<ライブレポート>XinU、2度目の“From One to Collective”で体現した5年の歩み

2026年9月30日 / 12:00

 2026年9月22日、デビュー5周年を迎えたXinUが【XinU From One to Collective 2026】と題されたライブで初めてビルボードライブ東京のステージに立った。【XinU From One to Collective】は、1stステージと2ndステージとで編成も内容も大きく異なるもの。1stはXinUのピアノまたはギターの弾き語りを中心にしたアコースティックな「Solo Stage」で、2ndはバンド編成で行なわれる「Collective Stage」。One=ひとりでの表現を1stステージで見せ、Collectiveとしての表現を2ndステージで見せる。そのふたつを一夜で続けて見せることにより、XinUの音楽性の幅と現在地が明確になるというわけだ。

 この【XinU From One to Collective】は2025年3月14日にビルボードライブ横浜にて初開催。今回が2回目だが、前回よりも趣向が凝らされていた上に、1年半分の彼女の成長がそこに乗っていた。同じライブを2度しない。コンセプトは一緒でも内容は変えてくる。それだけに彼女もミュージシャンたちもスタッフも準備が大変だろうが、しかしMusic Collective XinU(主に彼女と、ライブサウンドを支えるバンドメンバーたち)は毎回内容の異なるライブに挑み、それを楽しみ、しっかりと結果を出すことで前進し続けている。今回もこれ一回きりの内容であることが勿体なく思えるくらいのものだった。

 1stのSolo Stageも2ndのCollective Stageも、異なる複数のセクションで組み立てられていた。セクションごとに異なる演奏表現で異なるムードを味わわせる、ということをやっていた。

 まず1stステージ。雨音のSEのなかXinUがひとりで登場するとグランドピアノの前に座り、静かに弾き始める。アンコールで歌われることの多い「やまない雨」を開幕曲とすることに軽く驚き、そして曲の終盤で何度も繰り返される「離さないでよ、手を」というフレーズが、まだ1曲目だというのに早くも心に沁み入ってきた。続いて「鼓動」、それから「つながっていて」。ピアノ弾き語りでこの3曲を続け、観客たちはXinUの歌声とピアノの繊細な響きに集中して聴き入っていた。

 ピアノから離れてステージのセンターに動くと、XinUはそこでガットギターを持ち、「一緒に揺れよう」と一言。張り詰めていたと言ってもいいピアノ弾き語り3曲での空気をここで変え、「Monday to Friday」からギター・セクションが明るくスタートした。続けて「Hora Hora」。そしてバンドを支える庄司陽太が登場し、彼のエレキギターとXinUのガットギターで、8月にリリースした新曲「Fools in the Rain」を。音源とは異なりボサノバのムードもそこに混ざっていた。続いてXinUもエレキギターに持ち替え、「この曲から始まりました」と言ってデビュー曲の「ココカラ」を。間奏の庄司のギターソロが熱かった。

 ギターを置いたXinUは、次にルーパーの置かれた場所へと移動。自らルーパーを操作し、ここで登場の武藤勇樹がピアノを弾いて、「ロマンス」を。クリスマスを想起させるロマンティックなこの曲に続いてはサックスの小笠原涼がインして、武藤と3人で「いつのまにか」。XinUは歌いながら観客に手拍子とシンガロングを促し、それによってステージの上と下とがひとつになった。本編最後は再びピアノの弾き語りで、ライブで“繋がる”ことの大切さを歌にした「また会いに行くから」。そしてアンコールでガットギターを弾きながら「オモイオモワレ」を歌うと、観客たちは総立ちに。「1st Solo Stageを選んでくれて本当にありがとう!」とXinUが感謝の気持ちを述べて終了した。そういえば中盤でXinUは、「今回は“今歌いたい歌詞の曲”を選んだ」と言っていた。だからだろう、この1stステージは普段のライブよりも歌詞が、言葉が、耳から心へ深く入ってくるようだった。

 2ndステージは、初めにバンドメンバーたちがステージに。メンバーは庄司陽太(Gt.)、大津惇(Dr.)、武藤勇樹(Pf. / Key.)、仲郷流(Ba.)、小笠原涼(Sax.)、桂尚文(Sax. / Mani.)。大津のタメの効いたドラムで始まり、仲のベースが重なり……という具合にゆったりと演奏がスタートしたところで、上階から階段を降りてステージにあがるXinU。オープナーはネオソウル的なアレンジでグッとグルービーになった「ただ見つめ合っても」だ。ハンドマイクで揺れながら歌うXinUは、1stステージに比べるとリラックスした感じでそこにいた。続いての「オモイオモワレ」もネオソウル風のアレンジで。驚いたのは、バックビートのタメの効いたそのノリに対して、XinUも後ろに重点を置いた歌唱……つまりネオソウル系シンガーのようにフェイクを駆使した節回しを自然にしていたことだ。続いて「Monday to Friday」、そして「Day 6」。ここまでの4曲はジワジワと温度をあげていく演奏のグルーブが気持ちよく、現代R&Bが好きな人たちが聴いても「おおっ!」と唸るものがあったんじゃないだろうか。

