<ライブレポート>ジェイムス・フォントルロイがキュレーション、オマリオン/ザ・RHファクター・リユニオンらが集結【SUMMER SONIC 2026】BEACH STAGE初日

2026年8月21日 / 20:00

 Billboard Liveと【SUMMER SONIC】による共同企画として展開されている[BEACH PARTY]。国籍やジャンル、世代の垣根を越えたフェスのコンセプトに基づきながらR&Bやヒップホップ、ファンクを中心に据えるこのステージは、千葉・幕張メッセの屋内会場やZOZOマリンスタジアムとはひと味違う空気をまとい、今や名物企画として定着している。今回は初日(8月14日)のステージを「Billboard Live × James Fauntleroy’s BEACH PARTY」と銘打ち、日本の文化にも関心を寄せるジェイムス・フォントルロイをキュレーターに迎えての開催となった。

 8月14日昼。前半は、スカ・パンクのMAYSON’s PARTY、ヒップホップとロックなどのミクスチャーを謳うNovel Coreが勢いをつけ、eillが力強くポップ・ソウルを歌い上げ、川谷絵音を中心とするindigo la Endへと続いていく。ゲストが入れ替わり立ち替わり登場し、大いに賑わったSTUTSまでの5組が国内アーティスト。その後に控えていたのが、Billboard Liveでの単独公演も予定されていた2組を含む海外(アメリカ)勢である。

 18時前、夕暮れが近づくなかで始まったのは、前日のBillboard Live TOKYO公演も大盛況だったザ・RHファクター・リユニオンのステージ。2018年に亡くなった総帥ロイ・ハーグローヴを偲んだリユニオンであり、好評を呼んだオランダの【North Sea Jazz Festival】での公演に続く大舞台が【SUMMER SONIC】だったというのが感慨深い。ロイの実弟で鍵盤奏者のブライアン・ハーグローヴを含む総勢11名からなる大所帯でのステージだ。

 サウンドチェックの時点で、それまでの空気は一変した。聞こえてきたのは、まさに彼らが掲げるハードなグルーヴ。スナーキー・パピーへの参加でもお馴染みのボビー・スパークスを含む鍵盤奏者3名、ドラムのジェイソン“JT”トーマスとウィリー・ジョーンズ3世、ベースのレジー・ワシントン、ギターのトッド・パースノウという布陣が分厚いグルーヴと複雑なリズムを生み出し、フロントに立つテナー・サックスのキース・アンダーソン、アルト・サックスのブルース・ウィリアムズ、バリトン・サックスのジェイソン・マーシャル、そしてロイのポジションに就くトランペットのウェイン・タッカーというホーン奏者4名が、開演前から快音を放っていた。

 序盤では、2003年作『Hard Groove』、2004年作『Strength』のタイトル曲を続けてプレイし、RHファクター流のジャズ・ファンクを見せつける。その後も、フュージョン、アフロビート、ヒップホップ、ネオ・ソウルなどに接近した曲を交えながら、各メンバーが丁々発止のプレイを繰り広げ、バンドはひとつの塊となっていった。

 フェス出演のため単独公演より時間は短かったが、インスト曲を減らしたことで、鍵盤も担当するリネー・ヌーヴィルのヴォーカル曲がいっそう際立った。フロントに立ったリネーは「Forget Regret」などを歌唱。圧巻だったのは、彼女の十八番であり、RHファクター屈指の人気曲でもある「Crazy Race」。イントロのサックスが鳴った瞬間、会場から歓声が上がる。「Hey Mr. D.J.」のヒットで知られるジャネイのメンバーだったリネーの凛とした歌声には、今なお当時と変わらぬ説得力が宿っていた。

 「The Scope」などで聴かせた、JTとウィリーによるダブル・ドラムも凄まじかった。JTの達者なMCもステージを盛り上げ、リユニオンに貢献したロイの妻アイダへのシャウトアウトも飛び出したステージは、黄昏のビーチという最高のロケーションも味方につけた、過去最高の快演だったと思う。

