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BAYCAMP 2012、工業地帯に夜通しロックが鳴り響く

 夏の開催は今年で2回目となる首都圏唯一の野外オールナイトのロック・イベント【BAYCAMP 2012】が9月8日から9日早朝にかけて、神奈川県・川崎市東扇島東公園にて開催された。

 人で溢れる雑多な川崎駅周辺から東へ車を走らせると、次第に周囲から生活感が消え、未来都市のごとくパイプの張り巡らされた幾何学的な工業エリアに突入、そして海底トンネルを潜り抜けた先にある人工島が同イベントの会場である。京浜工業地帯ど真ん中ということで、島内はもちろんだが海を挟んで向こう側の東京・大田区エリアにも巨大なタンクや倉庫、鉄塔が立ち並び、上空には羽田空港を離着する飛行機がめまぐるしく飛び交うという、いわゆる夏フェスの代名詞である“大自然”などといったものとは全く真逆のロケーション。主にこれらの光景はステージを背にした際に見えるもので、この夏、数々のフェスに出演してきたアーティストたちも改めてステージ上でその特異な光景について言及するほどだ。なかでも、「どんだけ汚れてても、海は海だから」と言い放ったチバユウスケと、鉄塔の電光掲示板に表示されていた“KO”という文字に「打ちのめされた気分になる」という向井秀徳による、両者の“らしい”コメントは非常に印象に残っている。

 イベントは“EAST ISLAND STAGE”と“PLANT STAGE”の横並びに配置されたステージで交互にライブが行われていくスタイルで、2つのステージで夜通し約14時間、20アーティストが出演(DJブースも含めると時間も出演者もそれ以上)。まさに、心ゆくまで、そして体力の限界まで、ひたすらロックと対峙する超ストイックな構成だ。そして、場外には飲食・物販ブースとそれに隣接する形でDJブース“FREE THROW DJ TENT”が設置され、こちらも細美武士、ダイノジら数多くの注目アクトが登場し場内に負けず劣らず常に多くの人で賑わい続けていた。

 天気予報とは裏腹に、夏はまだ終わってないぞと言わんばかりに照りつける太陽の下、トップバッターPOLYSICSが超ハイテンションで観客にパワーを注入すると、陽の傾きと反比例するかのごとく会場のボルテージを高める熱狂のライブが矢継ぎ早に繰り広げられていく。なかでも21時まで滞在可能な18歳未満限定チケット「U-18 TICKET」を手にした“ロック青少年”たちにとって時間的に最後のアクトとなるASIAN KUNG-FU GENERATIONは、それまでステージ後方や場外エリアでフェスの雰囲気を楽しんでいたマッタリ観戦組をも総立ちにさせ、イベントのハイライト的光景を作りあげた。

 日付が変わる直前のステージ現れたMO’SOME TONEBENDERは闇を切り裂く猛獣のごとくライトセーバー(二刀流)を振り回して踊り倒す武井を中心に終始振り切れたパフォーマンスで狂騒と混沌の渦を作り上げ、時計の両針が真上を指す頃には、7年振りに活動再開を果たしたHermann H.&The Pacemakersが、この会場ほど相応しいロケーションはないであろうキラー・チューン「東京湾」をド頭からブチかまし“ベイ・オブ・トーキョー”コールを夜空に響かせた。深夜のディープな時間に突入してもステージ上のテンションは一時も下がることなく、MAN WITH A MISSIONは月夜に吠え、バンドを従えラップする鎮座DOPENESSのジャンルレスな世界観は一際異彩を放ち、EAST ISLAND STAGEのトリを務めたsmogasが解き放った鋭利な音塊は、目前に迫ったフィナーレに向け真夜中の扉をこじ開けた。

 そして空が明るみかけた頃、イベントのフィナーレを飾るべく大トリのZAZEN BOYSがPLANT STAGEへ。直前にリリースされたニューアルバム『すとーりーず』からの楽曲を中心に、もはや芸術の域に達しつつあるテクニックとコンビネーションで音と無音の境界を自在に操り、昇る朝日に目をやる余裕すら与えないビリビリの緊張感をもたらした。ラスト一曲、“遊び足りない”というフレーズが繰り返される「Asobi」がプレイされるころには、思わず目を反らしたくなるリアル=眩しい朝日がしっかりと顔を出していた。もはや遊び足りない、というほどの余力は残されていなかったが…。

 「文明」の象徴的光景をバックにひたすら骨太で良質なロックが鳴り続ける【BAYCAMP 2012】。その特異なロケーションと「ドキドキとロックだけを発信する」というキャッチコピーが指し示す通りの明確なコンセプトのもと、他のフェスとは一線を画すものとして確実にロックファンに定着しつつある。

【BAYCAMP 2012】
2012年9月8日(土)
@神奈川県・川崎市東扇島東公園
http://baycamp.net/2012

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