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木村カエラが、7月12日にビルボードライブ東京にて、【木村カエラ Billboard Live Tour『Kaela’s Petit Quartet】のファイナル公演を開催し、オフィシャルのライブレポートが到着した。
本ツアーは、デビュー22周年の記念日である6月23日の横浜公演を皮切りに、大阪、東京の3都市を回る、自身2年ぶり3度目となるビルボードライブツアー。本公演の編曲を兼松衆とともに担当したチェリストの徳澤青弦率いる弦楽四重奏に鍵盤奏者の梅井美咲を加えたビルボードならではの編成で、カエラが紡いだ物語と自身の楽曲が密接に結びつき、朗読と生演奏が有機的に絡み合う5章立ての音楽朗読劇のような特別なステージが繰り広げられた。
開演時間になると、チェロ、ヴィオラ、バイオリン、ピアノという普段のライブとは一味違うバンドメンバーが姿を見せた。続いて、チェックのワイドパンツに淡いパープルのカーディガンを羽織ったカエラが、表紙に『Petti and the Pieces of Happiness(プティとしあわせのかけら)』という題名が描かれた大きな本を抱えてステージに上がった。スタンドマイクの前に真っ直ぐに立ち、力強いピアノのタッチに乗せて歌い始めたのは、2004年6月23日にリリースしたデビューシングル「Level42」。のちのMCで「デビューした時に、ずっと歌い続けるぞという思いを込めて作った歌を今も変わらぬ思いで歌わせていただきました」と語っていたように、<君のためにずっと歌い続けるから>という22年前に交わした約束と決意の言葉を22年後の未来でも胸を張って、生き生きと伸びやかに歌い上げた。
最初のMCで椅子に座り、「デビュー22周年を迎えました」と報告すると、満員の客席からは大きな拍手と歓声が上がった。続けて、本ツアーのコンセプトについて、「20周年という大きなイベントを迎えてから、新しくやりたことや挑戦したいことがいっぱいあって。今回は、私にとっては初めての試みで、私が紡いだ“物語と音楽の融合”をみなさんにお見せしたいと思います」と説明。「それでは、私が描いたファンタジーと音楽の世界へみなさんをお連れしましょう。はじまり はじまり」と呼びかけると、本を開き、「第一章 飛べなくなった日——」と朗読を始めた。
物語の主人公は<風に乗って、光を集め、誰かの元へ届けるのが役目>である妖精のプティ。森に住む可愛い妖精のプティは、ある日突然、空を飛べなくなってしまう。「飛べないなら何をすればいいの? 私の幸せはどこにあるの?」と自問自答する様がカエラの朗読によって語られると、そのままシームレスで、哀しくも美しいバラード「どこ」へと突入。戸惑いや不安といった感情の奔流をカエラのエモーショナルで深みのある歌声とストリングスが押し流していき、プティの“幸せを探す旅”が始まった。続く、「Jeepney」ではカエラは肩を上下にあげたり、首を傾げたり、腕を大きく振って勇ましく歩いたりしながら、まるでミュージカルのようにパフォーマンス。ピアノとストリングス隊も朗読中の劇伴に加えて、多彩な効果音を繰り出し、風景の変化やプティの心の動きを立体的に表現していた。
第2章「ヒカリトカゲ」でプティは、体が光る不思議なヒカリトカゲと出会い、「影があるからこそ、光は輝く」ことを教わり、“光のかけら”をもらった。ピアノの伴奏のみで歌われた「ノイズキャンセリング」では<昨日無くした希望>というフレーズをセリフのように呟き、両手を頭で抱えながら歌った。トカゲにお礼を告げて再び歩き始めたプティは、第3章「マーガレット」で散っていく花を眺め、終わりがあるからこそ、今、この瞬間が輝くんだということを知る。場内から手拍子が湧き上がる中で、主に4弦のみで弾むように歌った代表曲「リルラ リルハ」はまさに移ろいゆくもの、過ぎ去っていくもの、終わっていくものへの感傷と同時に刹那の今への愛おしさを描き出していた。
続いて披露されたのは部替わり曲。クラシカルなワルツにアレンジされた1部の「ケセラセラ」は<その足>を<その羽>と歌詞を変えて歌い、2部ではデビュー15周年記念アルバムに収録されていたバラードで、<花から花へ 旅をして>や<光と陰 恵みの雨>という今回の物語に通じる世界観が収められた「いちご」をピアノとチェロのデュオ伴奏で丁寧に歌唱。プティが花びらを手にした朗読を挟み、椅子から立ち上がったカエラが代表曲「Butterfly」をたおやかに歌い上げると、場内からは大きな拍手が湧き上がり、場内は優しく温かい光で包み込まれていった。
