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2026年、アーティストとしてブレイクすることはかつてないほど難しくなっているのだろうか。ルミネイトのCEOを務めるロブ・ジョナスはそう考えている。「現在、ストリーミング・プラットフォームには1日あたり15万曲近くがアップロードされていて、これは大幅な増加です」と、彼は米ビルボードのインタビューで明かした。
2022年頃から、ルミネイトをはじめとする業界関係者は、毎日”10万曲以上”がアップロードされていると言及してきたが、それ以降多くのことが変化した。最も顕著なのは、SunoやUdioといった生成AIツールの普及で、これらのツールを使えばユーザーは数秒で完成した楽曲を作ることができる。米ビルボードが入手したSunoの2025年の投資家向けピッチ資料によると、同プラットフォーム上での楽曲制作の規模はすでに膨大で、1日あたり約700万曲が生成されているという。
そうしたAI楽曲のすべてがストリーミング・サービスに流れ込むわけではないが、フランスのストリーミング・サービスDeezerは同社のプラットフォームに届く完全AI生成楽曲の増加を積極的に記録しており、最近のレポートでは“2026年6月のピーク時”に1日あたり9万曲の完全AI生成楽曲を受け取っていたと述べている。これは同サイトへの新規アップロード楽曲の50%以上にあたる。この数字は、アップロード数が10万曲という統計をはるかに上回っていたことを示唆していた。
現代のアーティストは、新曲の海の中から抜け出すことに加えて、さらなる課題にも直面している。旧譜とも戦わなければならないのだ。ルミネイトはカタログ音楽、つまりリリースから18か月以上経過した楽曲の台頭を追跡しており、その調査結果を<レトロ・リバイバル>やその2026年上半期報告といった最近のレポートで発表している。ジョナスは、「もちろん、カタログ音楽と新譜の違いについては長い間追跡してきました。私たちが確認しているのは、カタログ音楽をめぐる動きが少しずつ、徐々に増加しているということです……なぜカタログ曲が音楽においてますます大きな割合を占めるようになっているのかについては、紐解くべきことがたくさんあります」と話す。
米ビルボードの音楽ビジネス・ポッドキャスト『オン・ザ・レコード』の最新エピソードに出演したジョナスは、オンライン上で増え続ける楽曲の波や、リスナーがかつてないほど旧譜のカタログ音楽を聴くことに関心を寄せているように見える様々な理由について語った。会話の一部を編集・要約したものも以下に掲載する。
――音楽業界では、カタログ音楽を聴く傾向が新譜にとって何を意味するのかを懸念している人たちと接する機会が多いと思います。その不安を和らげるために、どのような言葉をかけていますか?
ロブ・ジョナス:間違いなくよく話題にのぼるテーマです。レコード会社にとっては、カタログ音楽がストリーミングされて成果を上げ続けるわけですから、非常に良い立場にあると思います。収益を築き続けてファンとの関わりを深める手段になりますし、新譜を出す新人アーティストの育成は将来にとって極めて重要です。つまり、健全なバランスを保つことが大切なんです。もうひとつ、ご存じのとおり、カタログの買収における金融活動が大幅に増えたことで、ここ数年、音楽業界にこれまでとは異なるレベルの成長がもたらされています。
――新譜を出すアーティストが世間の注目を集めることは、ますます難しくなっているのでしょうか?
そう思います。ブレイクすることはかつてないほど難しくなっていると思います。私たちは長い間、そのことについて書いてきました。改めて数字の話に戻ると、現在ストリーミング・プラットフォームには1日あたり15万曲近くがアップロードされていて、これは大幅な増加です。ブレイクしてオーディエンスに届くことは本当に難しいんです。もちろん、このポッドキャストでもお話しされているとおり、その膨大な楽曲の多くは聴かれてすらいません。現在ストリーミング・プラットフォーム上で確認されている全楽曲の20%は、ここ数四半期でほとんど再生されていないというのは驚くべき事実です。ブレイクするのは本当に難しい。ですがおっしゃるとおり、積極的なカタログ買い手たちは、こうした象徴的なカタログの買収に莫大な投資をしています。受け身の買い手もいて、彼らはしばらくの間その資産を寝かせておきます。でも非常に積極的な買い手もいて、ファンがこうした音楽を再発見するという現象として私たちが目にしてきた復活の一部は、ここ数年で買収されたこれらの素晴らしいカタログが積極的に運用されていることによるものなんです。
――カタログ音楽のリスニングが増えているように見えるのは、実はストリーミング時代になって、以前よりもリスニング習慣に関するデータが格段に増えただけという面はどの程度あるのでしょうか?
間違いなくそうした力学も働いていると思います。ルミネイトは現在、プラットフォーム上で3億4,000万近い音源を追跡しています。これは、いわば現代の音楽録音の総体です。そしてその音楽が30年前から存在していれば、その音楽が30年間でどのような成績を上げてきたのかを把握できます。フィジカル・セールス、デジタル・セールス、ラジオ・エアプレイ、そしてもちろん現在ではストリーミングも把握しています。おっしゃるとおり、ストリーミングに関して私たちが持つデータ量は途切れることがありません。毎日なんです。以前はおそらく不可能だったような細かなレベルで、あらゆるものを見ることができます。
――ノスタルジーをテーマにした最近のレポートで、映画やTV番組には古い楽曲を再びヒットさせる力があることが多いと触れられていました。これは最近になって特有の現象だと思いますか?
