言うTKばさみの位置”での出演となった9mm Parabellum Bulletは、序盤に早速、秋にリリースしたシングル『ハートに火をつけて』を披露。さらにエッジの立ったリフをザクザク刻んでいく新曲なども惜しみなく演奏していくと、続く「キャンドルの灯を」では中村和彦(b)がアップライトベースを爪弾いて色鮮やかなグルーヴを演出。また、彼らは会場での人気も高く、終盤の畳み掛けで大歓声を沸き起こせば、最後は代表曲の一つ「Punishment」と見事なアクトを見せつけた。

 この日はメンバーそれぞれに別ステージにも出演し、特にTKは直前に超絶的な空間を作り上げたばかり。それでなくても今年は半年間の休養期間があり、凛として時雨としてのステージは今年でまだ2回目だ。3人には通常のイベントライブやワンマンとは異質の重圧があったのではないだろうか。序盤、演奏の入りが合わなかったり、TKが歌い出しのキーを取り切れなかったりと、何処か息を揃い切れない演奏が続いてしまった。

 お互いのリズム感を探っている瞬間が何度かあったものの、そこで終わらないのが時雨の凄味だ。4曲目に披露したアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』オープニングテーマ「abnormalize」では、TKが弾き倒す超絶フレーズとピエール中野の疾走するリズムがシンクロ。そこに咆哮のような345の歌声が加わって迫力の一撃を繰り出すと、突如エンジンがかかったように3人の轟音が縦横無尽に暴れ始めたのだ。終盤には衝撃のアップナンバー3連発で、各バンドが素晴らしいアクトを展開してきた7時間もの長丁場を大団円に導いたのだった。

 なお、ライブ中には告知として、凛として時雨は来年6月28日に、同じ日本武道館で初のワンマンライブを開催することも発表されている。

◎ライブイベント【DECEMBER’S CHILDREN】
2012/12/27(木) at 日本武道館
オープニングアクト:堕落モーションFOLK2

geek sleep sheep:
01.New song1
02.New song2
03.New song3
04.New song4
05.New song5
06.New song6

ムック:
01.Mr.Liar
02.G.G.
03.MOTHER
04.フォーリングダウン
05.蘭鋳
06.シャングリラ

ドレスコーズ:
01.Lolita
02.SUPER ENFANT TERRIBLE
03.レモンツリー
04.Automatic Punk
05.(This Is Not A)Sad Song
06.ベルエポックマン
07.Trash

ピエール中野:
01.Drum Solo
02.レーザービーム[Perfume]
03.ギターセッション[ゲスト:ミヤ(ムック)]
04.#1090 ~Thousand Dreams~[松本孝弘]
05.A・RA・SHI[嵐]
06.ヘドバンギャー[ゲスト:BABYMETAL]

ギターウルフ:
01.ジェット ジェネレーション
02.ミサイルミー
03.UFOロマンティクス
04.ケンカロック
05.ワイルドゼロ
06.オールナイトでぶっとばせ!!
07.ロックンロールエチケット

TK from 凛として時雨:
01.haze
02.flower
03.12th laser
04.phase to phrase
05.Abnormal trick
06.新曲
07.film A moment

9mm Parabellum Bullet:
01.Discommunication
02.ハートに火をつけて
03.Vampiregirl
04.新曲
05.キャンドルの灯を
06.Black Market Blues
07.新しい光
08.Talking Machine
09.Punishment

凛として時雨:
01.illusion is mine
02.I was music
03.DISCO FLIGHT
04.abnormalize
05.JPOP Xfile
06.Telecastic fake show
07.nakano kill you

◎【凛として時雨ONEMAN LIVE at 日本武道館 ~10th Tornado Anniversary~】
2013年6月28日(金) 日本武道館

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取材・文 杉岡祐樹


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