エンターテインメント・ウェブマガジン
イングランド男子代表は今回の【FIFAワールドカップ】に向けて公式アンセムを制定していなかったが、答えはずっと目の前にあったのかもしれない。“スリー・ライオンズ”ことイングランド代表は本大会を無敗で勝ち進んでおり、各試合終了後に遠征してきたサポーターたちは、ロック史に残る人気曲の一つであるオアシスの1995年の名曲「Wonderwall」の大合唱を整列した選手たちに贈っている。
この楽曲はその後、ストリーミング再生数とセールスで著しい伸びを記録した。この記事の執筆時点で、同曲はSpotifyの世界チャートTOP50で2位につけており、大会公式アンセムであるシャキーラとバーナ・ボーイによる「Dai Dai」に次ぐ順位となっている。U.K.オフィシャル・シングル・チャートでは前週から20位もジャンプアップしており、過去の自己最高順位である2位を更新する可能性もある。TikTokやインスタグラムには、代表選手たちの祝勝シーンを使ったファン制作の動画があふれている。米国でもストリーミング数は急伸しており、ルミネイトの速報データによると「Wonderwall」はイングランドが準々決勝でノルウェーを下した翌日である7月12日の日曜日に、米国内での公式オンデマンド・ストリーミング数130万回を記録した。これは前週日曜日の605,000回から108%の増加だ。
このトレンドが始まったのは、6月17日に行われたクロアチアとの初戦にさかのぼる。舞台は米テキサス州ダラス、イングランドは白熱の展開の末に4対2で勝利を収めた。輝きの瞬間もあれば、ドラマチックな展開と落胆の瞬間もあり、最後には大きな安堵と歓喜に包まれるという、実にイングランドらしい試合内容だったと言える。選手たちが声援への感謝を伝えるためサポーターのもとへ歩み寄ると、スタジアムDJが場内スピーカーから「Wonderwall」を流し、そこで本能的な瞬間が生まれた。キャプテンのハリー・ケインとチームに勝利を呼び込むフォワードであるジュード・ベリンガムの活躍を受け、サポーターたちは、「I don’t believe that anybody feels the way I do about you now(今この瞬間、これほどまでにあなたを想う気持ちは誰にも負けない)」と歌い返した。ケインはこれを、自身が“イングランド代表のユニフォームを着て経験した中で一番好きな瞬間”の一つだと語った。テレビの前で観戦していたファンも目を潤ませたことだろう。
現地時間7月15日、長年のライバルであるアルゼンチンとの準決勝で勝利すれば、この楽曲はさらに大きな盛り上がりを見せることになるかもしれない。試合会場はジョージア州アトランタで、イングランドが勝利すれば1966年大会以来となる【ワールドカップ】決勝進出を果たすことになる。
両国にはピッチ内外で因縁深い歴史がある。1986年大会での故ディエゴ・マラドーナによる悪名高い”神の手”ゴールはアルゼンチンの勝利の一因となり、いまだに癒えない傷として残っている。1998年の対戦でのデビッド・ベッカムの退場劇も、いまだに痛みを伴う記憶だ。また、1833年以来英国領となっている南大西洋の領土であり、アルゼンチンではマルビナス諸島と呼ばれるフォークランド諸島をめぐる緊張関係も続いている。1982年には両国間で2か月にわたる戦争が起こり、およそ1,000人の死傷者を出した。
ニュー・オーダーによる英国チャートで1位を獲得した1990年の「World in Motion」や、不朽の名曲であるバディエル、スキナー・アンド・ザ・ライトニング・シーズによる、不滅のフレーズ「It’s coming home」を含む「Three Lions」など、過去のイングランド代表アンセムとは異なり、「Wonderwall」にはサッカーに関する言及は一切ない。これはファンの間で定番曲が非公式のヒット曲として受け継がれていくという、これまでも続いてきた流れの延長線上にあると言える。近年の注目すべき例としては、ニール・ダイアモンドの「Sweet Caroline」が挙げられる。同曲は【UEFA EURO 2020】での代表の快進撃の際にファンのお気に入りとなった。この大会でイングランドは決勝でイタリアに敗れている。
「Wonderwall」がサッカーの愛唱歌としての地位を築くまでの道のりは、1995年5月にさかのぼる。この楽曲はバンドの2ndアルバム『モーニング・グローリー』のレコーディング・セッションのために書かれたものだ。作詞作曲はノエル・ギャラガーが単独で手がけ、歌唱は弟のリアム・ギャラガーが務めた。歌詞は“頼れる存在”について歌ったもので、ノエルは2002年に英BBCに対し、「これは、自分自身から救い出してくれる架空の友人についての曲だ」と語った。もっとも、以前には当時の恋人であったメグ・マシューズについての曲だと語っていたこともあった。