ええ、興味深いですね……私たちがいつも取り上げている素晴らしい例が、ゲーム発のAmazon PrimeのTV番組『フォールアウト』です。私はゲーマーではありませんが、これはゲームの世界からAmazon Primeへと越境したヒット作でした。この番組やゲームを知っている人ならゲームに、そして今ではTV番組にも、50年代や60年代の音楽が大量に使われていることをご存じでしょう。私たちが発見したのは、50年代や60年代の非常にマイナーな楽曲の多くが、突然400%、500%、あるいは1,000%も伸びたということです。人々がこの素晴らしいTV番組の中に収められた、本当にマイナーな楽曲群を発見したからなんです。これは非常に良い例ですが、非常に大きな規模でも起きています。『ストレンジャー・シングス』効果をはじめ、話題のストリーミング・コンテンツが古い音楽の認知度を大きく高めていることは、誰もが話題にしてきました。その効果は本物です。
――ストリーミング環境におけるカタログ音楽の台頭について考えるたびに、モノカルチャーの衰退についても考えてしまいます。私たちは皆、分散して、それぞれ独自の好みをより深く掘り下げているように見えます。トップ・ソングが占めるストリーミング数のシェアが、以前よりも小さくなっているという傾向は見られますか?
そういったことが少し起きているのは確認できていると思います。実際に人々が聴くものjは多様化しています。今年大きな話題となったノスタルジー・トレンドやレトロ・リバイバルについてお話ししましたが、そこでは多くのことが起きています。シンク(同時に起きること)についても、そしてファンが長い間聴いていなかったかもしれない音楽を再発見することにシンクが与える影響についてもお話ししました。同時に、さまざまな層が子どもの頃に聴いた音楽とどのように関わっているかについても、非常に明確な傾向が見られます。自分が子どもの頃に両親がかけていた音楽を考えると、その音楽は今でも私が聴く音楽の大部分を占めています。さらに、現在見られる90年代後半から2000年代初頭の音楽をめぐる大きなトレンドは、特定の層が子どもの頃に聴いた音楽を聴く年齢に達した結果として生まれているんです。
――「レトロ・リバイバル」レポートで指摘したいと思っていたことの一つに、13~24歳の消費者が“現在の音楽から離れ、自分たちが生まれる前にリリースされた楽曲に触れる傾向を強めている”と述べられている点があります。これについてはどう考えていますか?
まさに先ほどお話ししたとおりだと思います。彼らは、ごく幼い頃に耳にしていたかもしれない音楽に立ち返って聴いているんです。こうした音楽がソーシャル・メディアで拡散されたり、TV番組で使われたりしていることが、間違いなくその効果を後押ししていると思います。それに、Y2K以前の世界をめぐる興味深いノスタルジー・トレンドもあります。最近、古い映画を観ていて、誰も携帯電話を手に取らない場面を目にし、振り返ってあの頃を懐かしく思うことがどれだけあるでしょうか。それも一因だと思います。ひとつの特定のトレンドを紐解くのは難しいですね。もちろん最終的な利点は、誰もがこれまでに作られたほぼすべての音楽を常にスマートフォンに入れて持ち歩くことができ、ほんのわずかでもその音楽に触れるきっかけがあれば、すぐに遡って見つけられるということです。
――ある意味では、カタログのリスナーが増えることは、新しい音楽を聴く時間が減ることにもなり得ますが、音楽業界のパイそのものが、私たちが音楽を聴く時間とともに拡大しているだけではないかという考えも温めていました。古い音楽と新しい音楽はゼロサム・ゲームではないのかもしれません。データはそれについて何を示していますか?
ビジネスとして、私たちは“何が”、 “どこで”、 “どのように”を理解することに非常に長けています。何が聴かれているかを把握しています。どのサービスで聴かれているかという意味で、どこで聴かれているかも把握しています。どのように聴かれているかも把握しています。プレミアム・サブスクリプションによるものなのか、広告付きなのか。ですが重要な側面である“誰が”については、ほとんど把握できていません。その疑問に答えるため、私たちは何が起きているのかを理解するために多くの調査を行っていますが、その結果は、音楽がかつてないほど多く、そしてより多様な方法で聴かれているという事実と一致していると思います。ですから全体的なリスナー数は増えていると思いますし、それが毎年ストリーミングの成長が続いている非常に重要な理由の一部だと思います。
同時に、米国ではストリーミングの成長と音楽の成長が鈍化しています。だからこそ私たちは、海外が次の成長分野だとよく話しているんです。音楽を聴くこと全体はどこでも伸びていますし、海外は多くの人が認識している以上に成長していると思います。
――ルミネイトはアナログ盤やCDの売上の増加も追跡してきました。数年前、米国のアナログ盤所有者の約半数が実は自宅にレコード・プレーヤーを持っていないという統計が話題になったのを覚えています。CDについても同じようなデータがありますよね?多くの人が実際にはCDを再生していないという。
2023年の調査では、アナログ盤を購入したミレニアル世代の50%がレコード・プレーヤーを持っていないことがわかりました。良いニュースは、その割合が3分の1になったことで、つまりレコード・プレーヤーが以前より普及しているということで、素晴らしいです。現在はCDについても同じ統計を見ていますが、かなり一貫しています。CDを購入する消費者の約半数がCDプレーヤーを持っていません。CDは完全にコレクターズ・アイテムになっています。
By: Kristin Robinson / 2026年9月16日 Billboard.com掲載
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