ひと呼吸を置き、「歩き続けると、森の空気が一気にひんやりしてきました」というカエラの朗読によって場面は一変。弦楽隊が木が軋むような音を出す中で、物語は第4章「魔女」へ。重厚で不穏な弦が響く「never land」では、操り人形のような不思議な動きを見せていたカエラが<不思議の国に誘われちゃう>というフレーズを激しいアクションで体現。糸の切れた人形のように椅子に身を沈めたカエラの朗読によって、霧の奥の方へと足を進めたプティが一人の魔女と遭遇したことを知らされた。魔女は、プティが集めていた光のかけら、マーガレットの花びら、そして、涙を鍋の中に落としてゆっくりと呪文を唱え始める。ここで、カエラは魔女となり、童謡や民謡のフレーズが盛り込まれた「HOUCUS POCUS」で鍋を混ぜながら歌い、<生まれ変わるためのBreaking my heart>と大声でシャウト。チェロの指弾やキーボードの音色も混じった混沌としたアンサンブルに似せて、カエラが<ホーカス!ポーカス!>と手をあげて叫で呪文を唱え終えると、魔女はプティに<虹色のかけら>を渡した。
最終章となる第5章「かけた虹」では、虹色のかけらを手にして期待と不安でいっぱいのプティの胸の高鳴りを「BEAT」に重ねて盛り上げると、息のあった演奏の後で、プティは自分の気持ちを置き去りにしていたこと、幸せはどこかにあるものではなく、自分が見つけた時に形になるんだということに気づく。そして、デビュー20周年を迎えた2024年の日本武道館公演では虹の絵画をバッグに歌った「Twenty」では<人間なんだ 仕方がないよ>という歌詞を<妖精>に変え、<歌を歌えば幸せになるから/今も歌い続けてるの>というカエラの20年目の素直な心境が綴られたフレーズもプティに合わせて、<空を飛べれば幸せになるから/今も探し続けてるの>にチェンジ。さらに、<そばにいてくれて ありがとう>という歌詞は、観客に向けて<今日は来てくれて本当にありがとう>とメロディに乗せて感謝の思いを伝えた。そして、「その時、止まっていた羽が、ほんの少しだけ動きました。体がふわりと浮きます。プティの心は、前よりずっと、あたたかくなっていました」と読み上げると、「おしまい」という言葉ともに本を閉じ、映画の最後にスクリーンにエンドロールが流れ出すような絶妙なタイミングで「君の傘」のイントロへとつなげた。<君がいる幸せが/君といる幸せが>というフレーズを観客と共有すると、<どんな涙でも きっと 晴れるよ>という力強くも透徹した歌声が観客の涙を誘った。
最後に「自分が作ってきた音楽を物語にしたときに全部繋がっていくのが面白かったです。これまでやってきてよかったなと実感したツアーでした」と振り返ったあと、アンコールとして、6月23日の記念日にデジタルリリースしたニューシングル「はぎゅme」を披露。自分をぎゅっと抱きしめながらチャーミングでコケティッシュな歌声を放つポップロックで「一人一人が自分自身を愛してあげる、自分で好きでいれば、他の人のことも受け入れてあげることができると思います」というメッセージを届けると、両手を広げて、「愛してるよ!」と愛を送った後、ファイナル公演のみ、絵本のタイトルの一部になっている「happiness!!!」の最後のサビをピアノと歌だけでサプライズ披露し、幸せのかけらを探すプティの旅は大団円を迎えた。
そして、新たに【KAELA presents TIME MACHINE goes back to LIVE TOUR “Circle”】の開催が決定した。再現ライブシリーズ第3弾は、2006年に行われた【LIVE TOUR 2006 “Circle”】の再現ライブをHIROSHIMA CLUB QUATTROと、恵比寿LIQUID ROOMの2か所で開催。今年25周年を迎えるHIROSHIMA CLUB QUATTROは、20年前にカエラが初めて広島でワンマンライブを行った【LIVE TOUR 2006 “Circle”】の場所でもあり、そんな思い出の地で再現ライブを行う。
Photo by 太田好治
◎公演情報
【KAELA presents TIME MACHINE goes back to LIVE TOUR “Circle”】
2026年11月1日(日) 広島・HIROSHIMA CLUB QUATTRO
2027年2月5日(金)東京・恵比寿LIQUID ROOM
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