同曲は瞬く間にヒットし、米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”では自己最高となる8位を記録した。Spotifyでの再生回数は28億回に達し、バンド史上最も再生されている楽曲となっている。これは2位につける「Don’t Look Back In Anger」の2倍にあたる数字だ。ライブ・セットから外されることはまずなく、カムバック・ツアーである【Live ’25】でも予想どおりのハイライトとなった。その熱狂的な反響を受け、ライブ・バージョンがシングルとしてリリースされている。
この楽曲はわずか4分の中で、哀愁と高揚感を見事に融合させるという稀有な域に達している。曖昧な歌詞、シンプルなリフ、そしてリアムの脆さと強気さが同居するボーカルが、楽曲をより際立たせている。またこの現象は、感傷的な楽曲を新たな意味とともに自分たちのものにしていくというイングランドの伝統にも通じている。リヴァプールFCのファンは、ロジャース&ハマースタイン作のミュージカル『回転木馬』の楽曲「You’ll Never Walk Alone」(邦題:人生ひとりではない)を毎試合開始前に熱唱する。マンチェスター・シティFC(ロジャース&ハートによる「Blue Moon」)やウェストハム・ユナイテッド(1919年にさかのぼる米国のティンパン・アレー・スタンダード「I’m Forever Blowing Bubbles」)も、毎週土曜午後に感情を託す楽曲を見つけている。
ギャラガー兄弟もこの盛り上がりにしっかりと反応を示している。クロアチア戦での勝利を受けてノエルはザ・サンに対し、「“Wonderwall”は人々のものだよ。あれは人々と選手たちの間に生まれた、まさに魔法のような瞬間だった」と述べた。メキシコシティのアステカ・スタジアムで開催国メキシコを3対2で下した際に同曲が響き渡った後、試合後のインタビューで声が枯れてしまったケインはうまく話すことができなかった。それを受けてリアムはXに、「歌うのって大変だろハリー・ケイン。頑張れイングランド、頑張れWONDERWALL」と投稿した。
イングランドが決勝まで勝ち進んだ場合、ギャラガー兄弟が揃って喜べるかどうかは未知数だ。地元のクラブについてはふたりともマンチェスター・シティ支持で一致しているが、代表戦となると話は少々複雑になる。リアムはイングランド代表への支持を示してきた一方、ノエルは両親がアイルランド出身であることから、これまでイングランドではなくアイルランド代表を応援していると語ってきた。
6月下旬に『TalkSport』に出演した際、ノエルはそれでも決勝には足を運ぶ可能性が高いと語っている。彼は、「もしイングランドが決勝に進んだら……うちの息子二人はイングランド代表のファンだから、会場に行くことになるだろうね。こう思ったよ、“これもまた、お前らのついてるところだよな、この幸運な野郎ども。(マンチェスター・)シティが(【プレミアリーグ】のタイトルを)4連覇して【チャンピオンズリーグ】も獲って、その上イングランドがニューヨークの【ワールドカップ】決勝で優勝するのを、お前らの親父の曲が歌われている中見ることになるなんて。ただでさえ人生が良すぎるっていうのに”って」と述べた。
サッカー界において最も貴重なトロフィーを獲得するまであと一勝を残すのみとなった今、この楽曲がイングランド代表の背中を押すことになるかもしれない。彼らは決勝まで勝ち進むことができるのだろうか。「Wonderwall」はついに1位という瞬間を手にすることができるのだろうか。その答えは、どちらも「Maaaaaybe」といったところだ。
J-POP2026年7月15日
2026年7月15日公開(集計期間:7月6日~7月12日)のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート”JAPAN Hot 100″で、Snow Manの「グッタイム」が首位を獲得した。 本作は7月6日 … 続きを読む
J-POP2026年7月15日
Vaundyが、新曲「かげろう」をオフィシャルYouTube、X、TikTokチャンネル『Vaundy studio mini live 2026.07.20』で生配信することが決定した。 自身にとっても約5年ぶりとなるスタジオからの生 … 続きを読む
J-POP2026年7月15日
T.M.Revolutionの「HOT LIMIT」が、2026年7月15日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート”JAPAN Hot 100″で17位、同チャートのうち動画再生指標では2位以下 … 続きを読む
洋楽2026年7月15日
米テキサス州出身20歳のシンガーソングライター、ベラ・ケイが、デビュー・アルバム『マイ・レックレス・アバンドン』をリリースした。 本作はエグゼクティブ・プロデューサーとしてベッキーG、スキ・ウォーターハウス、Jojiらを手掛けてきたId … 続きを読む
洋楽2026年7月15日
最近ミリー・ボビー・ブラウン、アイス・スパイス、リル・ヨッティが一緒に時間を過ごしたことで、意外なセレブ・トリオが誕生した。 現地時間2026年7月14日、アイス・スパイスは、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』で知られるミリー、そ … 続きを読む