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8月7日、東京・渋谷CLUB QUATTRO。真夏の熱気をそのまま閉じ込めたかのような超満員のフロアは、開演前から興奮と期待感に包まれていた。シブヤカンナ(Gt/Vo)、ソラ(Ba)、ハイブリッドマイマイ(Dr)、サコティッシュフォールド(Gt)からなる4ピースシティロックバンド、セブンス・ベガが敢行した東名阪ワンマンツアー2026【LAYLA】の最終公演は、彼女たちにとって大きな足跡を刻む特別な一夜となった。
開演のSEに合わせてステージに姿を現した4人は、レトロでシックな純白の衣装に身を包んでいた。その気品あふれる佇まいは、これから始まるステージへの強い覚悟と美学を感じさせる。各々のポジションにつくと、まずは正面に向かって深々とお辞儀を交わす。その誠実な姿勢に、フロアからは大きな拍手が贈られた。
シブヤカンナがギターを構えて、「最高の夜にしましょう!」と叫ぶ。その一言とともに鳴り響いたのは、人気曲「卵と牛乳とレコード」のイントロだ。1曲目からフロアのボルテージは一気に最高潮へ到達。観客の合いの手は初手から完璧で、打ち鳴らされる手拍子と大歓声のボリュームに圧倒される。ステージと客席が瞬時にひとつになり、会場全体に濃密な一体感が生まれていった。
間髪入れずに「Hey! Crush!」へ。ここで観客の合いの手はさらに勢いを増し、バンドを後押しする。シブヤカンナのボーカルは曲を重ねるごとに鋭くなり、まっすぐにフロアの奥深くへと刺さっていった。普段はキリッとした真剣な眼差しで歌い上げる印象の強い彼女だが、この日は歌いながら時折り笑みをチラリと覗かせていたのが印象的だった。
バンドの推進力を担うソラとサコティッシュフォールドは、幾度となくステージの前面に躍り出て観客を果敢に煽り、華やかなギターソロやフレーズを弾き倒してフロアを湧かせる。ハイブリッドマイマイが中央でリズムを牽引し、会場をじっくりと見渡しながらステージを下支えする中で、シブヤカンナ、ソラ、サコティッシュフォールドのフロント3人は、演奏の合間に何度も目配せを交わして、絶妙なタイミングで音を合わせながら、いまこの瞬間を心から楽しんでいる様子だ。その揺るぎない結束力とタフなバンドグルーヴに引き込まれるように、観客もまた彼女たちの描く物語へと引き摺り込まれていく。続く「魔法がとける前に」では、ドラマチックな旋律と力強いバンドサウンドが交錯し、切なくも疾走感あふれる世界観でフロアを魅了した。
曲が終わると、最初のMCへ。「東名阪ワンマンツアー 2026【LAYLA】へようこそ」とシブヤカンナが改めて挨拶すると、歓声が巻き起こる。埋め尽くされたフロアを見渡した彼女は、「びっくりするくらい人がいる」と思わず口にした。続いてマイクをとったソラが「今夜はセブンスの日(7日)でもあるので、特別な夜にしましょう!」と笑顔で呼びかけた。ソラの可愛らしくキュートで親しみやすい声と、シブヤカンナの凛としたハスキーボイス。この2人の対照的な声のコントラストとハーモニーこそ、セブンス・ベガの大きな魅力のひとつだと再確認させられる。
MCを終えると、バンドは「悪口」「クローゼット」「きらきら」を立て続けに披露。ここで際立ったのは、シブヤカンナの歌声の表現力だ。伸びやかでソリッド、どこまでも強く響き渡りながらも、その奥底には胸を締め付けるような繊細さとほんのりとした弱さが滲む。リスナーが彼女たちの音楽に強く惹きつけられる理由は、まさにここにあるのだろう。日々の葛藤や揺れる感情をありのままに描いた等身大の歌詞が、エモーショナルなバンドサウンドに乗ることで、聴く者の心に深く突き刺さっていく。ハイブリッドマイマイの正確かつダイナミックなドラミングが楽曲の土台を支え、ソラのしなやかなベースラインとサコティッシュフォールドの色彩豊かなギターワークが重なり合い、1曲ごとに異なる情景を描き出していった。
2度目のMCでは、平日の夜にもかかわらず会場に駆けつけたファンへ向けて、「今日がみんなの夏の思い出の一つになればいいなと思います」と感謝と温かな言葉が贈られた。
そして「夏のおすすめ商品を紹介します」と前置きし、ツアーグッズの紹介を始めた。しかし、ただのグッズ紹介で終わらないのが彼女たちの面白いところ。あくまで「グッズとかじゃなくて……」と何度も念を押し、「このおすすめ商品が、グッズとかではないんですけど(笑)、偶然終演後に物販に並ぶらしいです」と茶目っ気たっぷりに語ると、フロアからは大きな笑いが巻き起こる。クールな演奏とのギャップを感じさせるこうした和やかな一幕も、彼女たちがファンから愛される理由なのだろう。
