元セツナ系歌姫が語る「私も残っていく曲を歌いたい」

2012年11月28日 / 20:15

 “恋愛ソングの歌姫”Tiaraが、来年1月23日にリリースする通算4枚目のフルアルバム『Emotion』収録曲で、川村結花が楽曲提供した「ただいまと言えるまで」の着うたフル(R)先行配信を開始した。

 この秋メジャーデビュー3周年を迎えた彼女は、その3年前、2009年にデビューを飾った「さよならをキミに… feat. Spontania」で配信累計100万ダウンロードを突破。鮮烈な登場でシーンを驚かせ、中でも若年層の女性から厚い支持を得た女性シンガーだ。

<時代を逆行するCDリリースラッシュ>

 ただ、一方でCDセールスの数字が思うように伸びなかったのも事実。翌10年には「Love is… with KG」で配信チャートや歌詞検索サイトの1位を獲得したが、その結果がCDに反映されない。当時“セツナ系歌姫”“着うた系シンガー”と呼ばれていた他のシンガーと同様に、CDセールスでは苦戦が続いた。

 もちろん、CD不況と呼ばれて久しい時代も影響していただろう。しかし、そうした状況下でTiaraが取った方策は他とは違った。2011年の2月に2ndアルバムを発表すると、半年後にはフィーチャリング楽曲を集めたコンパイル盤をリリース。さらに翌12年1月に3rdアルバムをリリースすれば、同年夏にはDEPAPEPEやナカムラヒロシ(i-dep)がプロデュースしたカバーアルバムをと、1年に2枚のフルアルバムを発表する異例のリリースラッシュを続けたのだ。

 こうした一連の流れは全て本人の発案だ。カバーアルバムについても「私は自分が作った曲じゃなくても、良い曲であれば歌いたい」と、曲作りでリリースが滞ることより作品を発表し続ける方を選んだ。もっと自分の表現を聴いて欲しいと、あえて時代を逆行するような活動を貫いていった。

<ケツメイシ「さくら」参加で決意したソロデビュー>

 何故そのような方策を取ったのか。そこで特筆したいのが、彼女がソロデビューを望んだきっかけとなるエピソードだ。18歳で上京した彼女は、様々な表現に挑戦していく中でボイストレーニングも経験。シンガーとしての可能性を見出し始めた2005年頃に、ケツメイシ「さくら」のコーラスという大役を任されることになった。

 後にミリオンまで達した大ヒット曲だ。当時はテレビやラジオで繰り返しオンエアされた。「一般の方はコーラスを聴いていないと思うんですけど、私には聴こえてくる」。街中のいたる所から自分の声が聴こえるという現象を体験した彼女は、“自分の曲でメッセージを送りたい”とソロデビューを決意した。

 「下積みは長かったですねぇ……(笑)。でも、若い頃にデビューしていたら何も分からないまま歌ってたかもしれないです」。自分の声が、歌が世間に知れ渡っていく感動を知っている。だからこそ彼女は自身の歌を届けられるあらゆる方策を、より広まっていく可能性を信じて活動を続けられるのではないだろうか。

<歌手としての脱皮を求めた「ただいまと言えるまで」>

 また、20代後半にデビューしたTiaraは昨年30歳を迎え、非公開だった年齢も公にするようになった。「自信も出てきたんでしょうね」と笑顔で語れる背景には、周囲とのギャップからセンシティヴになっていた20代を超え、「女はやっぱり30歳からだ!」と吹っ切れた部分も大きかったという。

 そうした成長を経てこのたび配信を開始したのが、「夜空ノムコウ」の作曲者 川村結花が作詞作曲した「ただいまと言えるまで」だ。同曲では今までからの脱皮を求め、これまでの主流だった打ち込み系のサウンドから生音中心に変えた。歌詞についても限定された恋愛ではなく、より広い愛を語る言葉を川村にリクエストしたそうだ。

 前述のカバーアルバムで10年前の楽曲を歌った時、良い曲はずっと色褪せずに残っていくと改めて気付いたという彼女。サウンド、メロディ共に広大なスケール感を持つ楽曲は新たな挑戦ともいえるが、そこには“自分も残っていく楽曲を歌いたい”という想いが込められているのだ。

 冒頭にある通り、Tiaraは来年1月23日にニューアルバム『Emotion』をリリースする。同作では川村結花の他にも、岡本真夜や熊木杏里、広瀬香美に古内東子、矢井田瞳と印象的な恋愛歌を紡いできたアーティストが、彼女のために様々な楽曲を用意した。12篇のラブストーリーが収められる『Emotion』でどのような成長を刻むのか、期待して待とう。

◎Tiara「ただいまと言えるまで」
http://youtu.be/Y_NmFJxpqHg

◎4thアルバム『Emotion』
2013/01/23 RELEASE
CRCP-40336 ¥2800(tax in.)
収録曲:
Valentine Eve(作詞作曲:EPO)
初恋(作詞作曲:岡本真夜)
Winding road(作詞作曲:川嶋あい)
ただいまと言えるまで(作詞作曲:川村結花)
ゆみはりづき(作詞作曲:熊木杏里)
I Miss You(作詞作曲:JYONGRI)
Everlasting Love(作詞作曲:露崎春女)
あの花みたいに(作詞作曲:平松愛理)
アンブレラ(作詞作曲:広瀬香美)
あなたのとなり(作詞作曲:古内東子)
フィナーレ(作詞作曲:矢井田瞳)
カムフラージュ(作詞作曲:Tiara)

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取材・文 杉岡祐樹


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