 19時過ぎ、すっかり日が暮れたビーチ・ステージに登場したのは、今回の[BEACH PARTY]でキュレーターを務め、ここでのライブが初めての来日公演となるジェイムス・フォントルロイ。ブルーノ・マーズやビヨンセのようなスーパースターから新進気鋭のR&B/ポップ・アーティストまで、夥しい数の楽曲制作や客演をこなす名脇役でありながら、自身はインディペンデントで作品を発表している才人だ。基本的には裏方であるためライブ自体が珍しく、今回のショーは世界的に見てもレア。ドラム、キーボード、ギターを従えたバンド編成で、終盤に披露したインディ・ロック風の「Dying From Crying」など、R&Bとポップ/ロックが混ざり合うパフォーマンスは、ジャンルを横断して仕事をこなす彼そのものだった。サラーム・レミとのコラボ曲「Sex High」などで聴かせた人懐っこくソウルフルなヴォーカルも上々で、ゲスト・シンガーとしてオファーが絶えない理由もよくわかった。

 シカゴの奇才ノー・IDと結成したオルタナティヴなコレクティヴ、コカイン80s(近年はザ・80s名義で作品を発表)としての活動でも知られるフォントルロイは、2010年代に同ユニットで発表した「Fly Ass Pisces」「Get You Some」などのほか、「シリアスな歌だ」と前置きしてシャーデーの「Like A Tattoo」を引用した「The Distant River」も歌った。さらに、提供楽曲のセルフ・カヴァーとして、リアーナの「James Joint」、ジェイ・Zとビヨンセの「Part II(On The Run)」も披露し、“裏方の大物”ぶりを示す。とはいえ、大物ぶった様子はなく、それどころか愛嬌たっぷり。ライブ当日、彼はXに「日本が大好きすぎて、東京のビーチでサマーソニック・フェスティバルに出演することになってしまうなんて、めっちゃ笑える!」とポストしていたが、パフォーマンス中も終始笑みを浮かべ、喜びを噛み締めているような姿に、こちらも笑顔になってしまった。

 そんなジェイムス・フォントルロイと同じカリフォルニア州イングルウッド出身で、彼と共演もしているのがオマリオンだ。B2Kのリード・シンガーとしても活躍した、歌って踊れる実力派のR&Bアイドルである。

 バンマス的な役割も担うDJのスティーヴンス・ジャーメインが、00年代を中心としたR&Bやダンスホール・レゲエなど、定番のクラブ・バンガーを次々とスピンし、夜風で少し肌寒くなったビーチの空気を温めていく。そんな中、男女のダンサーたちと勢いよくステージに登場したオマリオン。一聴してネプチューンズの制作だとわかる「Touch」、続く「Entourage」でのダンスは往時のままのキレで、かつてマーカス・ヒューストンと出演したダンス映画『You Got Served』での姿もよみがえる。

 マイケル・ジャクソンからの影響も感じさせるダンスだけでなく、もちろんヴォーカルも素晴らしい。DJがルーサー・ヴァンドロスの「If Only for One Night」を流し、バックスクリーンにルーサーの姿が映し出された瞬間、ファンの多くは次に歌う曲を確信したはずだ。ルーサーの同曲をサンプリングした、バウ・ワウとの「Let Me Hold You」である。そのフックをオマリオンが歌う。続いてワーレイとの共演曲「M.I.A.」も滑らかに快唱。その最中にサマソニ恒例の花火が観客の背後で派手に打ち上がったのは、このフェスらしいハプニングだった。

 オマリオンは、この6月にニュー・アルバム『O2- Part 1』を出したばかりでもある。そのお披露目も兼ねて、スロウ・バラードの「Fantasy」を筆頭に同作からの4曲を続けて歌い、新作がソロ・デビュー作『O』の世界観とシームレスにつながっていることも感じさせた。「I Could Do It」で「ダンスできる?」と煽った後、「汗かいちゃったから」とオマリオンが衣装チェンジに向かった間はDJタイムに。ステージでB2Kの曲を歌わない代わりに「Bump, Bump, Bump」が一瞬流され、ビヨンセの「Crazy In Love」に繋いだ瞬間も忘れがたい。

 後半、「I’m Tryna」「Ice Box」「O」のバラード三連発、そしてジェネイ・アイコやクリス・ブラウンの客演でもお馴染みの「Post To Be」へと続いた流れは、このショウのハイライトだったと思う。最新作からの「The One」では、オマリオンのSNS動画に登場している息子メガと娘アメイiもダンサーたちに加わり、ラインダンスを披露。[BEACH PARTY]らしい賑わいを見せて、初日のビーチ・ステージは締めくくられた。なお、オマリオンは大阪と東京のBillboard Liveで単独公演も行い、DJを含むバンドセットで披露したそちらも大盛況だったことを申し添えておきたい。

Text:林 剛
Photo:(C) SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.

◎公演情報
【SUMMER SONIC 2026】
2026年8月14日(金) 千葉・ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ


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