和やかな空気を引き締め直すように「上海恋物語」のイントロが流れた瞬間、会場の空気は一変。艶やかなメロディと洗練されたサウンドが広がると、観客は息をのむようにその音に聴き惚れる。シブヤカンナのボーカルは、力強い地声と美しく透き通るファルセットを自在に駆使し、楽曲にドラマチックな陰影を与えていた。
そこから間髪入れずに、地鳴りのようなギターの歪みとドラムの轟音が響き渡り、「無実」へ突入。続くキラーチューン「SUPPER」では、攻撃的なギターサウンドと尖ったリズムが炸裂し、会場の熱気をさらに加速。研ぎ澄まされたバンドグルーヴが怒涛の勢いで押し寄せる。息をつく暇もなく披露された「魅惑のバニラ」では、一転して官能的なムードが漂う。跳ねるようなリズムに合わせて自然と手拍子が巻き起こり、フロア全体が心地よく揺れていた。
ライブもいよいよ終盤へ。ソラからオフィシャルニュースレター会員の案内が伝えられた後、シブヤカンナが少し寂しそうな表情を浮かべながら「なんと終盤戦になってしまいました」と口にすると、フロアからは一斉に「えー!」と惜しむ声が上がった。それに対し、シブヤカンナはすぐに「はい残念でした」とクールに一蹴。会場にはドッと爆笑が広がる。ファン心理を巧みにくすぐるような、このクールで毒気のあるやり取りもまた、彼女たちの大きな魅力だ。
「最後はみんなでドライブに行きましょう!」との合図とともに解き放たれたのは「東京ラブストーリー」。夜のドライブデートを描いた甘酸っぱくも爽やかな歌詞とキャッチーなメロディが、会場を包み込んでいく。続いては「ワンナイト・ドライブ」。まるでバンドと一緒に夜の首都高を走り抜けているかのような没入感を生み出していく。
そして本編のラストを飾ったのは、パワフルでソリッドなロックナンバー「Slump!」。4人のアグレッシブな演奏で、怒涛の勢いのまま本編を締め括った。
メンバーがステージを後にしても、フロアからのアンコールを求める手拍子と歓声は止まない。その熱い呼応に応えるように、再びステージへ姿を現したメンバーたち。ここでバンドから重大な発表がもたらされた。
11月7日にセカンドアルバム『PRISM』のリリースが決定したこと、そして2027年2月からは全4都市を巡る東名阪福ワンマンツアー【PRISMA】を開催することが告げられると、フロアからは割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。歓喜と大騒ぎの告知タイムを終えると、メンバーは改めてマイクを取り、自らの素直な思いを語り始めた。
「わたしたち実は、3年前にバンドを組んだ時に『QUATTROに立てたらラッキーだよね』という始まり方をしたんです。QUATTROなんて本当に夢の夢だった。だから今、ワンマンライブでQUATTROのステージに立つことができて、とても嬉しいです。ありがとうございます」
噛み締めるように感謝を伝える姿に、観客はじっと耳を傾ける。
「でも、ここに来るまでに『これやりたい、あれやりたい』という新しい夢がどんどん出てきました。わたしたちはこれからもまだまだ新しい目標を叶え続けられると思っているので、これからも応援よろしくお願いします!」
夢の場所だった渋谷CLUB QUATTROをソールドアウトさせた満足感にとどまらず、すでにより高い場所を見据える力強い言葉。その決意に応えるように、フロアからはこの日一番の大歓声が送られた。
ラストに披露されたのは“シティロック”を掲げるセブンス・ベガの真骨頂とも言える「君とParadiso」、そして最新曲「南風のアイドル」の2曲だ。夏色の風を感じさせる爽やかなメロディと、躍動感あふれるビートが真夏の夜の渋谷を鮮やかに彩っていく。ステージ上の4人も、フロアを埋め尽くした観客も、誰もが音に身を委ね、最高の笑顔を弾けさせていた。こうして、濃密で特別な「セブンスの日」の夜は、深く心地よい余韻を残しながら幕を閉じた。
目標としていた憧れのステージを成功させ、さらにその先にある新たな夢へと走り出す宣言をしたセブンス・ベガ。ファンの熱気と愛に包まれたこの日のライブは、彼女たちの卓越したソングライティングと確かな演奏力、そしてバンドとしての固い絆を証明するものとなった。走り続けるセブンス・ベガが、次はどのような景色を見せてくれるのか。彼女たちの未来から、ますます目が離せない。
Text by 荻原梓
Photo by 平野タカシ
◎公演情報
【7thVega TOUR 2027 「PRISMA」】
2027年2月07日(日)東京・Spotify O-EAST
2027年2月11日(木・祝)福岡・OP’s
2027年2月13日(土)大阪・梅田BananaHall
2027年2月14日(日)愛知・ElectricLadyLand
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