 R&B的なセクションが終わると、演奏はスウィングするジャズへと移行。「ここから一緒にスウィングいきますか?!」とXinUが言って、スウィングジャズにアレンジされた「合図 EYES 合図」を。大津のドラミングもジャズのそれとなり、間奏で武藤のピアノが滑らかに踊り、小笠原と桂の2管が太く響く。XinUのボーカルも演奏に合わせて、このセクションではジャズのノリだ。「(デビューする前は)自分の歌じゃなくジャズのスタンダードとかも歌っていました。それからデビューして5年間はビートミュージックに想いをのせて届けることにフォーカスして、敢えてジャズを避けてやってきましたが、今日はこんなに最高のメンバーが揃っているので、最高のアレンジで歌っていいですか?」。そう話し、次の「揺らせ」も大胆にアレンジが変更されてのジャズバージョン。間奏でXinUのスキャットと2本のサックスによるソリも入り、なるほどXinUの名でデビューする前はこんな感じで歌っていたのかなと想像できた。続いてもジャジーなピアノでムーディーに始まった「ロマンス」。小笠原のサックスがまさしくジャズのそれで引き込まれたが、展開するなかで王道バラードとしてのスケール感もそこに。歌の終わりにはXinUのロングトーンが映えた。そしてそのあとは初めて聴くバラード曲。MCで触れることはなかったが、恐らく次のアルバムに入るであろう新曲だ。聴き応えあり。「Say Hello」と繰り返される歌詞もいい感じだった。

 「みんな立ち上がる? イエーイ!」と声を発して次に始まったのは、ビートを強調してみんなで一緒に盛り上がるセクションだ。まずはノリがよく明るい「Fools in the Rain」。ここから華やかな「とけてゆく」へと続き、さらにはお馴染みの「鼓動」へ。観客たちに♪オ~、オ~オ~とコーラスをさせ、XinUはステージフロアから最上階までの観客みんなに笑顔を見せながらステージを動いて歌っていた。「音楽をやるなかにいろんな工程があって。曲を作る、歌詞を書く、レコーディングする、ミックスする、ライブをする。私はそのなかでライブがダントツで好き。こうやって音楽を通して知らない人同士が繋がっていくこの時間がたまらなく好きです」。そう話しての本編ラストの曲は、1stステージ同様、その思いを込めた「また会いに行くから」。そして鳴りやまない拍手に応えてのアンコールでは、ポップロックっぽくアレンジされたデビュー曲「ココカラ」を。

 今も多くの人に聴かれている1stアルバムのLPレコード化と、同作品の全曲を歌う特別なライブ、そのふたつを目指すためのクラウドファンディングのスタート、さらには来春に新作をリリースすることも発表された【XinU From One to Collective 2026】。複数のセクションで展開するなか、新アレンジの面白さとそれに対応して歌うXinUの柔軟さがとりわけ印象的だったこのライブを観て、ここからの歩みがますます楽しみになった。

Text:内本順一
Photos:Sakiho Kawakubo


音楽ニュースMUSIC NEWS

ミーガン・ザ・スタリオン、ハードな「Tina Tuesday Freestyle」サプライズ公開

洋楽2026年9月30日

 現地時間2026年9月29日、ミーガン・ザ・スタリオンが、ハードな「Tina Tuesday Freestyle」を映像とともに公開した。  今回のフリースタイルでミーガンは、一切無駄のないラップを披露。ビデオはシンプルな構成で、黒のトッ … 続きを読む

RE-GE、2ndシングル「どこにいても絶対君を見つけるよ」先行配信スタート&新アーティスト写真公開

J-POP2026年9月30日

 RE-GEが、2ndシングル「どこにいても絶対君を見つけるよ」の先行配信を9月30日よりスタートした。  初恋の成就を描いた青春ラブソングで、作詞を畑亜貴、作曲を山口朗彦が担当。文化祭をモチーフにした新アーティスト写真と各シングル形態のジ … 続きを読む

RADWIMPS、フジテレビ系ドラマ『ポリティカルパン』主題歌を担当

J-POP2026年9月30日

 RADWIMPSが、フジテレビ系10月期水10ドラマ『ポリティカルパン』の主題歌を担当することが決定した。  主題歌タイトルは「娑婆堕罵 -Shabadaba-」。制作陣からの“既存のドラマ主題歌という概念をぶっ壊すような曲”というオファ … 続きを読む

DEEN、最新映像作品『DEEN at BUDOKAN 』から大黒摩季/押尾コータロー出演のSP映像公開

J-POP2026年9月30日

 DEENの最新映像作品『DEEN at BUDOKAN 2026 -Back to the 90s-』が本日9月30日に発売となった。  4月30日に日本武道館で開催された【DEEN LIVE JOY Special 日本武道館 2026 … 続きを読む

マイリー、最新作『ベース・パースエイズ』で米ビルボード“Billboard 200”首位獲得に感謝「勝利以上のもの」

洋楽2026年9月30日

 マイリーの新作アルバム『ベース・パースエイズ』が、米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場1位を獲得したことを受け、本人が喜びをインスタグラムで伝えた。  「“ベース・パースエイズ”が1位になったことは、勝利 … 続きを読む

page top